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手創り市のルポ、最終回


手創り市のルポ 2012年8月19日開催



一年の約束で始めたこのルポも今回で最終回。

最後のルポを行ったこの日は、雑司ヶ谷スタッフのお手伝いも兼ね、朝の早い段階から手創り市にいました。

そういえば、第一回目のルポの時も同様に、朝一で会場入りしたのを覚えています。あの朝はこれから一体何が始まるのか、自分自身何をどんな風に始めるのか? そのイメージもままならないままのスタートでした。

一番初めにインタビューしたのはスタッフの秋田さん。話の途中で数回、どぎついクエスチョンマークを眼差しごと投げられた事を今も覚えています(笑)。

一年経った今、ルポに対し、すごく大まかな型の様な物を自分なりにつくりましたが、それでも毎回、その時その時対応しながらのルポであった様に思います。


作家さん達がブースを形づくるのを横目に見ながら、会場内をくまなく歩きました。GRさんが初めに声を掛けてくれて、「今日で最後のルポですね。楽しく読ませて頂いてました」とお言葉を頂きました。小さな本工房さんからは、これを機に「アトリエ訪問」や「手創り市のルポ」を本として形に残しましょうという、御好意まで頂きました。他、インタビューに協力してくれた作家さん達からも「お疲れ様」の声をたくさん掛けて頂きました。

雑司ヶ谷のスタッフからは、「さようなら」とわざと鼻で笑う様な挨拶を貰い(笑)、最後のルポが始まりました。



この日最初にインタビューしたのは、布物の作品や植物の作品を出展している作家さん、いわもとまきこさんです。


いわもとさんのブース・空間には特徴があると思います。隙間の配置の仕方とか。それはどのように意識されてますか?


「毎回テーマが決まってたりするので、それに合わせて「置く」。この狭いスペースの中で出したい物全部持って来ると、すごくごちゃってなっちゃうんですよね。このスペースの中でいかに自分が置きたい物を置くかという事と、置いてると、「これが余分だな」って作業が、狭ければ狭い程出来るので、良い勉強になります」


毎回テーマがあると言いましたが、今日のテーマは?


「今日は「雑巾」ですね。最後のルポなのにごめんなさい(笑)手創り市に出始めた時って雑巾を良くつくってたんですよ。こういうハギレを合わせて。それを今回やりたくて持ってきたんですけど」


すごくかわいくて、これ雑巾として使っていいのか?って位センスのある雑巾ですよね?(その雑巾は、主に落ち着いた三色のハギレを用い、赤い糸をミシンでパッチワークの様に縫い合わせ出来ている)


「でも、雑巾って汚れた物を拭くけれども、テーブルにいつも置くじゃないですか?キッチンに置くじゃないですか?私、目の見える範囲にあんまり汚い物があるのは好きじゃないんですよね。すっきりした物、いつも綺麗な物が置いてあったらいいと思うので、それがそういうものだったらいいなって思って。だからコースターとして使ったり、お箸置く様にして使ったりしてもいいんです。最後に雑巾として使って貰えればいいなと。花と一緒なんです。その過程がすごく好きなんですよね。色が変わっていったり、匂いが変わっていったり、その変化が自分の中でいとおしいというか、好きなんです。だから雑巾とお花は私の中で根本的に……」


同じもの?


「そうそうそうそう」


次の質問です。いわもとさんが物をつくる動機や喜びは何処にありますか?


「まず形にしたいという欲求。他は全部に言えるんですけど、みんな便利だなって思ってても、遠回りしているような気がするので、便利なものを使おうとして、本質を見失ってるというか。便利な物、便利な物と思って買うじゃないですか?便利な物って保管するのに手間が掛かったり、埃が掛かったり、そういう事があって結局使わなくなったりして、遠回りしている様に思ったんですよ。ホントは最小限の物があれば、人って手があるから生きていけるんだけど、それを、便利な物を使って、時間を短縮している様で、逆にその物に振り回される。そういう事で、自分の大切な時間を使っているんだって事を、気付かない人が多いなって。今まで生きてきた中で、ぺえぺえですけどそう思ったので、それが気付くきっかけになったらいいなと思ったのはひとつありますね」


実際今みたいな話は、手創り市でお客さんとされるんですか?それとも作品を観て貰う中で気付いて貰えばいい?


「不思議な物で、そんなに多く説明しなくてもわかってくれる人もいるんですよね?そういう人は長く観てくださるし、嬉しいなって思います。わかってくれてるって。あと、説明は深くならないようにはしてます」


それは何故ですか? 偏りが生じるからですか?


「そうですね。ぱっと観た時に感じる事って一番だと思うし、こっちが説明し過ぎてもダメだし、説明しなさ過ぎてもダメなんで、難しいですよね?言葉って」


今後手創り市にやって欲しい企画などあれば?


「先月にあった、ハギレ市のようなものをもっとやって欲しいと思います。あの空間で、やってる人を観てたんですけど、その姿がすごく良かったです。ああやって交流できるのはいい事だし、お客さんが作家さんとお話してみたいとかいう声が上がって、ああいう形で出来るのはいいと思います」


インタビューが終わるといわもとさんは、毎回出展ごとにつくっているという、名刺の四分の一サイズのカードを僕にくれました。

そこには小さなローマ字で組まれたメッセージが。

それは、言葉は人がつくり出す作品のひとつであると思う、というもの。


「うえおかさんの書くもの、ルポもそうですけど、作品ですよね?」


と言って渡してくださったその御好意とカード、大切にします。

ありがとう、いわもとさん。


言葉は作品である。


それは、このルポを通して感じた僕の感覚を、まるで代弁するみたいな言葉との出会いでした。


今でも思い出すのは、僕のインタビューの姿勢が大きく変わる転換となった、ある作家さんとの出会いです。その作家さんは、ご自身であまりしゃべるのが得意ではない、と前置きをし、それでもゆっくりと自分の言葉を懸命に探し、それを僕に伝えるという事をしてくださいました。そこで出会った作家さんの言葉に、


「あ、この言葉は、この方だけの言葉だ」


という気付きがあり、それ以降、そんな言葉により多く出会える様にと、それをインタビューの心構えとしたのです。

僕と、インタビューをする相手との間で交わされる、宙に生まれる言葉。その形のない作品を、ルポという形に落とし込む、それが僕の仕事であると。



次にお話しを聞いたのは、demimikachi(デミミカチ)さんという主にアクセサリーを出展している作家さん。


お客さんとの対話で気を使っているポイント等あれば?


「お客さんと会話を楽しむ様に。別に買って頂かなくても、お客様に興味を持って頂けるようにはしています」


素材はどの様な物を?


「使ってる素材は身近にある物とか、手に触れて自然なもの、木とか糸とか石とか、その中でも上質な物を使って。木はそこら辺にあるもの、漆でコーティングしてあげるとか、シルクの糸で巻いてあげるとか。それだけでも木がすごく生きる。アクセサリーも細かい作業なんですけど、ワイヤーひとつをどこまで細かく手を加えれば上品に見えたりとか、そういうのを追求してやってます」


簪が目を引きますが、その素材は?


「家の裏庭にある杉の木、檜、桜です」


裏庭にあるものを拾って来て?


「最初お箸で簪をやってて、でもお箸でやったら人の真似になるじゃないですか?

で、身体にやさしいものでつくりたいと思った時に、裏にあったんで、これ使えばいいじゃんって(笑)シルクの糸も手芸屋さん行けば何処ででも手に入るじゃないですか?ホントに大した素材は使ってないんですけど、それで何処まで人に興味を持って頂ける作品に出来上がるか?っていうのをすごく考えてます」


物を作る動機や喜びは何処にありますか?


「楽しいですね、すごい楽しいです!自分を表現できるもの。一つずつがあまり見ない形なんで、自分の個性が作品に出てて、それを表現できる場所だと思ってます」


身近にあるものを素材にして、それを何処まで作品として映える物に変えるか? そこに創作のポイントを置くデミミカチさん。

子供の頃、身の周りの廃品を利用して作っていた工作を僕は思い出す。

あの頃は確か、お中元のお菓子の空き箱が特別な物に思えたものだ。

同時にこうも思う。手創り市に参加する作家さん達が、いつ頃から、何故つくる事を始めたのか? に焦点を当てる取材をあまりしてこなかった事に今更に気付いたと。

僕の予想として、つくる事の原体験は多くの人が通過する事だし、その原体験が何処かで今につながっているのはやはり多くの作家さんに言える事だと思う。当たり前だけど。その原体験的記憶をどこまで自分の中に強く位置付けるかは、個人差はあれど。



午前10時、大鳥神社の受付に、いつもより多くの椅子が並べられた。

今から、10月28日に開催開始する谷中、千駄木・養源寺の手創り市「&SCENE」のスタッフ面接が行われるのだ。

僕が見た所、新しいスタッフ候補が二人、椅子に腰掛け、名倉くんと話していた。

そんな風景を横目に見ながら、すぐ隣のブースで出展している、しまこうさんという木の板に絵を焼き付ける、焼き絵の作家さんに声を掛けた。

このしまこうさんに声を掛けたのは、その木目が作り出す風景の活かし方に気を魅かれたからだ。


板にどういう風に絵を書いてるんですか?


「一枚板を色んな所から見付けて来ます。木から削ったり、父親が木工をやってまして余った木や端材でもなんでもなんですけど。木の木目を見るのが好きで、木の木目ってすべて木の種類にもよるし、部分にもよって全然違うので、それを見ながら、何かに見えるかな? という感じでそれをきっかけにして絵を考えて焼き付けていくんですが、電気の熱で焼きながら手書きでちょっとずつ一発勝負でやってます。下書きもなく」


木目がお好きだって言われたように、木目と絵の調和が良いなと思って。


「それが目的で、むしろ自分の絵よりも、木目が何かを表現してると思うんですが、それがもっと出せたらなと、自分の手によって、木の深さとかが出たらなと思って描いてます。だから色は一切使わずに、敢えて木の色と質感を大事に描いてます」


物をつくる動機や喜びは何処にありますか?


「もちろん物も大事なんですけど、物を通じてのコミュニケーション。人との出会いっていうのが大事なので。今の制作は木が主役なので、だからって木の模様は自分では選べないので、まずは木との出会いから始まるのかなと。木と出会って、つくって、そして今度お客様との出会いというので、そういう出会いを大切に」


二段階の出会いですね。


「そうです」


まで出会われたお客様とのエピソード等あれば?


「僕の作品を買って頂いて、それを胡桃油で磨かれているお客様がいて、大分経ってから持って来てくださって。で、ものすごく輝いていたんですね。その時にはもう、僕の作品じゃなくてお客様の作品になってる。僕の手から完全に離れている。その時は本当に感動しました。大事にして頂いたという出会いと共に」


最後に手創り市に対して気になる事などあれば?


「鬼子母神は各作家さんのブースの場所が決まっているのに、大鳥は決めないのは何故か? 並んだ順番もいいんですけど、場所を決めて貰ってもいいのかな?と思います」



次にお話を聞いたのはカップルのお客さんだ。


「以前来てみたら、ひとつひとつのブースのクオリティも高いし、自分の好きなテイストの作品に出会える確率も高いので、間違いない感じがしているので、いつも楽しみにしています」


どんなテイストの物がお好きなんですか?


「焼き物を買います。手が出やすい価格帯で面白いデザインの物があるなって。アクセサリーも面白い物が多いですし」


今後手創り市でやって欲しい企画等あれば?


「フィールドワークみたいな形でここ(入口)を出発点にして、会場を周って、その感想から何か作るとか」


ツアーですよね?!


「で、同時にいくつかのツアーが行われている」


それ面白いですね。


「鬼子母神から飛び出していく感じがいいですよね?」



「ツアー手創り市」。ルポ最終回にして初めて耳にするそのアイディアに期待を覚えつつ、更に違うカップルのお客さんに話しを聞いた。


「初めて来ました。楽しかった。手づくり感があって」

「マグネット屋さんと話しました。リクエストあればマグネット作って来ますけどって言って貰えて。型を作って流し込んでというつくり方の行程も教えてくれて。男性はなかなか来ないからと言って喜ばれました。男性用に今度つくっておきますって」


手創り市で今後やって欲しい企画などあれば?


「ライブが見たいですね。こういう所で簡単な手づくりのステージつくって」



次にお話を伺ったのは、206番地さんという硝子を素材にした作品を出展する作家さんだ。


206番地の屋号は何処から?


「自宅の住所が206番地、そのままです(笑)とても気に入っている場所のなので、その名前を残したくて付けました。ずっとここにはいないかもしれないなという思いを込めて。すごく気に入っているけれども、ずっとはいられないだろうから、その名前を持ってどんどん移動して行きたいという想いを込めて」


鬼子母神に出展されて、感想など?


「木が多いのでここへ来ると普段の疲れも取れて、リフレッシュされます。

すごく大きな木があるので。触れられない様な木が、ぼーんぼーんと」


お客さんとの対話で気を使っている点は?


「あまりしゃべり過ぎない。説明はその都度しますけれども、静かに観てもらうのも大事かなと」


物をつくる動機や喜びは何処にありますか?


「没頭できる。普段の事とは離れて、つくる事だけを考えられるというのが一番の利点だと思います」


素材はどうやって仕入れているのですか?


「私達は工房をレンタルしてつくっているので、色とか細かい物に関しては自分で揃えますが、大本の溶けた硝子自体は、工房からお借りして、工房のレンタル代をお支払いしてという感じでつくってます」


工房をレンタル?どういう料金体系ですか?


「時間でいくらっていうのがあって、それを一月分払います。本当は工房を持ちたいのですけど、火を一年中使うのでなかなか街中とかでは難しい思います。でもいずれは、206番地の名前を持って、どこか自分達の気に入った場所でやりたいと思っています」


206番地という名前に込めれたら想いは、物事の刹那というか、そういった物を感じさせてくれる。その刹那が今回のルポ最終回と重なる部分も何処かであるのかもしれないと、ふと思う。

僕は、今回のルポで手に入れたものを次の場所に上手くつなげる事、それを大切にしようと。


次にお話しを伺ったのは女性のお客さんだ。


「今日参加している作家さんを違うイベントで知って、彼女のブログで今日手創り市にに出る事を知って来ました。彼女の作品を観に来たら、私の欲しかった物は売り切れていて、その代わり、他の作家さんの物で掘り出し物をたくさん見付けました」


掘り出し物とは?


「陶器や硝子の物を買いました。206番地さんで買いました。知り合いの誕生日プレゼントを探していたので、すごくいい物が見付かりました」


手創り市に来てみての感想は?


「毎回違う作品が観れるのであれば。あと新作もあるでしょうし。また来たいです」


ご自身でも何かつくられていますか?


「定期的にはしていませんが、時々絵を描いているので、ここでアイディアを貰ってアレンジはしています。出品出来る程はつくってないので、あくまで自分で楽しむ程度ですが。すごくアイディアが抱負なので、それを盗みに来てる感じもあります」


どういうポイントからヒント得ていますか?


「材料を良く見ます。どういう物を使っているのかなって。形はみんなそれぞれ一緒でも素材が違うと見え方が変わって来るので、どういうポイントで材料を使っているのかなって観たりとか。あと、どういう染色しているのかわからなかったりしたものを聞いちゃったりします。何で染めてるんですか? 何処で買ったんですか? って聞くと、意外と東急ハンズで買ったとかで、じゃ後で買いに行きますとか。そういうのはありますね」


御自身の創作の種として手創り市の作家さん達から色々な物を取り入れる。特に素材の使い方に着目している辺りが印象に残りました。二つとして同じ素材がないなら、その素材を良く見詰める事に多くのバリエーション・可能性へのヒントがあるのではないでしょうか?



次は「手創り市のルポ」最後の作家さん。健康コンビです。

健康コンビとは? 手創り市のウェブマガジン「∴つづる」で以前連載を持っていた、金属を使ったカラトリーやアクセサリーの作家さんyuta・須原健夫さんの「健」と、焼き物屋の近藤康弘さんの「康」をつなげたコンビ名。連載「健康より」は、高校から付き合いのある二人が、後に物づくりの道に入り、互いに切磋琢磨しながら進んでいく様を、互いの言葉でつづった連載でした。

長い馴染みの二人がお互いを意識しながら投げ合う文章は、時に笑いあり、時にきびしさありと、二人の関係性を眺める様な、そんな生々しさを持っていました。

そんな二人に、今回、インタビューを行いました。


(yuta・須原健夫→健 近藤康弘→康)


まず、近藤さん。雑司ヶ谷手創り市に出ようと思ったきっかけは?


康「前から出たかったんですけど、什器の関係で、静岡にはお世話になってたんですけど、鬼子母神に来るには自分の什器だと大き過ぎて、今まで見送ってたんですけど、今回什器をコンパクトに作って、応募させて頂きました」


雑司ヶ谷用に作られたんですか? ARTS&CRAFT静岡とは規格が違いますよね?雑司ヶ谷で工夫した点は?


康「持ってくる物量が少ないから全ての工程が短い時間で出来るかなと思ってたんですけど、本でいう所のARTS&CRAFT静岡の方が長編小説だとしたら、雑司ヶ谷の方は短編小説みたいな感じで、無駄を削ぎ落とした様な印象を受けました。ただ単に物が少ないんじゃなくて」


物をつくる動機や喜びは何処にありますか?


康「単純に自分で原料を取ってきて、自分でこうだと思う形をつくって、それをお客さんに観て頂いて使って頂けるというのは、何物にも変えられないつくり手としての喜びかと思っています」


yutaさんはどう思われてますか?


健「元々は、自分で完結出来るのが良かったというのがあったんですよ。10年前位の事ですけど。自分で頑張ったら頑張った分だけ、結果につながっていくという。コンビでやっている物は片方が頑張ってても、片方が怠けてたら全く実にならなかったりするんで、そういうよりも一人の仕事に魅かれたというのはあったと思います。今となっては、昔々の人が、野菜や稲取って生きてたとか、狩猟して生きてたとかそういう物に近い所が僕の感覚にあるというか、物を生産してそれが食べる物と直接結び付いていく、自然な生き方というか」


動機とかではなく、ライフスタイルとしてそれがある?


健「そうですね、自然と離れた所で生きたくない、自然と近い所で生きていたいというのがあって、そうやってやってる部分も今は出て来ているのかなって。僕昔々に、証券会社のコールセンターで働いてた時があって、株価を案内したりとか、投資信託の説明をしたりとかしてた事があって、そういうのに違和感を感じつつやってたんです。そんな単純な話ではないのかもしれないですけど、お金を単純に食べ物だと考えた時に、何にも生産してない状態からお金が生まれていく、株式にしろ、投資信託にしろ、債券にしろ、そういう所に疑問を持つ所があって、複雑なシステムがあって、それはつくってるのが関係しているっていうのもあると思うんですけど、それだけじゃないでしょう? 儲ける為に。米育ててないのに米生まれて来たみたいな。でもまあ別に僕も掘っ立て小屋に住んで電気のない生活してる訳じゃないんですけど、つくって売るっていう単純な生活が自然に近いという感じがする」


近藤さんは、今の自然と近い形でっていう言葉をどう思われましたか?


康「自分の言いたい事を上手くまとめて貰えたなと。あんまり難しい言い方は苦手なんで須原の言葉を聞いて納得してます」


近藤さん、手創り市に何か望む事があれば?


康「要望があるとしたら、長い目で見た時にずっと続けて頂けたらなと思います。というのは、つくり手というのは必然的に腕も上がって来るし、作風も変わったりしていくんですけど、そういう変化をお客さんにもずっと見せて貰いたいし、見て貰いたい時にそういう場がなくなったら、寂しいかなと思うので。手創り市さんを畑とすれば、僕らは作物ですかね。立派な花咲かせますんでこれからもよろしくお願いします」


一同爆笑。


連載「健康より」の裏話があれば?


健「ちょっとやり合いみたいな時になった時に、原稿がアップされた次の日か、次の次の日位に、ちょっと心配になって電話するんです(笑)」


お互い?(笑)


健「ちょっと本気で怒ってる時、何回かありました(笑)」



yutaさんが投げて近藤さんが怒ってるって事ですか?


健「お互いありました。それ自分言う必要あったん?ってのがあって」


康「僕の方から言えるのは、最初の頃は大阪の方の友人からわざわざ電話が掛かって来て、「須原の勝ちやな」みたいな言葉が届いて。それが悔しくて悔しくて。だんだんだんだん感情が入っていきました」


最後に僕のルポの感想を聞かせてください。


健「手創り市にとって刺激なった気がします。うえおかさんがグルグルグルってかき回したみたいな。ルポが始まってから新しい事も時期的に重なってたと思うんで。すごい一石投じたというか、水面に波紋を浮き立てたというか、そういう感じがします」


康「回を重ねるごとに、うえおかさんの聞き方が上手くなっていくのを感じました」


健「いやらしくなっていった(笑)」


康「自分は口下手な方なので、自分から率先して他の作家さんに話し掛ける事もそんなに出来ないんで、他のつくり手さんがどんな事を考えてるとか、自分で直接触れ合わないお客さんがどういう事を考えてるとか、色々、多方面に渡って知る事が出来て、すごい良かったなと思います。お疲れ様でした」


健「お疲れ様でした」


ありがとうございました。


丁度一年前に「健康より」の連載を二人に依頼する為、益子の近藤さん宅にお邪魔する名倉くんに同行したのが、そもそもの二人との出会いでした。そして健康コンビとの交流が始まり、益子からの帰りの車で本格的にルポの依頼を頂き、このルポも始まり、手創り市へのコミットもより増し、あっと言う間に一年が過ぎたのです。

ルポを始めてから思ったのは、開催から次の開催迄の一ヶ月が、とても長く感じられたこと。それだけ、毎月、濃い時間を過ごしていたのだと思います。

でも一年という尺度で過去を振り返ると、ただ過ぎた時の経過に驚くばかりです。



そして、最後に話しを聞いたのは、手創り市の名倉くんです。


ルポが始まって何かが変わりましたか?


「変わりました。ルポ=うえおかさんなんで、うえおかさんていう異分子が、手創り市に入る事によって、スタッフの意識も変わってきたでしょう。作家さんの声って言うのが、直接的に貰える声もあれば間接的に貰える声もあるので、そうした両方の声の捉え方がルポ以前・以降では違うよね。ルポ開始以降は直接的も間接的にも以前より作家さんから声を貰える事になったし、僕も会場で作家さんと話すことを意識的にしてゆこうとしたところもあります。ルポの機能、ルポ=スイッチになっていたんだろうなって。ルポにゴールはなくって、続けてゆけるけれど1年の経過と共に終わる。そんなルポの一年だったかなって思います」


さらに続きます。


「ルポは一年でスパッとやめます。何故か? ルポの継続っていうのは、手創り市を開催している以上終わらない事で、その中で会場に訪れる人、作家さんのストーリーっていうのは、開催する度にその積み重ねの中でずっと続く事なので、どこかで終わりを設定するって事は僕の中ですごく大事な事。継続する事、同時に断つ事だって大切だから。いずれにしても一年という約束。例えば、二年、三年続ける事も可能なんだけど、果たしてそれに意味があるだろうか?テンションを保てるだろうか?って考えた時に色んな声があれど、一年できっかりやめる、そういう態度をはっきりしたかった。だからこそうえおかさんはそこに対して、時にしんどい思いをしながらも続けたんだろうなって。多分これが二年も三年もやっていくって前提であれば絶対だれる。なぁなぁになるかもしれないし。だからルポはもうおしまい。さようならって事で(笑)終わりです」


ありがとうございました(笑)



と、ここで名倉くんが僕のボイスレコーダーを手に取り、僕に逆インタビューを始めます。


ちょっとそれ貸してみて。

インタビュアー名倉が聞きます。ルポを一年やってみてどうでしたか?


「体力が付きました」


それはどういう?


「人間としての体力、精神力・身体力もそうですし、社会に対するタフネスさ」


今まで弱かったんだね?


「弱かったですね(笑)いや、弱いとは言いませんけど(笑)最近そういう物が欠けていたのでそれを取り戻した事はあります」


社会って言ったら大袈裟だけど、人を介して改めて、作家さんから貰える声を汲み取る事によってそこで得るものが大きかったと。


「はい。そうですね、作家さん、お客さん、スタッフさん、特に作家さんがつくり手の方なので、僕も個人的にものをつくっているので、そこで考えさせられる事が多かったのと、あと個人的なスタンスとして、自分が人が好きなんだって事を再認識させられた、というのが大きかったですね」


人のどういう側面が好きなんですか?


「人と話していて、その人なりの言葉と出会えた時に、とても喜びを感じます」


それはネガティブな事でも?


「ネガティブな事でもそうかもしれないですね。その人なりの言葉、その人の心に出会ったという事になるので、それがつながりという事や共感という感覚になると思うので、そういう事が僕は好きなんだという事が改めてわかりました」


この一年で改めてそういう事を感じ、体験出来た。


「体験できました」


はい。1年間お疲れさまでした。ありがとね。



これで8月開催、最後のルポを終わります。

この一年間ルポを通じて出会ったたくさんの作家さん、お客さん、そして雑司ヶ谷のスタッフさん、そしてこのルポを読んでくれていた皆さん、本当にありがとうございました。

正直に告白すると、GW辺りに、僕はこの雑司ヶ谷のルポが終わる事を寂しく思っていました。

勿論、一年の約束で始めた事や、これ以上ルポを続ける事による問題等を考え、ルポの延長を申し出るという選択肢はなかったのですが、長い期間、毎月雑司ヶ谷に通い、手創り市の空気の中にいて、スタッフと冗談を交わし、顔見知りになった作家さんと談話し、顔馴染みのお客さんまで出来てしまうと、もう雑司ヶ谷手創り市が身体に馴染んでしまって。

そこでふと思い付いたのは、手創り市のスタッフになる事でした。

毎月お客さんとして顔を出すなら、スタッフのみんなと共に仕事がしたい。

でも現在、スタッフの数は一杯だしなぁ。

そんな事を薄々考えていた時、名倉くんから、今年の10月から開催される「&SCENE」のスタッフにならないか?という誘いがありました。

数日、返事は待って貰いましたが、手創り市との関係を強くつなげていたいという思いと、「&SCENE」の会場がギャラリースペースや、ライブなどが出来るスペースがあるという事、新しい手創り市のスタッフとして参加させて貰う事を決めました。

ですから、ここでお別れ!という訳ではございません。

手創り市のライターの仕事も、並行して行えるものは行う予定です。

ですから書く事から離れるのではなく、書く事も含め、スタッフとしてやっていくつもりです。

今後ともどうぞよろしくお願いします。



うえおかゆうじ



追伸 

今回のラストルポで、この一年間のルポとしての総括を僕は行いませんでした。健康コンビや、名倉くんがその役目を担ってくれたというのも多少ありますが、それは理由ではなく、僕がこの一年間書き、このブログ上に収められたそのルポの中に、それは生の形で残っているからです。同時に、今ある手創り市がその総括の答えの様な物だと思うからです。

一年という時間は足早に過ぎましたが、僕は、手創り市開催の一年間(正確には11回)を形に残す事が出来ました。

インターネット・ブログ、時代の流れは速いし、僕も健忘が激しい方なので、次から次へと景色は流れていきます。

中学生の時のクラスメイトが、卒業文集でこんな事を書きました。

「忘れないで欲しいけど、そんなの絶対無理だとわかってる」。

今でもその言葉を僕は良く思い出すし、今もその女の子の事をよく覚えています。

僕のルポが何らかの形で皆さんの心に残る事を願います。<了> 



手創り市のルポへのご意見ご感想は下記mailまでお寄せ下さい。
1年間お付き合い頂き有り難う御座いました。


手創り市
名倉哲





手創り市のルポ・2012年7月開催

手創り市のルポ・2012年7月15日開催



この日の僕は手創り市のお手伝いを兼ねて、朝六時半から会場入りしていました。この時間に会場入りするのは、はじめてのルポ以来の事。
そして様々な作家さん達がブースを組み上げる中、眼にする事が出来たのは、大鳥神社「ハギレ市+ハギレを用いたワークショップ」と、鬼子母神「DRAWING SHOW 〜WHAT'S PANCAKE MAN? 〜」、この二つの企画がだんだんと形をなしていくシーンでした。
一挙に二つの企画を展開する今回の手創り市。また違った景色がそこには広がっていました。

朝九時を回り、手創り市開始と同時に、インタビューも開始。
まず初めにお届けしたいのは、最近活動も活発化している「手創り市写真部」の新しい部員konさんのインタビューから。

何故写真部に参加しようと思ったのかを聞かせてください。
「知人に連れられてここに来て、一回目からその魅力に取りつかれてしまって、すごい買い漁ってしまって、とてもこの手創り市が好きになって。で、ちょうど写真をやっていたので、何かきっかけがあれば参加したいなと思っていたのと、小物が撮りたいなと思っていたのがあって、たまたま応募を見つけて、これだと思って喰い付きました(笑)」

どういう所に手創り市の魅力を感じますか?
「厳選されたお店の、クオリティの高い商品と、売っている人のあったかい感じとか、コミュニケーションをしながら品物を選べたりとかが魅力だと思います」


次にお話しを聞いたのは、120°さんという布物の鞄や小物などをつくる作家さんだ。

何故、この方にインタビューをしたのか?それは、僕が彼女のブースで作品を観ていた時の話しかけ方、作品の説明の仕方がとても丁寧で親切だったから、ついつい声を掛けてしまったのです。

コミュニケーションにおいて何か気を使っている点はありますか?

「最近なんですけど、お客様が商品に手を伸ばしやすい様に声を掛ける事ですね。持っていいのかしら、見ていいのかしらと、躊躇されない様に、どんどん見て頂けてお客様からも質問が得られる様にしています。なるべく商品のつくり方等を説明しながら見て頂く様にはしています。同じようなジャンルで物をつくられている方ならわかるかもしれないけれど、普段つくる事をなさらないお客様ですと、お店で売っている物と、私が売っている物、どこがどう違うのか?そういうポイントがわかり辛いかと思うので、自分がどういう所をポイントにしてどういう事からこの値段になったのか、そういう事がわかるように説明しながら、手に取って頂いています」

その背景を伝えていくという事ですよね?

「そうです。でも、それを意識的に出来る様になったのは最近ですね。前はお客様に声をかけることもなかなか出来なかったので」

意識していこうと変わったポイントはどの辺りにあったのですか?

「同じ出展者さんに、『商品の説明をしてくれるとすごくわかりやすい』と言ってくれた方がいらっしゃって、なるほどと思い、そういう風にされるとわかりやすく見てい頂けるのだなと感じて、ちょっとやってみたら、お客様からの反応が出てきたというか、繋がったので」

次の質問です。ハギレはどのようにされていますか?
「ポーチとか財布などハギレでつくっています。裁ち方によっては生地が大量に余るので、それで鞄はつくれないので、今は、ポーチとか財布ですけど、面白い物であれば、その都度つくるという感じです」

できるだけハギレは無駄にしない?
「そうですね。なるべく使い切れる様に、買う時も無駄にならない量を買っています」

物をつくる喜びや原動力はどこにありますか?
「自己満足にならないように気を付けつつやっています。お客様に喜んで貰えた時などは、自然と『あ、またつくろう』という気になります」

手創り市に望む事や、問題点があれば?
「他のイベントに出る時に、『手創り市っていうのがあるんだ?』ってよく言われるので、もっと告知をして手創り市を広げて欲しいですね」


次にお話しを聞いたのは、今回の「ハギレ市」にもハギレを提供してくださっている、affordance(アフォーダンス)さんという、革小物を主に扱う作家さんだ。

屋号の由来を教えて頂けますか?
「この屋号は、言葉としてあるもので、『行為を引き出す』という意味があって、物の見方をちょっと違う視点で捉えてる考え方なんですけど。例えば二つ物があって、こっちがいいなって右側のものを選ぶじゃないですか?普通だと、僕が主体になってそれを選んだってことじゃないですか?焦げ茶色がいいなって思って、それを選んだんですけど。affordanceの考え方で行くと、焦げ茶が僕に、『こっちが良いな』という行為を引き出した。物ありきの考え方というか」

物が行為を引き出す情報を発信しているという感じですかね?
「そうです。建築で良く使われるんですけど、空間でここに椅子があった方がいい、何故かと言うと、なんとなく居心地がいい、座りやすい、自然の流れで、ああここに座ろうみたいな。そういう、環境が人の行為を引き出すという言葉です」

ハギレ市に今回ハギレを提供していますが、その提供するまでの経緯を聞かせて頂けますか?
「GRさんという作家さんと、すごい昔に、僕もよくハギレで物をつくってて互いに色々と話してたんですよ。いつかハギレで何かやりたいなっていうのは、結構前から言っていて、それで暫く経ってお話し頂いたんですね」

ハギレではどの様な物をつくっているんですか?
「僕はペン立て。端革を積み重ねて削って、ペン立てというかブロックの様な物をつくっています。なかなかどうしてもハギレが出てきちゃうんで使わないとな、と」

今回提供されたハギレはどういった物だったんですかね?
「僕は牛革を使っているんで、全部牛革なんですけど、革って布と違って、部分部分で質か良かったりとか、悪かったり、悪いと言うのは伸びたりする部分はあるんで、そういう部分は商品としては使い辛いんですよね。負荷が掛からなければ使ったりも出来るんですけど。あと、牛が生きていた時に付いた傷とか残ってたりするんで、そういう所は使えないので、そういう所を除いて、集めた端材です」

ハギレがどういった使われ方をしたら嬉しいというのはありますか?
「単純に、切りっ放しじゃないですか。真四角とかじゃないので。で、それを日頃使ってる鞄なんかに『ベン!』って貼って貰ったりとか。つくらない形で使って貰えると……。それこそ牛の端っこの部分は四角じゃないので生々しい形しているんですよ。そういう所もハギレ市に出してるんで、きれいにカットせず『ポン!』ってね、使って貰えると、ハッ!としますね。なるほどこういう見え方しているんだって。どうしても僕は商品商品、きれいにきれいにってなってるんで」

物をつくる動機や喜びはどこにありますか?
「結局、ライフスタイルっていうか、ホント仕事って感じですよね。それで消化されるっていうか。世の中の出来事とか、それこそ今なら原発の事とか、溜まってくんですよね。つくっているとそういうのも、極端に言うと『言葉になっていく』というか。言語化出来るじゃないですけど、自分の中でわかりやすくなっていくんです」

自分の中で整理が付く。パズルがはまってく感じですかね?
「だからつくらないと落ち着かないです。生活の一部って感じですね」


次にお話を聞いたのは、若い男性のお客さんだ。

「手創り市は二度目です。六年前と、今日と。初めての時は閑散としてて観やすかった。今の三分の一の出展者で、静かに観れていた感じと今は随分変って、人も多いし、大鳥も含めてつつ驚いてます」

「やっぱり、こういう需要があったんだなっていう(笑)いやらしい言い方ですけど。こういうのが好きな方が増えたのか?もともといたのか?どっちだったんだろうって。最近、松本クラフトも含め、ブームなのかな〜とか思ったり」

「あとは、作家さんとの距離が近い点が良いですよね。百貨店とかで買うのではなく、つくり手の方を見て、こういうのをつくるんだって。どうやってつくってるんだろうって聞けるのが楽しいですね」

コミュニケーションから背景が見えて来る感じが良かったりしますか?
「つくってるものよりも、つくってる方のほうが面白かったりとか(笑)それを含めて、この作品を観てみようとか大きいですね。言い方悪いですけど、物が良くても、人が良くなければ近寄りがたいってのはありますね」

ご自身で何かつくっていますか?
「つくっていません。サラリーマンをやっているので、その分、なおさら興味があるっていうのはありますよね。普段そういう事をしてないので、すごく刺激になります」


次にお話を聞いたのは、紙で鞄を作る作家さんhouso(ホーソー)さんだ。

「紙の鞄をつくり始めたてから、一年間くらい試作して販売に至ってます」

お客さんと対話する時に気を使っている点は?
「紙なんで普通にネットとかでも販売したいんですけど、触って貰ったりしないと紙がどんな物なのか、ホントに使えるのかとかはわからないので、なるべくこういう場には参加させて頂きて、見て頂いて、触って頂いてっていうのを心掛けています」

多少濡れても大丈夫ですか?
「大丈夫ですよ。水弾くので。もともとが耐水なので」

デザインがものすごい数ありますが?
「思いついたらデザインしてます。一点物の方が楽しいと思うので、あんまり同じ柄では作らない様にしています」

手創り市に出てみての感触は?
「微妙でした(笑)実際宣伝にはなると思ってたんですよ、もともとが。売るとかって事じゃなくて、まず紙なので、触って貰って確かめて貰わないとしょうがないので、宣伝の為に出て。出会いという意味では良いと思っています」

物をつくる喜びや動機は?
「物づくりは嫌いじゃないので。もともとファッションが好きなので、買った洋服カスタマイズしたりとかずっとやっていたんですよね。好きだからじゃないですかね?好きだから。それ以外にないと思いますよね」


次にお話しを聞いたのは、動物たちをモデルにした小さな木工人形の作家さん、MOSCOWKOGEI(モスクワ工芸)さんだ。
「今まで出ていたのが、入場料を払って入るデザインフェスタの様なイベントが多かったのですけど、こういう神社とかお寺とかのイベントだと感じがやっぱり違いますね。客層も違うし、年齢も違うし、近所の方がふらっと来てくれるのがいいですね」

お客さんとの対話で気を使っている点は?
「商品に動くというアクションのあるものなので、説明を兼ねて、必然的に会話しながらにはなるんですけど。結構皆さん楽しく遊んでくれています。この動かし方を説明する所から、お客さんとのコミュニケーションに繋げていくっていう」

作品のコンセプトはありますか?
「実用性のないもの、ただ飾って楽しいって物ではなくて、ちょっとしたギミックでプラスアルファがある楽しさがあるものを目指してます」

今はこの仕事だけで生活しているのですか?
「この仕事だけだときついので、美術館のミュージアムシップに依頼を受けたりして、パズルのようなものを収めたりとかして、細々とやっています(笑)」

物をつくる動機や喜びは何処にありますか?
「特に深く考えたことはないんですが、手を動かしていると楽しいんですよ。僕の場合は。特に小さい物が好きなので、こういう物を細々つくっているのが大好きですね」

材料の仕入れはどこで?
「ホームセンターや東急ハンズで買ってくるのが多いですかね」

ハザイは出ますか?
「そんなには出ないですね。出ても他の作品のパーツにしますので」


次にお話しを聞いたのは、手創り市のスタッフ、伊藤(実里)さんだ。

「入ったのは、一年二ヶ月前です。もともとは父親の生まれ育った町で、よく町の雰囲気が好きだから遊びに来てて、で、開催されてたのを知りました」

スタッフ募集を丁度してました?
「はい。で応募しました」

迷わずに?
「迷いはなかったですね」

一回目来てみての感触は?
「その時には今日くらい人も出ていたので。前まではすごく静かな住宅地だった事を知っていたので」

その比較が面白かった?
「そうですね」

その頃から手づくりの作品は好きだったのですか?
「手づくりの品というよりは、大学で、最初は街づくり、建築寄りの事を始めていたので、街づくりの勉強として、手創り市に入りました」

どういった学科なんですか?
「学科的にはなんでもありの、デザイン寄りの学科なんですけど。でも今は全然、街づくり関係の事はせず、プロダクトデザインをやっていて、それはやはり手創り市の影響だと思います。ばっちり影響受けちゃったなと(笑)」

それをつづけて行きたいなという気持ちが出て来たのですね?それは手創り市に関わって一番大きかったですか?
「大きかったです」


次にお話を聞いたのは同じく手創り市スタッフの山本さんだ。

手創り市に入ったのはいつですか?
「秋でした。確実にいえるのは」

詩的な答えですね(笑)何年前の?
「四年前だと思います」

まだ選考会が始まる前ですね。
「そうです何気に」

どうして手創り市を知ったのですか?
「開催第一回目から知ってて。ひと箱古本市か、わめぞか、その辺りの本関係で知って。道で本を売っているイベントですね。二回目か、三回目かその位の時に行ってみて、その後一年位経ってもう一度来て、その時にスタッフを募集していたんです。雰囲気が変わっって、出展者が多くなっていたりとか。それで気になってホームページ見て、募集しているのを知って。次の月も、その次の月も募集していて(笑)スタッフ全然来てないんだなって思って、ちょうど自分のタイミングも良かったので、新しい事をやろうかな?というタイミングで。応募しました」

もともと山本さんは本が好きで手創り市の情報に出会った?
「そうです。古書市関係で色々調べてて、この市の事を知ったんです」

もともと手づくりの品には興味はあったのですか?どのようなレベルで?
「ありました。レベルってどう言えばいいのかわからないけれどとりあえず、デザインフェスタとかに行っていましたというレベルです」

四年いて、手創り市の変化を見ていて思う事は?
「スタッフでない時に会場に来た時は、ホントに十店舗くらいしかなくて。人も殆どいなくて、それが今、ここまで人が増えたので。変化のスピードが速く、それについていこうと必死で、その事をあんまり思い出す事はないんですけど、たまーに思い出すことがあると、胸がいっぱいになります」

手創り市の問題点は?
「多分あると思うんですけど、わかりません。何気にもやもやしていて、焦燥感があります。」

焦燥感?
「時々もやもやします」

それは個人的なものですか?全体的なもの?
「うーん、そうですね。多分個人的な事のような気がします。手創り市が変わっていくと同時にスタッフである自分も変わっていく必要があって、でも私はまだそれに対応しきれていない、と思っていて。それができたらきっと見えてくるもの、つまり問題点がわかるかもしれない」

今後やってみたい企画等はありますか?
「企画はあるけれども、やる気が(笑)」

アイディアはあるけど、やる気がないって事ですか?
「はい。まだそこまでモチベーションが上がってない。正直な所、まだ自分はスタッフで精一杯なんですよ。やることを考えても手に負えないなと、かえって周りに迷惑かけちゃうなと思っていて、アイディアはあってもまだ時期ではないという感じです」


次にお話しを聞いたのは、鬼子母神で行われているイラストレーター湯本さんの「DRAWING SHOW ~ WHAT'S PANCAKE MAN? ~」、そのアシスタントを務める清水さんだ。
清水さんは、ARTS&CRAFT静岡にてライブペインティングやインスタレーション、アーティスト部門などに出展もしている絵描きさんでもあります。

テーブルで絵を描く事に集中する湯本さん、その隣では、パンケーキマンがパジャマを着て椅子に座り、その上には、今回の「DRAWING SHOW」の概要や湯本さんの想いが示されたボードが。そして清水さんの前のテーブルには、ZINが三冊、並べて売られていた。更にパンのぬいぐるみにドローイングした作品も。

この企画誕生の経緯を教えてください。
「きっかけは、湯本さんや名倉さんたちと他愛もない会話をしていた時に、『ユモちゃんってライブペンティングとかどうなの?』って私が聞いたんですね。で、意外にも『すごくやってみたい』という前向きな答えが返って来たんですよ。私は、ユモちゃんは自分でも自覚しているけど、おしゃべりとかコミュニケーションとかちょっと恥ずかしいなというのがあるので、遠慮するかと思ったんですけど、前向きだったので、じゃあやろうよ!って」

その場で決まったんですね?
「はい、その場で決まりました」


そこからの今日までの流れは?
「最初の時点で、企画の内容をかなり固めたんですよ。アイディアや什器の事など。その一番初めっていうのが重要だったかな?ライブペインティングって、壁を立てて大きい紙に書くって感じだったんですけど、話し合った結果、いつもの様に書くのがいいよね、って事になって、そう思ったらじゃあテーブルを置いて、物販、グッズを皆さんに楽しんで頂ける様にって事で、物販のコーナーも置こうかって事になって。そのテーブルで描いてるってだけだと、やってますっていうのがなかなか伝わり辛いと思ったので、看板を付けようとういう事になって、その辺りから手創り市スタッフの秋田さんが、「DRAWING SHOW」ってタイトルを決めたって感じですね」

現在、DRAWING SHOWが行われていますが、感触はどうですかね?
「当たり前だけど、人によるなぁって。観てくださる方はすごく熱心に観てくださるんですけど、なんだろうなぁ〜って感じで通り過ぎる方もいます。でもみんな眼で観てはくれる、かな。私が結構意外で嬉しいと思った事は、説明の文章のボードがあるんですけど、皆さんそれを熱心に読んでくださるので、私はそれが嬉しかったです」

すごく良く出来てますよね?
「そうなんです。湯本さんの気持ち、こう想っているっていうのがよく書かれていて、字があるっていうのを面倒臭がらずに読んでくれる方が多いなって思ったので、必要な役目を果たせてるなと思って嬉しかったです」

普段から湯本さんの絵を観ていると思うんですけど、ライブペインティングならではの作品の変化ってありますか?絵の変化とか?
「絵の変化はないかな?多分彼女自身に変化はない。環境と観る人が違っているだけ」

それだけ集中しているって事ですよね?
「はい。それは誰でも出来る事ではないと思います。湯本さんだから、湯本さんの絵の世界に集中力途切れる事無く入っていけるのかなと思いました」

最後に一言あれば?
「私達は絵が大好きで、絵をもっとみんなに観て貰いたい、絵の楽しさを知って貰いたいので、これからも頑張りますので、みなさんもっと絵を観てください」




次にお話しを聞いたのは、「DRAWING SHOW ~ WHAT'S PANCAKE MAN? ~」の主人公となるイラストレーター・湯本佳奈江さんだ。

今、終えてみて、率直な感想を聞かせてください。
「すごくいい体験が出来てよかったです」

それはどのあたりですか?
「絵を観て貰った事と、絵を観て貰った事を直にわかる事が出来たのが嬉しかったです」

それは書いていても、直接伝わって来るものなのですか?
「みなさん、それぞれ感想を口に述べてくれているんですよ。私が聞かなくても。あ、パンケーキマンイケメン!とか。みんな口にして呟いてくれてて、だからそれが耳に聞こえて来たので、嬉しかったですね」

初めは、iPod聴きながらって案もあったじゃないですか?それはどうなったのですか?
「事前に名倉さんにやめたほうがいいんじゃないかって釘を刺されて、確かにそうかもしれないなと思って。でも音楽をいつも聴きながら、家では描いているんですよ。だから、家の調子が描くんだったら、音楽は必要かなって思ったんで、音楽聴きながらやると思いますって言ってたんですけど、でもいざ書き出してみたら、音楽はいらなくて、集中も出来たし」

すごい集中してましたよね?
「はい。音楽ないと集中出来ないんじゃないかって思ったんですけど、全然そんな事なくて。で、音楽聴かない方がお客さんと話せたりもしたんで」

途中話したりもしたんですね?
「しました。コミュニケーション取れました」

嬉しいですね。
「嬉しいですね(笑)。ホント人見知りで話せないので。絵の事について話し掛けてくれると全然話せるので、私は」

それだけ湯本さんのコアが絵にあるって事ですよね?
「そうですね。絵しかとりえがないと思ってるんで(笑)」

逆に反省点はありますか?
「絵の枚数ですね。今日三枚しか描けなかったので。ホントは六枚くらいは描きたかったんですけど、三枚目で時間掛かり過ぎちゃって。もっと短時間でさくっと描ける絵の方が良かったかなって」

三枚目の絵が凝った絵だったって事ですかね?
「結構細かくしちゃったので、もうちょっとラフな方が、形も気にしないで、枚数描けるし良かったのかなって思ってます」

ライブペインティングは、またやりたいですか?
「やりたいです。出来れば大きい絵を描きたいなって、どこかで描ける機会があればって思ってます」

それは今日やってみてそう思ったって事ですか?
「そうですね。今日やってみて、人に観られながら描く事が大丈夫なんだなってわかったので」

それは自信になったのですね。
「自信になりましたね」

それは嬉しいです。
「よかったです。ありがとうございました」


次は会場が変わり、大鳥神社へ。鬼子母神側の入口から一番奥の区画に、今回、「ハギレ市+ハギレを用いたワークショップ」が展開されていた。木漏れ日の中、低い机が並べられ、その上に、様々なハギレがパッケージされて売られていた。

パズルのような木のハギレ、様々な形や色の取り合わせが詰まった布のハギレや、ハギレとは思えない程見事にパッケージされた木のハギレ、染めた布のハギレを巻いた物や、米を入れる紙袋に詰められた鋸屑、鉋屑など。実にバラエティーに富んだハギレ市となっていた。



そして、線路側の方では、「ハギレを用いたワークショップ」が行われていた。
接ぎ端材の針山をつくるワークショップ、紙で創るはこ、サシェ、自由制作などだ。

午前中はあまり参加者のいなかったワークショップも、この時間帯、たくさんの子供たちで賑わっているテーブルもあった。それは実に珍しく、微笑ましい風景だった。


そこで行われている自由制作に参加してくれた女の子に話を聞いた。

歳はいくつですか?
「9歳、小学校四年生です」

今日は、手創り市は初めて来たんですか?
「はい。ママの友達が手創り市に出ているので来ました」

今日は、ワークショップっていう工作に参加して貰ったけど、これをやってみようって思ったのはどうしてですか?
「工作と図工が大好きだったので、やりたかったです」

今日は何をつくったんですか?
「猫の車です」

これは何で出来ているんですか?
「ボタンと革と木の枝です」

木の枝がヒゲになってるんですね?
「はい」

つくってみてどうでしたか?
「大変だったけど、出来た時に嬉しかったです」

ありがとうございます。またこういう会があったら来たいと思いますか?
「ぜひ来てもう一回やりたいです」

今度来た時にはどんな物をつくりたいですか?
「まだ決まってないけど今日は猫の車をつくったので、今度は紙で作る箱の方を作りたいです」

手創り市に来てみて、この場所をどう思いましたか?
「みんなと触れ合って、色んな物をつくったり出来て、凄く楽しくていい場所だなと思います」


次に話しを聞いたのは、木工作家の只木さんだ。彼は今回「ハギレを用いたワークショップ」に参加しています。

ハギレ市+ハギレを用いたワークショップ」が形になるまでの経緯を聞かせてください。
「最初に岡野さんからお話を頂いて、そこでハギレって物に少し可能性を感じていたんですね。個人的な体験なんですけど、材とかを切り出す時には、ある程度、100の中から如何にして材を取れるかって事が大切だ思うんですよ。無駄を出さないって事は。という所で行くと、端材をどう活かすかって事は、勿体ないという精神の前に、端材の生み出し方にも一人一人の作家としての背景がちゃんとあると思っていて、そこに何か価値を見出せないかなって感じていた所で、ハギレ市に繋がるような話を頂いたので、参加してみようと思って参加しました」

ハギレ市に繋がる様な話しとありましたが、それは具体的には?
「ロスがあるじゃないですか?必ずしもつくったものすべてが世に出る訳ではないし、やっぱり試行錯誤してって部分のハギレって物を何か有効に活用出来ないかっていう話を聞いた時に、だったら僕もこういう事を考えていてって話をして、それらがだんだんと人を巻き込んで、市って形になったんです」

実際今日、只木さんが持ち寄ったハギレはどういう物だったんですか?
「僕は今回ハギレを持ち込んでいないんですよ。最初は作家さんのハギレを使って何かしたいっていうのと、ハギレ市って物の話が進むに連れて、僕は今回、二つワークショップをやって、ひとつが端材での自由制作、あとは、普通のワークショップで、端材で入れ物をつくるというもの。なので僕自身は提供してないんですよ。同時に、ブースを作家として出展しているんですけど、そっちでは、すごい個人的なコンセプトで僕が普段主につくっている物の余白というかハギレの部分を使って道具をつくりました。という意味ではハギレ市という物に参加したつもりなんですけど」

今日実際ワークショップをやってみての感触ってどうでしたか?
「初めての試みってあって、最初はお客さんみんなワークショップってものに積極的でない部分が見えて。ハギレを使ってワークショップをしようって事が、そんなにインパクトの強い事でもないし、きっとありがちなテーマではあると思うんですけど、もっとこう、自分達がやりたい事っていうのは、その人たちが何をつくるかではなくて、つくった後に、各々の生活に何を還元するかって事だと思うんですよ。それを強く伝えるって事が最初だから出来なかったって事と、単純に誰かが参加してないと声は掛け辛いっていうのはあったと思います。でも午後から、子供の自由工作の参加者が増えて来て、それが、ハギレ、ハギレじゃない関係なく、みんなの創作意欲、欲求はあるんだな感じて、それこそ自分達が普段やってる事はひょっとして特別な事ではないんじゃないかな?と思いました」

「当日にこの空間をつくり出したので、空間のサイズとかも行ってから知った感じだったので、僕のイメージしてた感じとは違ったんですよ。イメージというものが固まってた訳でもなくて、こうあればいいなという思いで什器出して、並べて、その都度その都度、対応していかなきゃいけない問題っていうか、違和感があって、それを直しつつだったので、なかなか機能してくれない感じはずっとあったんですよね。決まらないなぁっていうのはあって。もちろん僕一人だけの問題でもないんですけど。ある種の違和感がずっとあったんですけど、午後に人がたくさん来てくれたので、人がその場にいると見え方も変わって来るし、ひっぱられると思うんで、アクシデントと言えばアクシデントなんですけど、そう言った意味で後半はよかったと思いますね。次に繋がる感じはすごくあったので、それがすごくよかったです。」

「みんなで集まってやって、意見をぶつけ合うって程でもないですけど、枠を決めてくって事はそんなにきつくはないっていうか。むしろそうあった方がいい方に転がるとも思っているんですよ。妥協案って言い方は良くないですけど、集まった人数分のより真ん中に近いところで収める、もしもっといい意見を言ってくれたらそっちに行くのもありですけど、そういう、真ん中っていうか、それを留めておくと次があるので、そういう意味では現場にいながらすごい客観的に見れるんですよ。その場その場で変化出来るから、勝手は違うと思うんですけど。もし、もう一回ハギレ市をやるなら試したい事とかあるし、ハギレ市じゃなくて何かしら機会が与えられるならハギレ市じゃなくてもいいというのも感じれたので、面白かったです。つくり手で集まってひとつの場をつくるってのは実際そんなにないんで、そういう意味では動きやすかったし、意見もぶつけやすかったというのもあります」

自由工作に参加した小学生にインタビューもしたんですけど、参加した子供たちには何かアドバイスはしたのですか?
「僕が補助に入った時には提案って事はしなくて、まず何をつくりたいかを聞いて、それがある子はそれに一緒になって材を選んだりとかはしてたんですけど、そういうのがない子っていうのは、どのハギレが好きか、手に取ってください、という所迄しかしなかったです。今回参加する意味として、みんながハギレをどう使うのかを知りたかったというのもあるので」

このハギレの使い方面白いな等のエピソードはありますか?
「一番印象に残ってるのは、自由小作の子供なんですけど、ハギレってある程度ギリギリ迄使われた材じゃないですか?形もいびつだし、そういう意味では個性的な材だと思うんですけど、そういうのを無視して、普通に家をつくるだとか(笑)。僕の場合は、これはウサギの耳に見えるだとか、何々のこういう形に似ているっていう風に流れると思ったんですけど」

連想から入るって事ですよね?
「そういうのを無視して、そこにある材で、自分が思っていた一番強いイメージを無理にでもつくり上げるっていう子供の考え方が自分達にはないっていうか、どうしてもそこにそこに価値を見出しちゃう部分があると思うんですけど、そういうのを取っ払って物をつくり上げる姿ってのは久々に見たので、そういう意味ではいい意味で裏切られたなって言う気がしてそれがよかったですね(笑)」


最後に、今月の二つの企画について名倉くんに聞いた。
「今回は、ハギレ市+ハギレを使ったワークショップと、湯本さんによるDRAWING SHOWをやってみたけれども、この二つの企画はそれぞれ起点が似てるんだよね。ハギレ市の方はスタッフの伊藤くんが企画を進め、そこに作家さんがコミットしてくれたからこそ成り立った手創り市にとって今までにない企画。終わってみての感想はこれから伊藤くんに聞くけれども、きっと様々な点を反省していると思うんだ。でも、それはひとつの企画として事前にそれだけの準備をしてきたからだろうし、僕であればもっとシンプルにわかりやすくまとめて、やりやすさを重視してしまったろうな、と思う。とにかく作家さんと共にやりきったことは嬉しいし、有り難いと思ってます。次が絶対にあるだろうから、さらに姿を変えてゆくはずだよ、きっと」

「DRAWING SHOW終わってみての感想だけれども、単純に楽しかったし、すぐにでも次をやりたい。手創り市に参加してる絵描きさんでも、そうでなくてもこの場所でやってもらいたいと思う方がいれば、その方のやりたいことを軸に考え、一緒に場をつくれたらと思ってます。」

「内容について云えば、これはさ、改善する為にやってるところあるから、これでいいって事はないし、そもそもひとりの絵描きの嗜好というものあるから、それはやたらまとめる必要はないと思ってる。僕らスタッフは事前の準備と当日のサポートに徹する。なにより今回は、絵描き同士の普段の会話の中からDRAWING SHOWの企画は生まれたし、企画の為の企画のような始まりでなかったことが大事。これはハギレ市にも共通する部分はあるかな。あと、湯本さん個人に対して云えば、普段描いてる時にヘッドホンと音楽は欠かせないらしかったけれども、そこは手創り市のような場にせっかく出てゆくのだから変えてみるチャンスではないか?と伝え、実際どうなることやら、と思っていたけれども、当日蓋を開けてみれば彼女自身、外に出て描くことってどういう事かを考えた上でヘッドホンと音楽を外していた。それは嬉しかったし、外の喧噪程度では彼女の集中力は途切れないということを実証したと思う。絵描きだなあと思ったね。いずれにしても、ハギレ市はスタッフと作家さんからの声、DRAWING SHOWは絵描きからの声によって企画を行えた事について、それがどういう事なのか?をしっかりと考え、これからに繋げてゆかなければならない事だと思ってます。また会場が楽しくなっちゃうね」


以上で7月のルポを終わります。今月に行った二つの企画が、どの様な形に変化するにせよ、それぞれまた別の機会を得て開催されたらと強く思います。

ハギレを用いたワークショップの只木さんの話しにもありましたが、複数の作家さんがひとつのワークショップに関わり、それを切磋琢磨しながらつくり上げていくそのスタイルに、更に面白い事が出来るのでは?と個人的に期待しています。例えば僕が作家の立場なら、言葉を使って、誰とどんなワークショップを共に展開出来るだろうか?なんて妄想までしちゃいます。
そして、今回湯本さんが行ったようなライブペインティング、アート系の企画が雑司ヶ谷手創り市で実現した事。これは貴重な事だと思うし、また次を見たいと思わせる物がありました。
今回も長い長いルポでしたが、ここ迄眼を通してくださって本当にありがとうございます。
さて、来月はとうとうこの「手創り市のルポ」も最終回を迎えます。いや、晴れて開催されなければ、最終回を迎える迄もなく終了という事になるので、どうか!晴れる事を切に願いつつ失礼したいと思います。


うえおかゆうじ

・・・・・

手創り市のルポも来月で最終回。
1年間の連載という約束で始め、これはきっかり1年で終了します。
8月19日・手創り市開催日、ラスト・ルポをどうぞ宜しくお願い致します。

※「手創り市のルポ」へのご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ。

手創り市
info@tezukuriichi.com




手創り市のルポ・5月開催




【手創り市のルポ・2012年5月20開催】


まずは先月の振り返りから。

4月開催のルポで、「michikusaqoosha(ミチクサクーシャ)」さんから、こんな声があがっています。

「出したい作品が多いので、ブースの空間をいつも一杯一杯使わせて頂いてるんですけど、どうして鬼子母神はテントはダメなんですかね? 大鳥は大丈夫じゃないですか? サイトにはその理由が載ってない。それは何故ですか?」
と言う疑問です。それに名倉くんが答えます。

「そもそも、手創り市のはじまりは鬼子母神で、普段の景色、空気感がいいなと思い、企画を勝手に持ち込んで時間かけてようやっと会場として始まりました」
「だいぶ前に雨天時の開催か否かで問題があった時、改めて雨天決行でテントを使ってやるかどうか、そもそも鬼子母神にテントが立ち並ぶ姿がどうなんだろう?と考えた事があったんだよね。こうした事はさ、いちいちアンケートなんかを取らず、主催者の考えを提示して、答えを決めればいいだけのことだとは思ったけれど、手創り市自体まだはじまって間もなかったし、その頃は都内に他の手づくり市もなかったし、ちょうどいいと言ったら語弊あるけれども、良い機会と思って、雨天開催について、またテントの使用についてアンケートをさせてもらったんだよね。勿論、自分たちとしてはこうしてゆきたい、会場の景観や手創り市の原点とは?を考えた上でのテント使用、ということね。そうした事も提示しつつ、踏み込んだ意見、広く意見を聞いてみたいと思ってさ」
「そのアンケートでは、思った以上に会場の景観や鬼子母神の雰囲気ということを、もしテントを使った場合にどうなるか?ということまで含めて答えてくれたものが多かったね。テントを使いたい気持ち以上に、毎月開催する訳だし無理に開催せず、そして景観を考えてテントを使わないでやろうよ、という意見と気持ちを交感できたと思ったんだよね。という訳で鬼子母神でのテント使用は不可となってます。で、サイトにその理由が載っていないのは何故?だけど、それを書いたら簡潔って訳にはいかないからかな。とはいえ、こうして改めて質問をもらった以上はブログ等でいつでも見れるようにウェブ担当のスタッフと相談します」
「あと、テント使用については今後も一切の余地がないか?というと、そうは思っていません。簡単には出来ないけれども、鬼子母神の景色を壊さない、という前提、それと、鬼子母神の景観にマッチするようなテント、全体のトーンとしてある程度の担保が保たれていれば、あとは考えようだし、改めて出展者の皆さんに問いを投げかけてゆきたいし、その上で鬼子母神さんに相談してゆきたいと思ってます。思いつきだけれど、テントづくりのワークショップとか出来たらいいなあ、と。アイデア募集しております!」

「michikusaqoosha」さん、今回は質問ありがとうございました。
この様に「手創り市のルポ」では、皆さんの声を拾い、それにリアクションを返すこともやっていますので、会場でもし、僕にインタビューされた場合には、疑問点や思いの丈を思う存分伝えて頂けたらと思っております。では、5月開催のルポ、始まりです。



最近、会場に新しい景色が加わったことに気付かれた方、たくさんいると思います。そう、「手創り市写真部」の活動が本格的に始動、そこかしこで部員さんが様々な被写体や景色にカメラを向けている風景です。
そして今月から、イラストレーターの湯本佳奈江さん作のカメラロゴが入った黄色い腕章も部員さんの腕に加わりました。
そんな写真部の部員さんに、1「何故、写真部に参加しようと思ったのか?」2「どういう所に手創り市の魅力を感じるか?」という二つの質問に答えて頂きました。

toshiさん
1「写真が趣味なので、単純に趣味だけで撮ってブログなどに載せる程度だったんですけど、もうちょっと上手くなりたいなって。人に見せるという感覚をもうちょっと刺激的に味わう場所を探していたら、ちょうど手創り市が写真部を募集と。僕みたいなへたれでもいいのかな? と応募しました」
2「作家さんやつくり手さんの心底持ってるクリエイティブ精神といいますか、そう言う所と接するいい機会だなと。商品も多岐に渡って、壷とかそういう石工物から木工物、皮とか布とか色々あって、中古のボロ市とかとは違う、ものをつくって売るというのはなかなかないので、そう言ったところに魅力を感じますね」

Asumi Sakata 
1「手創り市に何回か来たことがあって、写真とかも撮ってたんですけど、前仕事でカメラマンをしていたこともあって、人を撮るのが好きで、手創り市の写真部という形だと、より交流しやすいなと思って参加しました」
2「直接作家さんが売ってるってことに魅力があるなと思っていて、例えばどういう素材を使ったとか、そういうストーリーが聞けるのとか、あと作品だけじゃなくて人が見えて来ると、この人がつくってこういう雰囲気か〜とか知れるのが面白いなと思って。人見知りされる方も中にはいますし、色々なんですけど、それを含めて面白いなと」

yukorin
1「手創り市に来た時に写真部っぽい方がいたので声を掛けて、まだ募集しているよって教えてくれたので応募しました」
2「色々あり過ぎて悩むんですけど、ひとつ挙げるなら、出展者とお客様がこういう青空の下で直接接触出来ることに魅力を感じました」

Ayako Fuda
1「もともと陶芸とか最近だと銅版画もやっていて、ものづくりは好きなんですよ。で、インターネットで調べたら、手創り市って言うのが池袋の方でやってるのを見付けて、前々から楽しそうだなと思っていて、一昨年に来て、でも遠いからなかなか来れなくて。で、ブログは観ていて、写真部立ち上げますって記事を見付けて、写真部だったら写真出来るし、やれるかもしれないと思って、入部しました」
2「多種多様な作品が一気に観れるのと、作家さんとおしゃべりが出来るんで、ただ観てると普通の器だったりとか、小物だったりするんですけど、実は、つくったお皿の余りでこういうアクセサリーをつくってるんだよ、とか、お皿も違う土を使ってみたり、何回も焼いてるんだよとか細かいことを教えてくれるので、付加価値が付くと言うか、ものにも愛着が沸きくのがいいと思います。やっぱりお店で買っちゃうと店頭に並んで買って、ああーって感じなんで。背景のストーリーがわかって、そういうものが一同に集まる場所ってそんなにないじゃないですか? ちっちゃい展示会に行くと一人の作家さんのしか観れないし。それに手創り市では、若干安いですしね(笑)」

komugikkoさん
1「もともと手創り市に遊びに来ていて、フリーマーケットに比べて生活を楽しんでる感じがして、丁度写真を趣味で撮っていたのもあったので、それから写真部として撮りたいなと思って参加しました」
2「色んな作家さんがいらっしゃって、それぞれ扱ってるものは違うんですけど、それぞれ生活を楽しんでる感じがして、エネルギーを貰える感じが私は好きです」

ちなみに写真部は現在総勢9名です。今回は、この日会場にいた5人の部員さんにインタビューすることが出来ました。様々な想いを抱いた部員さん達を今後ともよろしくお願いします。

 

写真部のインタビューを終え、早速作家さんの取材へ。最初にインタビューしたのは、「もんやら昆布図工室」さんという木工作品を主にした作家さんです。

「もともと、もんやら昆布の屋号でイラストの仕事をしていて、そらからものづくり、生活で使えるものをつくってみたいなと思いまして、それで『図工室』」
 
手創り市に出てみての感触は?

「最初は木とかが好きなんで、木でものをつくってこういう所で出してっていう、清らかな感じで参加してたんですけど、やっぱり多少は儲けんといかんな、みたいになって。そういう視点で観るとこういう所もやはりマーケットだから、こういうものがウケて、こういうものが人目を引いてとか、そういうのがちゃんとあるんだなってのが面白くて。それは自分が直接つくったもので自分が直接マーケティングをするっていう醍醐味があるっていう。つくって明日、人に評価して貰えるっていう。そういう意味では、普通の企業を相手にしているよりはサイクルが早くて楽しいですね」

そうですね、サイクル。月に一度ありますしね。

「じゃ、すぐその場で改良してみようとか、すぐ反映出来るっていうか」

お客さんとかなり話されるんですね。

「シャイなんであまり話さないんですけど、反応を見ますね。あと年配の方がどういう視点で観るのか、とかあるんですよ。ただ周りで出されてる作家さんが本当にプロでやってる作家さんだったり、趣味でやってる人が、一緒の場所で対等にやっているのがとても良いことだなと思っています」

作品のコンセプトはありますか?

「もともとやっぱり自然素材、仕上げに工業的なものは塗布したりしないで、木のものには植物系のオイルでフィニッシュしたりして、口に入れても大丈夫じゃないですけど、なるべく自然なものを使うっていうのがコンセプトですね。木に限らず真鍮だったら、錆びカラーを使うんじゃなくて本物の錆びを使う、全部本物の素材にしたい。そこら辺のルールは逸脱しないように。ものづくりにはハードルがあると、逆に発想が出てくるんで。一応今の所はその辺を縛りにしてますね」

あぁ、それは良くわかります!素材にもこだわりがあると思うんですけど、どういう形で仕入れられていますかね?

「いやー、本格的にやってる木工作家さんに比べるとあれなんですけど、仕入れは近所の材木屋さんや知り合いの人とかそういう所から木っ端を分けて貰うって感じですかね」

じゃ、余った端材とかを使ってつくられてる?

「そうですね、丸太から仕入れてやるって感じではないですね」
木工を始めてから今に至るまで、仕入先が変わっていったっていうのはありますか?
「いや、段階的に変わって行きますよね。最初は近所の材木屋さんに行って、『木分けてください』とかそんな感じ、あと東急ハンズ的な誰でも行けるところで買ったり。だんだん、知り合いとかワークショップとかに参加するようになっていくと、こういういいところあるよって教えて貰ったりして、出掛けて行って、ああここいいなとか。ただまだまだ仕入先は広げて行きたいなとは思っていますけどね」

端材はどうなされてますか?

「端材は溜まる一方です。ただこのコースターは端材でつくっているんですよ。そういう意味では端材の活用先も考えながらつくっていますね」

来月、「ハギレ市」がありますが。

「誘われているんですけど、どうしようかなって思って。なかなか準備する時間がなくて。でも端材の活用先としてすごくいいなって思います」

ものをつくるときの喜びや動機はどこから来ますか?

「こういう自然素材って触れてるだけで癒されるんですよね。対象物とのエネルギーの交換が楽しいっていうか。加工してる時の木の匂いだとか、あと、時間を忘れる感覚が、普段やってるイラストとかデザインとかとは違うっていうか。僕の場合は本業があって、これがあって、行ったり来たりみたいな、なんか、必要があってやってるのかな? みたいな感じがしますね」

互いの相乗効果がある。

「そうですね! 木工ばっかりになってきちゃうと、それはそれでストイックになっちゃうのかなって。あと、こういう場所で貰うエネルギーが創作意欲に繋がっています」

お客さんだったり場の雰囲気だったり?

「そうですね、家で一人でつくるだけなら続かないですね」

ああ、そういう話は良く作家さんから聞きますね。誰か受け取ってくれる対象があってって所ですよね?

「そうですね。今のところは自分がつくったものを目の前で手に取って貰えるっていうのが嬉しい。それが創作のモチベーションになってるかもしれないですね」

手創り市に注文、要望があれば?

「場所が選考なんで、人通りのある場所の時とない場所の時の差が激しい。そこを考慮して参加費を多少、500円でも変えて頂けるとありがたいかなと」

 

次にお話を聞いたのは、手創り市の女性スタッフ三坂さんだ。三坂さんはこの日でスタッフになって二年三ヶ月の大鳥神社担当のスタッフだ。

手創り市を知ったきっかけは?

「知り合いの作家さんが出展していて、それを観に来て、手創り市の存在を知って、面白いな思って通うようになったのがそもそもの始まりです」

じゃ、スタッフになるのは、結構通われた後の決断だったんですかね?

「自分でもその時期なんかやってみたいなと思う時期で、スタッフ募集の記事を目にして」

タイミングがばちっと来た?

「そうですね」

面接ではどんな話をしましたか?

「私が率直に当時の大鳥が寂しいなということを伝えて、何が出来るって訳じゃないですけど、もしスタッフになれたら色々学ばせて貰いたいなって事を伝えました」

こう二年三ヶ月の時が経って、学ばせて頂きたいって言葉があって、個人的な心の収穫とか何か学んだ事を教えて頂けますか?

「いろんな作家さんと知り合う中で、人との出会い、ものを通しての出会いとか、すごくいい刺激にもなってるし、自分でも吸収出来ている感覚はあります。ちょっと自分でもつくっているものがあって、出れたらなって思ったことがあったんですけど、今はそれよりもスタッフとして、色々関わって行きたいなっていうのが強いですね。ま、いずれはなんらかの形で自分の作品を出せたらと思っているんですけど、今は手創り市でその手法を学んだりしている感じです」

手創り市のスタッフをやりつつ、自分でも作家として出てみたいと思っている?

「なんらかの形で出れたらとは思っているんですけど、そこまでのレベルにまだ達してないという」

ちなみにどんなものをつくってらっしゃるんですか?

「秘密ですね(笑)まぁ、模索中です。色んな作家さんの作品に刺激を受けながら、自分の中でも最初やりたいって思ってたことがちょっとずつ変わって来てるんですよ。だから、これ! っていうのはなくて、動いているところがあって、まぁ、秘密です(笑)」

大鳥、だんだん賑わって来ましたよね? その流れを見ていて三坂さんはどう思われていますか?

「素直に嬉しいですし、その反響、お客さんからの声だったりとか作家さんからの声を聞けて、今いい感じになって来てるなとは思います。いい繋がりですよね。お互い高めて行くような繋がりが出来て来てる感はあるんですけど、私の中には」

そういう対話を持てる時間があるってことですよね?

「そうですね。あと、自分の目線の変化ですよね。お客さんじゃないスタッフとしての目線が出来てきたかなとは思います。それは私の中でプラスになってるんじゃないかなって勝手に思ってるんですけど」

今後何か自分から発信したい企画や、やりたいことなどありますか?

「漠然としたものは色々とあるんですけど、自分の中で具体的にはなっていませんね。来月「ハギレ市」がありますけれども、そういう企画でいい方に手創り市が変わっていけると思うし。いい方に向ける企画。私の中で確定してないのでなんとも言えないんですけど」

 

次にお話を聞いたのは、染物に、現代風にアレンジした家紋を入れた作品を展開する「西染物店」さんだ。


手創り市に出始めて作品が変化した点は?

「東京にあまり来た事がなかったので、東京の小洒落た感じというか、出来るだけ取り入れたいなと思うんですけど」

やられていることは家紋のデザインじゃないですか? それをちょっと現代風にする、というか。その辺のコンセプトについて聞かせて頂けますか?

「実家が着物に家紋を入れる仕事をしているんで。やっぱり着物に家紋を入れることはなくなって来ていて、家紋というものが知られなくなって来ている分野で。だけどデザインを見るとすごく面白いんですよ。色々なものを組み合わせてひとつのものにしているんで、その文化を残したいっていうのと、自分の染め方は引き染めって言って、これも伝統的な染め方なんですね。着物を染めたりする時に。その両方の文化とか伝統を守りつつ、現代の生活に使えるようなものに変えていきたいと思ってやってます」

家業としてやられていて、普段もそちらの仕事をやられているんですか?

「そちらも修行しつつなんですけど。染めは京都で修行して来て、家紋を入れる仕事とこの染物をミックスしてやっているという」

文化の話が出ましたけれども、西さん自身つくる動機や喜びはどの辺に感じていますか?

「やっぱりこういう場でこういう技法でやっているということを知って貰えるというか」

それは、日本の文化を残したいという想いですよね?

「そうですね。日本のこういう染め方は海外にはない繊細な染め方なんですよ。日本人のアイデンティティーがつくり出した染めなんで。これだけ情報が入ってくるような世の中になって来ると、世界のレベルというか、画一化してしまうというか、そういう気がしてしまうんですね。日本は今まで飛び抜けた繊細さがあったというのに、段々レベルが下がってしまう気がして、そのレベルは残したい、守りたいっていうのはあるんで」

日本の繊細さ、アイデンティティーを大切にしたいって想いはいいですね。例えば染めとか家紋の繊細さをもう少し詳しく聞かせて頂きたいのですけど。

「例えば、家紋を先に知ってて、その後に花の家紋を見て、花の形、実際の植物を見ると、その花の名前はわからなくても、これはあの形だってわかるんで、すごい繊細で大胆にデフォルメされているんですよね。その感覚って日本人ならではのものだなと思うんですよね。これはスミレの形なんですけど、それを蝶の形にしたりとかしているんですよ」

なるほど!(スミレの花の葉が蝶の羽のように広がっている)

「そういう掛け合わせとかあったりとか、これはツバキの家紋なんですけど、周りに雪輪(ゆきわ)っていう雪の形をしているっていう」

はいはいはい!(白い雪の玉の中にツバキの家紋が刻まれている)

「これだけで物語性があったりするんですね。それだけで日本人の情緒豊かな部分がこんな小さい所に感じられるんで、そういう所は、家紋は素敵だなって思いますね」

手創り市で何か気付いた点、問題点はありますか?

「僕の話ではないんですけど、知り合いが陶器の作家さんで、ARTS&CRAFT静岡に出ていて、前日搬入出来るとか、搬入の時間がもう少し長ければと言ってました。陶器の人ってディスプレイにもこだわるし、ものも重いので、搬入が二時間くらいだと、ちょっとやりにくいって言ってたので」

要望等はありますか? こういう企画がやって欲しいとか?

「あんまりこうアートの部分が増え過ぎると、こういう手づくり品が好きな人とは違う層の人が来ると思うので、僕は商売的に言ったら、手づくり品が好きな人が来る会場がいいと思ってます」

 

次にお話を聞いたのは革靴をつくる作家「HAKU」さんだ。

HAKUさんの、なんとなく読めるんですけど、屋号の由来は?

「「靴を履くの「履く」です(笑)」

それは迷いなく決めたんですか?

「色々と候補はあったんですけど、つくってるもの自体をすごくシンプルにつくりたかったのと、ファッションの要素もあるんですけど、履物としての道具という部分を僕の中で強く意識しているので、シンプルに「HAKU」。あと、響きが色の白い「白(HAKU)」と同じなんで、色の白い状態からお客さんが履いていって、お客さんの色に育てていくっていう意味も含まれるかなと思って」

なるほど!すごくシンプルでいいですね。作品のコンセプトもその辺に通じて来るんですかね?

「長く履くってことをコンセプトにしてるんで、デザイン的にも10年も20年も流行に左右されないようなデザインを考えてるんで、極端に奇をてらったものでなく、長く履けるものを考えてますね」

ベーシックなもの。

「そうですね。あと革自体を履いていくうちに味わいが出るものを使っているんで、デザインを細かくするよりも革をなるべく大きく使って、革の履き込まれた皺の感じとか、そういうのが綺麗に表現出来るようには心掛けてるつもりなんですど」

デザインもそうですけど、どちらかというと素材の部分がすごく重点になって来ている。

「そうですね。やっぱり革の特性でもあるんですど、手を掛けて手入れをしていくと風合いが変わっていくので、そいうのも楽しみながら履いて頂ける靴を心掛けているんですけど」

靴をつくろうと思ったきっかけは?

「今となっては思い出せないんですど、人間が手でつくれるって知ったときびっくりしたんですよね。靴ってものを。手でつくれるプロダクトの中でなんか魅力を感じたというか。道具という面とファッションとしての形っていうのが上手く凝縮されているというか、そういうのは昔から何となく思っていて。ものを手でつくる仕事をしたいなとは思ったんですけど、その時なんとなく靴を思い出して」

ものを手でつくる仕事をしたいと思ったきっかけはなんなんですか?

「もともとグラフィックデザインの仕事をしていて、そう言った面でいうと、ものをつくる仕事だったんですけど、もっと自分の手を使ってつくりたいなっていうのがあって、その時でしたね。パソコンでやってたデザインも全部やめちゃって実際革を使って仕事を始めました」

HAKUさんはこの靴屋さんだけで生活してらっしゃるんですか?

「HAKUを始めたのが、四月のARTS&CRAFT静岡からなんで、なるべくこっちだけでやって行こうとは思っているんですど、軌道に乗せようって所ですかね」

ものをつくる喜び動機を教えてください。

「自分のつくったものをわざわざお金を出して買って頂ける人がいるっていうのが一番嬉しいなと思うというのと、結局自分が死んだ後に残るものは、つくり出したものだと思うんですよね」

それはすごい台詞ですよね。

「本当はなるべくたくさんの人に買って貰って、死んだ後も、ものが残っているのが素晴らしいなと思うので、より良い靴をつくったらより多くの人が手にしてくれるのかなぁと思ってやってます」

材料の仕入れはどこでやってますか?

「東京の浅草に革や靴の問屋さんみたいなものがあって、そういうところでだいたい買ってます」

初めからそこに行かれたんですか?

「靴づくりを習った場所が浅草にあって、すぐ近くにそういう場所があったという」

手創り市の問題点、気付いた点などあれば?

「大鳥はブースの線、空間の幅がわかり辛い。鬼子母神は札があって分かりやすいです」



次にお話を聞いたのは、陶器に小さな挿絵のような絵付けをしている作家、「ヒロロ工房」さんだ。


お客さんとは対話されますか?

「対話します。目を見てちゃんと話すと気難しそうな方でもニコっとされて器を手に取ってくださったりとかするので、好きで来ている方ばかりなので嫌な思いとかはしたことないですね」

絵柄がかわいいですよね? 作品のコンセプトはその辺にあるんですかね?

「もともとはシンプルな器をつくってたんですけど、娘の誕生をきっかけに、子供が喜ぶと思って絵付けをやってたらそちらの方が結構楽しくなってきちゃって。最初は渋い作品をつくってたんですけど、絵本の世界の様な、物語性のあるような、ただの器なんですけど観るとホッとする様な、そういう世界を出したいなと思って。空想するのは好きなので、子供っぽいかなって思ったこともあるんですけど、ま、それはそれでそういう器もありかなと」

もともと絵本が好きっていうのがあるんですか?

「やっぱり子供がきっかけで。自分も小さい頃は絵本を読んでいたんですけど、大きくなると離れるじゃないですか? で、娘の誕生で絵本を見ると、昔のものも今のものも引かれるものがあって」

絵が持つ温かみだったりとかインパクトみたいなものですかね?

「そうなんです。はい。もともとイラストレーターを目指していた時期があったんですけど、学生の時のサークルで陶芸に出会って、今は絵を描いてるって所で繋がってる気がして。夢はあきらめたんですけど、イラストレーターの世界は厳しいので。今は陶芸教室で働きながらやっています。陶暦は長いんですけど、作品を発表しようと思ったのは、ここ5年くらいですね」

どうして作品を発表しようと思ったんですか?

「やっぱりもっと人に観てもらえる場所に出ないとと思ったので」

作品を発表し始めて、何がどのように変わりましたか?

「人に使って貰うためにつくるっていうのが、新しい仕事の一部になって来たので、今までは給料を貰って、陶芸を教えるってだけで満足していたんですど、こうやって毎月出すのでも、毎月仕事をして、それらしくなって来た。そんなこと言うと本当の器の職人さんに怒られるんですけど、やっとこう仕事らしくなって来たって感じで嬉しく思ってます。自分でも」

ものをつくる喜びや動機はどこにありますか?

「器の場合は実際につくったものを使えるっていうので、魅力も感じますし、お客さんが絵付けを観て喜んでくれると、あぁ、もっと描きたいなって思いますよね。ついつい描き過ぎちゃったりすることもあるんですけど、喜ぶ顔を想像するとついつい」

 

次に僕は、男性のお客さんに声を掛けた。

「手創り市の第一印象? 今日手創り市に来るとき、友達にフリマに行って来るよって言って来たんですけど、フリマとは大違いでした(笑)。中古とか既製品を売っている、古着だとか、そういうのじゃなくてゼロベースでオリジナルでつくったものが一杯あるから、いわゆるなんたら市って言っても違うんだなーって思いました。すげーなーって感じです」

作品に対して何か感じた部分はありますか?

「クオリティはすごい高いですね。いわゆるその自分でつくったものを売るっていうと、品質とかが分かり辛いじゃないですか。工場とお店で売っているものと比較してどういうものかって観てたんだけど、すごいちゃんとしていて、そこらの店で売っているものより全然しっかりつくっているなって感じです」

その辺の手づくり品に対する見方、感じ方が覆された感はありますか?

「そうですね。確かにレベルは高いなと感じました」

会場の雰囲気はどうですか?

「すごい良かった。売っているのが神社とかお寺っていうのがいいなって思った。町に解け込んでるし、寺とか神社って昔からいわゆるコミュニティの中心地じゃないですか? お祭りとかやる。それに近しい感じがして。来ている人も地元の人とか、この為に来ている人とか一杯種類はいると思うんだけど、良い感じに融合してるなぁーっていう印象を受けましたけど」

手創り市にやって欲しい企画はありますか?

「企画で言うと、必ずしも多分、ものを売るためだけにここに来ている訳ではないと思うんです。売ってる方も、買ってる方も。そういう意味でいうと、たまにはちょっと全然違うか形で祭りみたいなことをやってもいいのかなって思いました」

手創り市祭りじゃないけど、神輿が出たり、何かテンションが上がるようなものがあればってことですか? 

「見えないものを手創り市で売ってもいいかなってことです。例えばそれを定例にするのは厳しいと思うんだけど、食べ物オンリーとか、音楽オンリーとか、コンセプトを明確につくってる手創り市があっても面白いかなという感じ。今はいわゆる、ものに特化してますよね? それを食べ物オンリーとか、他の五感で縛るとどういう風なのが集まるのかなって思いますね。今って手創り市として縛りは入れてないじゃないですか? クオリティだけじゃないですか? このコンセプトでものをつくってくださいとか、和物で統一した時に、みんながどんな風に作品を上げてくるかとか、という方向か。あとは祭りっぽく音とかでっていう方向かなぁ。ただのジャストアイディアなんで、なんなんですけど」

手創り市会場に、不便な点などありますか?

「そんなに気にならなかったんですけど、系統で集まってると周り易いかな? でも今はシャッフルしてますよね? それは多分歩いてて色々なものが偶然見れるからでしょ? だからそれはそれでいいんじゃないですかね?」

 

次に話を聞いたのは、夫婦のお客さん。

「はじめて来ました。たまたま通りかかって。みんな手づくりのものだったので興味深く観ました。妻が手づくりの品が好きなんで、Tシャツを染めたりしているんで、色々と違う染め方のものがあったからと喜んで観てました」
「偶然通りかかって、かわいいものが一杯あったので。こんな規模でやってるんだったらもっと時間つくってこれたら良かったなと思って。今、ちっちゃいボタン買ったんですけど。自分の持ってるシャツのボタンを変えようと思って」

何か気付いた点はありますか?

「大鳥の一番奥側の通路のスペースが狭い。お客さんと背中合わせだと当たっちゃうから、お店をスルーして通り過ぎたりしましたね。でも大鳥神社は、これくらいのスペースだし、これくらいの出展数ならいいかなとも思いますね」

 

次に取材させて頂いたのは、奇抜なキャラクター雑貨など、実に色々なものを出展している「もかや」さんだ。

こう見ると色々な作品が見受けられるんですけど、作品はいつ頃からつくられているんですか?小さい頃から?

「基本的に完全につくり始めたのは2年くらい前に、働いてた会社を辞めて、その前から趣味でなんかをつくってたのが、24時間体制に切り替わり、こんなに増えちゃったので、売るか、的な流れです(笑)」
「需要とニーズがあってないんで、家にはどんどんこのガラクタが増えていくんです(笑)
狭い家なんですけど」

作品のコンセプトを言葉にするなら?

「やりたい放題(笑)」

面白い形のものがいっぱいありますよね? 想像の産物?

「思い付くまま」

手が動くまま?

「そうですね(笑)。基本下書きとかしない。無計画です(笑)」

つくることの喜びや動機はどこにありますかね?

「できちゃった感?(笑)」

できちゃった感っていいですね。出来た!じゃなくて出来ちゃった(笑)。

「失敗も成功なんで(笑)」

ああ、それ僕も思いますね。失敗は成功ですよね。

「失敗というのはないです(笑)」

ないですよね。

「お客さんにとっては失敗なのかもしれないけど(笑)そんな感じです」

手創り市の印象は?

「すごいお客様がハマリ易いです(笑)気に入ってくれるお客様が多いです」

それは面白いものを求めるお客さんが多いってことですかね?

「センスがいいのか悪いのか、どっちだか分からないけど(笑)」

手創り市の気になる点、問題点があれば?

「自由にやっているので返って迷惑を掛けているのじゃないのかと。結構はみ出しちゃってるのでなるべく大鳥神社の端っこを取ってるんですけど」

今、生活っていうのはどうやって送られてるんですか? つくること一本で?

「一応前の会社で週に一、二回仕事をしつつ」

副業をしつつ、こっちが本業で?

「本業? 仕事になっているのかどうか(笑)でもこっちがメインで動いてます。でも真っ赤かの赤字で(笑)打ち上げでいっぱいご飯食べたりしちゃうんで」

打ち上げ経費が殆どなんですね?(笑)

「もうちょっと安く飲めたらいいんですけどね(笑)」

 
(今月は「みちくさ市」さんも同日開催となりました。)

最後に声を掛けたのは女性のお客さん。この方は三月に一度、手創り市に作家さんとして出てくれたことがあるという。まずは、ブログの話から。

「これはブログ全体のイメージなんですが、いつもなんか新しいことを発見しているっていうのは読んでいてはっとしますね。あと、ルポは、お客さんの視点と作家さんの視点を上手く交合させて書かれているので。私も実は、つくる側として参加したことがあって、勉強のがてら足を運んでいるんですけど、つくる側の視点でわからないことがたくさんあるので、そういうことをたくさん書かれているのが参考になるなって思って読まさせて頂いてます」

ありがとうございます。なんか、すごい丁寧な感想を頂いて。

「直接聞きたいこととか、わからないこと、不安ってたくさんあるので、そういうのをどういう所から情報を得ればいいのかなって思って。それで、スタッフさんが書かれているブログだったりルポだったりをまめに観ていくと、皆さんの意見というのが伝わって来ると感じています」

手創り市に感じていることを教えてください。

「前回来たのは、2月の冬だったんですけど、寒いながらも、お客さんもどのようなものを観てるのかな、とか、あたたかみのあるものだったりとか、季節感のあるものですね。今回、大鳥神社には初めて来たんですけど、雰囲気が鬼子母神とは違うって事をブログ等で書かれていたので、やっぱり違うなっていうの入ってみて感じたんですけど、よりお客さんとの距離が近いというのはやはり感じました。垣根がないとうか。ちょっと鬼子母神の方が自分から声を掛け辛いというのはありますね」

手創り市に何か要望はありますか?

「作家さんが発表になった時に、ジャンルを分けて頂くともっとイメージが伝わるかと思いました。ブログのリンクを貼るのは難しいと思うのですけど、どういう思いでつくっているっていうのが伝わると思うので、カテゴリー分けをして発表して頂くと分かりやすいかと思います」

やっぱり、お客さんとして来ていらっしって、作家さんの人柄とかも気にされます?

「気にします。その人の価値観や人生観みたいなものが、つくってるとその品物に表われてくるというか、入って来ると思うので、そういうところもひとつの物語としてお客さんもすごく知りたいんじゃないのかな? と思って。その人の裏側みたいな。つくっているもの、完成されているものってお客さんは目にするけど、その人の裏側、葛藤している部分だったりとか見たいんじゃないかなと思います。揺れ動く気持ちとか、作品には入ってしまうと思うので、そう言った部分でカテゴリー分けをして、日々つづっていることだったりとかに辿り着けるようにしてあげると、より一層深みが増すんじゃないかなと思います」
 
最後に何か言いたいことがあれば。

「一年くらい前の話で、それまでは手創り市の事は知っていたんですど、自分が出るとかってことは考えた事はなかったんですね。で、丁度自分が創作を続けていく上でどういう風に作品をつくっていけばいいのか模索していた時に、名倉さんがブログで「人からどう思われようが自分が好きだからつくる」っていうことを書いている日があって、それに心を動かされると言うか、そういうバンと入ってくる文章って印象的で元気を貰ったんです。それは印象深く残っていて、出られるように努力したいなと思って、三月に応募して一度だけ出れたんですけど、それはまだ寒かったから応募者が少なかったからかなと思ってます」

 

これで5月開催のルポを終わります。
長い長いルポでしたが、ここまで眼を通して頂いて本当にありがとうございました。そして取材に応じてくださった皆さん、手創り市に足を運んでくださった皆さんにも感謝です。
来月は「ハギレ市+ハギレを用いたワークショップ」そして、雑司ヶ谷手創り市には今までにないとある企画も行われます!
開催予定日は6月17日(日)。みなさんぜひ遊びに来てくださいね!

うえおかゆうじ

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いつになくなが〜い手創り市のルポにお付き合いくださって有り難う御座いました。
ルポに対しての要望・感想等は下記mailまでお気軽にどうぞ。

手創り市






手創り市のルポ・4月15日




【手創り市のルポ・2012年4月15日開催】


いつも9時から10時の間に会場入りする僕ですが、この日は、8時半にはすでに会場に着いていた。久々に見る開催前の光景。什器が組まれ、ブースが形をなし、会場がざわめきとともにひとつの市場として機能し始めようとする。
今回、僕が九時前に会場に入ったのは、他でもない。
「季節のおくりもの・パン」が開催されるからだ。
この企画は四店舗のパン屋さんに、それぞれ「季節のおくりもの」というコンセプトで「おくりものセット」を用意して頂き、それをお客様に向けて提供して頂くというもの。
今まで、ワークショップや場づくりのような企画はあった。しかし、この「季節のおくりもの」の企画はそれまでとは大きく違い、今までそれら企画に関わったことのないスタッフが名倉くんと連携し合ってつくり出したものなのだ。
スタッフの一人が、黒い看板に、「季節のおくりもの パン」と書いたものを、大鳥神社の入口に配置し、いよいよ市が始まった。





今回「季節のおくりもの」を提供する四店舗の周りには、早速、多くの人がパンやおくりものを買いに集まっていた。その中には、先月から発足した「手創り市写真部」の新人さん数名が、懸命にそれらのブースにカメラを向けている姿もあった。
僕は、今回インタビューすることになっている手づくりやさんのおくりものセットを買うと、一旦その人込みを離れ、スタッフのいる受付に戻った。
そしてみんなの目線が一斉に注がれる中、おくりものの包みを開け、みんなでパンを分け合い、笑い合いながら、互いの感想を交換し合ったのだった。

僕は大鳥神社を離れると、今度は鬼子母神へ足を運んだ。
今日の最初の取材に応じてくれたのは、「studio caravan(スタジオキャラバン)」さん。主に鉄で身の回りの家具などをつくられる作家さんだ。
「15年位、京都の百万遍の手づくり市に友人の手伝いでよく行っていました。向こうの友達が染物をやっていて、遊びがてら手伝ったりしていました。その頃はまだ東京に手づくり市はなかったので、『あぁ、こんなの東京にもあったらなぁ。』と思っていました。
実を言うと、手づくり市自体、出すのが今回初めてなんですよ。」

出てみての感触は?
「意外と静かですよね。まだ午前中ってのもあるけど、京都の方は脇の方でセッションとかやってたり、ダンサーがいきなり踊り始めたりとか。ここでもそんなことやってるのかなぁと思ったら意外と静かで落ち着いているなって。音を出したりするのは、住宅が多いから出来なくてもしょうがないかなとは思ったんですけどね」

作品のコンセプトを聞かせてください。
「新しいんだけど錆びたような味わいと言うか。ワビサビと言うか。新しいけど、ピカピカしていない。長く使い込むほどに味わいが増すような、そんな家具を目指しています。
それと、実用的っていうのが一番ですね。あくまでも家具なんで。変にデザインとか芸術性とかそっちを追うんじゃなくて、やり過ぎずにシンプルで、使いやすく飽きが来ないものを」

ものをつくる動機や喜びは?
「やっぱりものをつくっていて、「絶対」っていうものがないんですよね。 毎回毎回が賭けというか、最後まで完成がないというか。毎回、工夫と失敗と挫折の繰り返しというか。それがある意味大変でもあり面白くもある部分って言うか」

失敗が種になって成功に繋がる連鎖ですよね?
「常にビュンビュンとアンテナを張ってネタを探しているとうか。ライブを観に行って、『こんな椅子あってもいいんじゃないか?』 とか。カフェとかにいって、『こんなものをあってもいいんじゃないか?』 とか。あと京都のお寺さんを観て、和をイメージして棚をつくったりとか。普段の日常生活全てがデザインのもとですね。」

色々なものを取り入れつつ、形を変えて行きつつって感じですね。
「そうですね」

最後に手創り市への要望は?
「お祭り的な盛り上がりというかパフォーマンスがあればいいなと。住宅街に支障のない生楽器とかで楽器を演奏していたりとか、大道芸の人がいたりとか、そんな自由さだったりとか。あと京都はおばちゃん率が高いですよね? 京野菜売ってたりとか、たくわんとか売ってたりとか。だからここも、地元志向の有機野菜とか、練馬大根とか売っててもいいのかな? とか思いますよね。泥臭い感じで。手づくりの作家ものだけでなく、もう少し枠を広くしても面白いのかなと」


次に僕は若い夫婦のお客さんに声を掛けた。

手創り市に来られたきっかけは?
「手づくりのものが好きで、そのリンクを辿っていったらここがあるってことを知って、それで来ました。こんなに賑わってるとは思っていなかったですね。入ってみて、私好みの小物とか器とかたくさんあったので、二回目来たいって言って、無理やり主人を連れてきました(笑)」
「僕は正直、男性って女性の町中の買物とか付き合うのって苦手だと思うんですよ。でも鬼子母神ならいいかなって。僕歴史小説とかよく読むんですけど、鬼子母神がよく出てくるじゃないですか? そういう場所ならいいかなって。実際来て、和だから落ち着くし、お店の方も「買え買え」ムードはないし、お寺からはお経が聴こえるし、癒される。いつもだったら嫌々付いて来ていたところを今日はぼーっとしつつ、癒されながらいました。僕的にはいい感じでした」 

環境に癒されたって感じですかね?
「丁度良い賑わいですね」

奥様はどのような手づくり品が好きなんですかね?
「手づくりのものって、ひとつしかないじゃないですか? お店に並べられてるものではないので、貴重なのでやっぱそういうところが好きなんですね。これをつくった人はこういう人なんだって見て周れるんで、すごい私は好きな感じでした」


次にお話を聞いたのは、木材と真鍮・シルバーを組み合わせてアクセサリーなどを主につくっている「ライトミル・アクセサリー」さんだ。

先程、カード状になった木のサンプルを見せて頂きましたが、あれは世界中の木?
「世界中の木です。木は、新木場って所が日本で一番世界中の木が集まる場所なんですね。そこで切り売りして貰ってます。実際家具とかで使うとこういった木は値段が高過ぎるんですけど、アクセサリーという形でしたら少量なので、希少な材料を使ってたりもするんですけど、少量なんで贅沢な材料を使う、という形ですね」

手創り市を選ばれている理由ってなんでしょうか?
「自分自身が好きとか嫌いとかでものをチョイスされるっていうよりも、つくってるものに対して好奇心の強い方、突っ込んだ形で興味を示して頂くと、つくってる側としてはやりがいがあるというか。格闘技で言えば、対戦相手が強ければ強いほど、名勝負が生まれるというか(笑)。そういった形ですかね?」

ものをつくる動機や喜びを聞かせてください。
「ものを通じて社会とコミュニケーションを図るというのをお題目として掲げているところがあるので、例えば心の作用じゃないけれども、そういうものを共有する価値。規制の価値ではなく、自分の身の丈でハンドメイドで価値を共有するものって何だろう? ってところですかね。やっぱり、コミュニケーション図って初めてそういうものは成立すると思っているので。こういうものいいよね? っていうものを共有出来る場っていうか、そういうことを考えてますね」

やっぱりそれは通じ合いたいってことですか?
「そうですね。世の中のメディアや既存の価値から離れて、そこから自分たちのリアルな感覚っていうか、自分たちで感じたいっていうか。身の丈っていう形で、ただ一過性のものじゃなくって、そこを通じて成長できるような関係性っていうか。デザインを含めたものづくりを通じて成長出来る、そういう形が出来れば」

その間にコミュニケーションがある。
「もちろん、もちろん。中途半端な芸術家でこれを見てくれ! ではなくて、共有する価値、それがデザインだと思っているので、デザインを全面に押し出していってますね」

デザインっていうと、普遍性っていう部分ですかね?
「普遍性っていうと、人との機能っていうか。例えばお医者さんだったら身体を治すとかあるじゃないですか? そういったもののデザインをつくるっていうか。で、デザインってものが世の中に対してどういう機能があるんだろうとか? 3・11以降、不安な状況の中で、あるデザインに触れてほっとするじゃないですけれども、そういう風にデザインとしての役割・機能について考えてますね」
「家具やってる頃にイタリアのミラノサローネ(家具の見本市)に出したときに、たくさんのデザイナーの方とコミュニケーションを図ったことがあったんですよね。その時、みんな、デザインとは何だろう? ってすごいディスカッションした。自分たちにとって都合が良い悪いということではなくて、みんなデザインについてどう考えてる? って、そういうディスカッションがあったことが、三年前に印象的だったもので、じゃ日本に帰って来て、英語はしゃべれないけど、日本語で、コミュニケーションを図ることをやって行きたいと思いますよね」

それはどのようなディスカッションだったのですか?
「デザインって社会に対してどういう機能を果たせる? ってディスカッションしました。それにカルチャーショックを受けて、デザイナーがオーダー受けてつくるだけってことじゃなくて、実際にエンドユーザーの方とコミュニケーションを図りながら、つくるということを徹底してやろうと思っている」

デザインを通じて社会に対してどう働き掛けることができるか? とおっしゃっているじゃないですか? そこで、ライトミル・アクセサリーさんの中で見つかっている、見つかりかけている答えの様なものがあれば教えてください。
例えば僕は小説を書くんですね。3・11までは主にファンタジーを書いていたんですけど、それ以降、書けない時期が続いたんです。
「わかります。わかります。よくミュージシャンが今までの曲を封印して、新たにこれで行きたいみたいなことですよね?」

やっぱりリアルが問われているというか。
「リアルが問われてる。そうそうそうそう。やっぱり、いかに多くの方と価値を共有できるか? 例えば哲学とか能書きはあったりするんだけれども、でもやっぱり、ぱっと見たときに来るかどうか? ってことですかね。第一印象っていうか、そこが一番勝負っていうか、魅力ってことですよね? 最初の印象がすごく問われるというか。そこのために、全力投球しなくちゃいけないんだろうなとか」

「でもそうは言ってもベースにあるのは哲学ですよね? 哲学がないと振り向きもなにもされないと思っているので。僕らなんかは徹底してやっているのは、ライトミルって言うのは、光エネルギーを運動エネルギーに変えるってコンセプトでやっているんですけど。ものっていうのは光との反射というか、フェルメールの絵がなんであんなにみんなに価値とされるのかは、やはり光とものとの相性を徹底してやっているってことが現代でも、江戸時代の作品にも通じるものがあると思うんですよね。ものっていうのは、ものだけで存在するんじゃなくて、相対的な関係で存在するというか、そこが環境造形じゃないけれども、色彩という相対的な流れの中からあるコミュニケーションのひとつでもあると思うし、そのものと光との関係性っていうか、そういうところはずっと変らずやっているところですかね」





次にお話を聞いたのは、陶器や雑貨をつくっている「michikusaqoosha(ミチクサクーシャ)」さんだ。
「いたずらっぽいものをテーマにしてます。michikusaqooshaはお話をつくって、そのお話に出てきたものをつくってるんです」

物語がまずあるわけですね?
「本をつくったんですけど……黒山羊の郵便局員がいて、その黒山羊のお腹の中に私たち二人が住んでいて、ものをつくってるっていう話なんです。何かの拍子に黒山羊が手紙を食べて、手紙が美味しいってことに気付いてしまう。紙だから消化がすごく悪くて。お腹の中の小屋にマイスタームラっていう人が住んでるんですけど、その人の家が洪水になって来て、川が氾濫して、氾濫を防ぐ為に、もう一匹サルみたいのが流れ着いて、手紙に乗って、その二人が出会って、紙がちゃんと消化されるようにする。うんちとして排泄させるみたいな。で、うんちが作品みたいな(笑)ちょっと下品な話なんですけど。それが一巻。どの話も、手紙を読んで、これは大切な手紙だから返事を書かなきゃって、返事を代弁する」

それが作品?
「はい」

作品や物語の発想はどこから来ますか?
「二人はいたずらっぽいことが好きってのがあって、染物とか焼き物とか伝統工芸だから、ジャンルの世界観は好きなんですけど、こういうスタンダードの展示にそういう色が出せてなかった。僕の方ではそれをmichikusaqooshaの方に求めてるというか、遊べる場所を求めている。架空のものと現実のものがリンクしているとか」

そこはすごい面白いですよね?
「物語を作品に付けるっていう発想に至ったのは、つくった動物に最初本を付けたんですよ。『水玉アシカ』っていう水玉のアシカをつくって、そこにミニブックをつけて、ものだけじゃなくて、ものに付加価値が付いたら、それだけで大切に思えたりとか、面白いじゃないですか? 以前、オーストラリアで大学院に通っていた頃は、足にタイヤの付いたピンクのドアを町中に設置して観察するっていうビデオをつくったんですよ。結構、警察とか出てきたりとか大騒動になったりしたんですけど、でもその時はいたずらをテーマにしてて、そのいたずらに対するリアクションが面白いなと思っていて、そういう感じを自分の作品でも出せたら楽しいなと思っていて」

「日常の中にアートがあるというか、いたずらを通して芸術の面白さを伝えるというか」

「私がピンクのドアをつくったのも、アートって日本では高級アートって感覚があって、それは別世界に思われがちだから、そうではなくてもっと近くにあるっていうか、生活の中にあってこそパワー貰えたりとか、面白い気持ちになれたりとかするのがいいなと思っています」

垣根を取っ払ってってところですよね?
「そうですね!」

手創り市に何か要望はありますか?
「作家さんはフレンドリーな方が多いなと思っているんですけど、スタッフの方たちはちゃんとしてるというか、フランクに話す感じじゃないんだなって思ってて、なんかもうちょっと仲良くなれたらいいのにな。なんか、いつもこちらがお客さんという感じを受けます」

その垣根を失くすような何かがあれば?
「みんなでひとつの手創り市ってものをつくってる訳だから、もっと距離が近付けたらもっと面白いことが出来るんじゃないかなと思っています。コミュニケーションが生まれると」

他に何かあれば?
「疑問点なんですけど、鬼子母神はテントはダメなんですよね? サイトにはその理由が載ってない。それは何故ですか?」

さて、何故でしょう? スタッフさん、リアクションよろしくお願いします。


次に僕は女性二人の親子のお客さんにお話を聞いた。
「たまたま通りかかっただけなんですど、みなさんセンスがあってとてもよかった!」

あ、「季節のおくりもの」を買いましたね?mignon(ミニョン)さんのパンですね? このパンを買った決め手はなんだったんですか?
「美味しそうだったから!!(笑)」

シンプルでいいですね! 他に何か買われましたか?
「ここで結婚式用のネックレスをこれからメールでやり取りして作ろうかなっていう」

オーダーメイド?
「オーダーメイドです。それが出来るからいいですね。長さとか入れる石とかを二人で相談するらしいです」

ご結婚なさるんですね? おめでとうございます!!
「ありがとうございます!!」

嬉しいですね。手創り市とそういう風に関わって頂いて。逆に何か目に付いた点はありませんでしたか?
「もうちょっと安かったら」
「大鳥神社にいいコートが売ってたんですけど、1万5千円だったのよ。5千円なら買ってくれたのよこの子(笑)まぁ、手がかかってるからね。難しいね」
「品質を下げずに値段を下げて頂くと嬉しいな」
「すっごい素直な意見でしょ?(笑)」


次にお話を聞いたのは、柿渋で染めた生地などをつくるden/nibiiro(デン・ニビイロ)さんだ。
「選考が始まる前、すごい寒い時期に子供たちを連れて来ていて、家で染めとかもやっていたので、『いいねーお母さん、こういう風にお店出したいねー』って、自分たちがお店を出したいって言ったんですね。すごく楽しそうだから出てみたいと。でもその後、早朝の五時に並ばないと取れないとか、そういう状況になったので、一時あまり来ていなくて、で、選考に変ったときに、出すだけ出してみようって。それまでお店の委託とかは全くしていないので、染めとかも自分のところにあるものを観て頂くっていうか、個展ですね?」

展示会みたいな?
「そう。発表会っていうか、売れるかどうかってより観て頂けるかというのを。そういうのが出来るんだったら参加したいなって写真を付けて送って、出させて頂いたという感じなのでありがたいです」

出展してみての感触は?
「面白いです。どちらかというと素材として出してるので、出展者さんが声を掛けてくれるんですよね。あと柿渋をやっているお客さんが「どうやったらこの色が出るの?」とか質問して来たり、なかなかマニアックですよね。寄られる方は少ないんですけど、寄って頂くとそんな話しができる。午前中、スタッフの伊藤さんが来て、ハギレ市の話しもさせて貰ったんですけど、もともと端材の生地、白生地があったんですね。それを利用できないかっていうか?」

「自分でバックをつくるとか、そういうのではなく、お客さんが「これでバックをつくろう」とか、そういう風に使って頂く。静岡のARTS&CRAFT静岡は「生業に」ってあるので、自分とは違うのかもしなれいなと思うんですけど、この雑司ヶ谷は「つくるのはじまり・裾野」って表現をされてて、ずっとテーブルじゃなく地面にいるんですけど、あ! これ次、こういうの作って出してみたいとか、観て貰いたいなというところにずっといたいなと思ってます」

ずっと裾野でいたい。素敵な考えですね。
「ハギレがあって、これに針と糸があったら何か出来るじゃないですか? で、ハギレ市やるときに、ワークショップやるときでも、先生は私でなくても、針と糸があったら、『小学校振りだ』とか、あとお父さんが他のお店を見ている間にホントにチリチリやる場所があったりしたらいいのかなって。売るっていうのもあると思うけれども。子供のワークショップのお手伝いとか、工作のワークショップのお手伝いもしていたりするので、そういう場になったらいいなっていのはありますので、今日は午前中伊藤さんを捕まえて、「長いですよ私がしゃべると(笑)」って言って、次から次へ話しました」


次に声を掛けたのは女性の二人組みだ。

手創り市に来たきっかけは?
「自分もつくってるんです。でも見事選考に落ちてしまったんです」

来てみての感触はどうですか?
「レベルが高いなと、他のいろんなところを見て周ってますけど」
「みんな工夫してテーブル使っているので、地べたに座ってる人はなかなかいないので、
みんな見せ方が上手だよね?」
「ぱっと見て、見ようと思うブースが多い」
「あと、辺に作品のレベルが中間的なブースがない。他の手づくり市では輸入品とか売ってたりするけど」

何か要望があれば教えてください?
「神奈川に住んでいるので、横浜でもやって欲しい。手創り市のエリアを拡大して欲しい」





次にお話を聞いたのは、「季節のおくりもの」にも出展してくださっている手づくりやさんだ。

手づくりやさんのディスプレイとてもいいですね。おくりものがあるじゃないですか? それが観やすい形でケースにディスプレイされてて、良かったなって。
「ありがとうございます。みんなあのケースが欲しいとか言ってます(笑)」

なるほど、確かに欲しがるのもわかりますね。それではですね、今回「季節のおくりもの」って事で出て頂いてるんですけれど、そのコンセプトとポイントを教えて頂けますか? こういうところに重点を置いた。春ですよね? まず。
「はい、正直パンのレパートリーはそんなに少なくて、独学で結構やって来てるものですから、最初は出来るかな? と少し不安だったんですけど。最初からうちでつくっているもの、材料からつくっているパンがうちらしいかなと思って、うちの主人が畑とかやっているので、野菜やつくったものを入れたり、あとは、自宅の方なんですけど、夏みかんが出来ているので、取れるものをパンとかジャムとかにしました」

自分たちの身の回りにあるもの、をそのまま。
「そうですね。出来るだけ中に入れる具材とかも、なるべく購入しないで自分の所で出来るものを使いたいなというのがあるので。それが自分らしいというか、そうかなぁとは思ってはいるんですよね。定番の玄米味噌パンも一番最初からあるメニューで、玄米も味噌もうちでつくってるものなのでそれを入れたいと思いました」

先程いただいたんですけど、すごく歯ごたえもあるし、夏みかんや菜の花の香りが印象的でした。手づくりやさんにとって「季節のおくりもの」とはどういうものを考え、どんなものですか? 精神面で抽象的な話になってしまうのですど。
「相手に喜んで貰いたい、喜んでくれてる顔とかを想像しながらセットをつくったというか、直接買った方が誰かに贈るってこともあると思うんですけど、その方のことは見えないけれど、その方が喜んでくれるようなセットをつくった」

相手があって相手のためにというのが軸としてあるということですよね?
「そうですね。相手が喜んで貰えるようなものを」

何故パン屋さんをはじめたのですか?
「パン屋じゃなくてもよかったんです。ホントは自分がなんかつくりたいな、自分の職を身に付けたいな、って。で、結婚してすぐの頃は農業に興味があって、やっぱ田舎で自給自足の生活をしたいなと思ってたんですけど、「農業じゃ食べていけないぞ」って周りの人に言われて、で、色んなことを興味持ちながらそしたらたまたまパンになった感じです。別にお味噌も自分でつくってるんで味噌屋さんでもよかったし、自分でなんかこう出来るクラフト系のものでもよかったんですけど、たまたまパンだったんです」

なんでたまたまパンだったんですか?
「それは、今うちでつくってるパンはドイツ人の方のワークショップで教わったんですね。大分、改良はしてるので、大分元とは違うんですけど。そのワークショップの募集があって、あ! これだな!って思って。お米もつくりたいし、お味噌もつくりたいし、パンも好きだしって」

ハマった訳ですね?
「習う前からこれは私に向いてるなと思っていたし、天然酵母の方も勉強したかった頃だったので、そんな感じですかね?」

今日一日「季節のおくりもの」はどうでしたか?
「思っていた以上に初めての方が買ってくれた気がして、今まで鬼子母神で出てたので、探して来てくださった方には遅かったりして、セットは殆ど初めての方が多かったと思います」

最後に、手創り市の問題点、気付いた点を聞かせてください。
「手作り市のホームページなんですけど、出展者リストが見難い。名前とブース番号だけので、リンクとジャンルを付けて欲しい。たくさんあるからたいへんだと思うんですけど」


最後にお話を聞いたのは、今回の「季節のおくりもの・ぱん」の企画に関わった二人、スタッフの倉田さん加藤さんだ。

この企画が始まった経緯を。
「名倉さんが言い出して、年末に『パンの企画やるんだけどどうだい?』ってメールがあったんですよ。『いいですね!』って言って」

名倉くんが倉田さんがパンを好きなことを知っていて?
「そうです。『倉田さんはパンが好きだから、ただそれだけです』。という感じのメールでした。年末の忘年会に、名倉さんがスタッフみんなに手紙を渡して、その中に、『倉田さんはパンが好きだし、パンの企画でもどうかい?』って書いてあったんですよ。それでお礼のメールを出して、『いいですねパン』とか言ってたのでそれが最初だったんですかね?」

「季節のおくりもの」の原案は名倉くんの中にあって、その流れで倉田さんに話が来た。
「そうなんですよ」

加藤さんが関わる経緯は?
「私は知らないです(笑)バーター? サブ的な位置じゃないですか? 前にここに来て、名倉さんやスタッフと話していたときに、秋田さんが「加藤さん食べるの好きだから、この子も付けたら」って言ってて、そういう感じです」

実際の企画会議はどのようにやっていましたか?
「とりあえず今回は日にちもないから、名倉さんが主となって発信して、秋にはそれを踏まえて、私たちが出て貰いたいと思う出展者さんに声を掛けて出せるようにしましょう、という形でした」

そんな中で二人から何か意見を上げたりしたのですか?
「求められてもすごい悩んだ覚えはあるんですけど、なんか出したかっていったら???」
「今回の企画は、とにかく時間がないから、出展してくれている作家さんの中でそれぞれ味のある感じのところにお願いして、春のおくりものにやって貰えそうなところに声を掛けたという感じです」

実際、「季節のおくりもの」を終えてみて、今日感じたことを。
「さっきそこで包みを開けて一番テンションが上がったのはBlanc chien(ブランシェーン)さんだった。イメージしてたものだった。箱で、外見が贈り物ぽくて想像以上のことをしてくれました」

想像以上? どの辺りが?
「パッケージも綺麗だったし、内容がぎゅっとしてましたよね。ちょっと話を聞いてあー! と思ったのは、お得感が出ないと欲しいと思えないから、ボリューム感が出るようにしたのと、好き嫌いがあるから、好き嫌いにあがるもの、レーズンとかくるみとかを避けた。そういうものを考えられた。見た感じとつくられた感じとちゃんと考えてつくられてる。こっちの趣旨を汲み取ってくれる感じはありましたね」

手づくりやさんはいかがでしたか?
「手づくりやさんは、『季節のおくりもの』っていうコンセプトがお客様に伝わっていないと感じたと言ってました。こられたお客様に対して説明をしても、『あーそうなんですか』って感じで。お得用って思われてた」

それは手づくりやさんの説明の仕方の問題ではないんだよね?
「今日のことを具体的に言うと、例えば、大鳥神社の入口に設置した看板ひとつでは伝わらなくて、よくわからない」
「ホームページとかで告知してるけど、見てない人の方が多いんじゃないか? で、今日ここに来たら看板しか出てないから、それだけじゃ伝わらないんじゃないですかねーって感じでした。確かにねって感じでしたけど」

今日来てわかるもの、「季節のおくりもの」のチラシとかそういうものがあった方がよかったんでしょうね。
「黒板に、『季節のおくりもの・パン』と書いてあるその下に、『おくりものセット、用意しました!』みたいな言葉を入れるとか、そういうのがあったらもっと伝わったかもしれませんって」

七穀ベーカリーさんは?
「他の三店舗と違って、『季節のおくりもの』の捉え方が違っていた。他の店舗は季節の雰囲気をイメージしたもの、例えば具材とか、イメージしたもので詰め合わせをつくってるんですけど、七穀ベーカリーさんはそれでピクニックに行けるようなセットを用意した。ふろしきがあって、飲み物用の茶葉があって、パンがあって、そのセットでピクニックに行けるようなもの、それが春を表していると言っていて、それが七穀ベーカリーさんでも挑戦だったって言ってました。そこで課題も見付かって、宿題もいっぱい見付かったって言ってました」

例えばどんな課題が出来たと?
「伝わり難かった」
「シュトーレンとかあったじゃないですか? クリスマスの時に食べるパンなんですけど、それがセットに入ってたんですけど、それも一見わからないんですよね。わかる人はシュトーレンだってわかるんですけど、包みに入ってるからその写真を載せるとかすれば良かったのかなと思ったと言ってました」

最後はmignon(ミニョン)さん。
「mignonさんは唯一コンセプトが伝わったって言ってました」

お客さんに?
「はい。すごく楽しくスムーズにいったと。特に要望もないと。これからもよろしくお願いしますとのことです」
「実際、おくりものをいっぱい用意されていて、売る感じも二時半くらいに完売っていう丁度いい感じで終わっていたので、すごく全体の事を考えて用意してくださった。私たちも何店舗か早く終わってしまうんじゃないかって思ってたんですけど、それを考えて多目につくったとか、そういうのはすごいなと思って」
「自分のお店の中でも選べるように、ちょっとちっちゃいのと、大きなセットの二つを用意していて、お客さんが楽しめるようにって考えてましたね」

それだけ手創り市にコミットしてるって事ですよね?
「そうですね!」

実際企画を実現してみて、今の率直な感想を聞かせてください。
「序章みたいな、次が本番みたいな感じはしています。これを踏まえて次に繋げられたらなと。なんかちょっと不完全燃焼感がありますよね? 今回、名倉さんが考えてそれを受けての企画なんで、逆に作家さんたちの方がそれを理解して努力してつくりあげてくれている部分があるので」

もうちょっと自分たちが主になって。
「…考えないとなと思いました。ホントに作家さんたちすごく考えてくれてるんで、考え方も四店舗あれば四店舗違うことを考えてくれてるんで、面白いとは思いました」

そこを肌で感じられただけでも大きな前進になるんじゃないですかね?
「それはホントにそうですね。普段パンを買わせて貰っておいしい食べ方を聞いたりするだけなので、それはよかったです」
「次への課題を聞いたからには、こちらもそれに返さなかればという」

次に企画をやるとしたらどんな風に行いたいか? どう考えましたか?
「これはBlanc chienさんの意見なんですけど、ひとつのお店で一気に二千円のセットを買うよりも、色んなお店が出てる訳だからちょっこちょっこ買いたいとなると、色んなお店のパンを集めたセットはどうだい? という意見です。それは私たちも同感しました」
「手創り市セット。私たちですらそういう買い方してるから、初めて来る方は特に、全部食べたい、でも買えない、みないな所があって、でもセットになったらそれ買いたいって思うんだと思うんですよね。ひとつのお店のものよりも」
「普段買わないお店のも、それを機に食べれたらいいですよね?」
「幅が広がる可能性もあるし」
「いっこだけだったら多分自信作入れてくるからいいですよね?」
「次にやるなら秋。秋だからいいんじゃないですか? 食欲の秋だから(笑)」
「パン以外の食べ物でもいいと思う」
「パンって日持ちしないじゃないですか? みんなでその場でわ!ってのはいいんですけど自分のためのご褒美に買ってる人は、日持ちしないからすぐ食べなきゃいけないし、贈り物にするにしても、あげるならすぐ会う人じゃないとダメだし。その点お菓子とかならやりやすいかもしれない」

季節のおくりもの・御菓子?
「響きはあんまり良くないけど(笑)いいかもしれませんね」
「今年、手創り市のスタッフで話し合ったじゃないですか? 何か企画を出来ないかって。去年からあった話だけど、それが初めて実現した形になるので、今年やっぱりそれがメインで成長していくものだと思うので。これが始まり」
「今後が楽しみです」
「私たちもやったことがなかったから、ここから色々なものが出てきたり、変っていったりするんじゃないでしょうか?」
ありがとうございました。





最後に僕からの「季節のおくりもの」の感想を。まず、文中にも書いた通り、今日、この場所に来て初めて「季節のおくりもの」がやっているということ、その内容がお客さんにわかるようなチラシなり、看板が欲しいと思った。 あと、雑司ヶ谷のスタッフが、受付にお客さんが立ち寄ったときに一言、「季節のおくりものやってます」とアナウンスするだけでも違うのではないかと、思った。

次は、倉田さん加藤さんの話にも出たけど、お客さんの意識としては、やはり、どのパン屋さんのパンも食べたい。それを考慮した「手創り市セット」のアイディアには僕も同感しました。あと、今回mignonさんが二種類の価格帯のものを用意したこと、お客さんに選択の余地・喜びを与える配慮をしたことがすごく印象に残こりました。

何はともあれ、今回の「季節のおくりもの」で大きかったのは、大鳥神社の風景、賑わいがいつもとは確実に変ったこと。大鳥神社の賑わいが確実に増して来ていると感じられたこと。

そして今回企画に関わった倉田さん加藤さんの言葉に、「これは序章であり、始まり。これからはもっと主になって企画に関わりたい」というようなことが語られていたこと。
それが何より、嬉しかったです。

来月は5月20日(日)を開催予定しております。ぜひとも会場に足をお運びください。今回も長い長いルポに最後まで眼を通して頂き、本当にありがとうございました。


うえおかゆうじ

※「手創り市のルポ」へのご意見・ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ。

手創り市




手創り市のルポ(3月開催)



「手創り市のルポ・3月18日開催」



副都心線・雑司が谷駅から地上に上がると、まず曇り空に目線がいった。そして、大鳥神社に足を踏み入れた時、砂利の色が茶色く色付いているのがわかった。昨日の雨の影響だ。

今日の天気予報・ウェザーニュースでは、昼間以降から晴れ間が広がるとあった。しかし、この動きのなく広がる灰色の雲を見ていると、その予報の信憑性に不安を覚えた。

大鳥神社のブースの数も、いつもより若干少なく見える。きっと今日の雨を危惧して会場入りしなかった作家さんがいるのだろう。

しかし、そんな風景の中に、ひと際明るい空間がつくられていた。それは今までにない空間。そう、いつもワークショップを行っている線路寄りの角に、クリーム色のかわいいワゴン車が一台停まっていたのだ。

今月から、この大鳥神社で、この手創り市で、自家焙煎の珈琲を出して頂けることになった、Joyce Cafeさんだ。Joyce Cafeさんの車の周りには、列を成した数人のお客さんで賑わう。

そんなJoyce Cafeさんのお手隙を見計らって行ったのが、以下のインタビューだ。


「もともと茨城県の古河で活動していたんですけど、色々な人のつながりで活動範囲が広くなり、今日初めて東京で手創り市に参加させて頂く事になりました」

東京は今日、初めて?

「北関東を中心に営業していました。で、今回、名倉さんの意向を踏まえ、僕の気持ちも伝えて、出展させてください、という事で」

その時は、どんな気持ちを伝えたんですか?

「地方から見て東京というのは、地方からも色々な情報が集まる場所で、僕にとってある意味チャレンジ的な感覚ではありましたね。そんな気持ちを伝えました。人の数が全然違うじゃないですか? 集まる数が。そこで自分のして来たお仕事というものをそつなくこなせるかという不安や葛藤はありましたね。ワクワクとドキドキが混在してました。この日を迎えるにあたって」

出てみての感触はいかがでしたか?

「いいですね! 雰囲気と、色んな出展者の方達、まだそんなにお話しはしてないんですけど、色んな人達と出会いながら自分の感性をもっと養いたいなと思いますね」


車がすごくキュートですが、この車との出会いは?

「三菱のブラボーという車種です。もともとブラボーに乗ってたんですね。で、珈琲屋さんを始めるに当たって、信用も何もない状態だったので、もともとこの車を持ってて、まぁ、とりあえずは出来る所からという感じでちょこちょこ始めたのがきっかけです」

移動カフェの魅力、ロマンスをすごく感じますが……。

「人との出会いがハンパないですよね。僕すごく大切にしているのはコミュニケーションなんですよ。忙しいと愛想なしになっちゃう時もあるんですけど、極力、人とお話ししたいという、基本しゃべりが好きなんですよね(笑)コミュニケーションが好きで、しゃべり過ぎちゃう所があるんですよね(笑)」

基本的に人が好きっていうのがあるのでしょうね?

「僕ほら結構、勝手に刺激受けちゃう方なので、色んな人と話す事によって、自分に対して何かこう謙虚な気持ちになれるというか、自分の知らない事ばっかりだなって、すごくまだまだだなと思いますね。なんか、いい話しばっかり言っちゃってますけど(笑)人と会う時はいつも新鮮な気持ちでいたいですよね?」

一期一会の精神?

「そうですね。特にこの距離感で珈琲を出すってなかなかないと思うんですよ。ホントに手を伸ばせば届く距離じゃないですか?」


最後に僕はこの質問をし、インタビューを終えた。

普段、外を見ながら仕事をしてるじゃないですか? 日本には四季があり、星や太陽や雲や月がそこから見える。そういうものに感じる部分はありますか?

「めっちゃめちゃ感じますよ! 今日もいきなりここに来て、大鳥神社に参拝して、今日はよろしくお願いしますって。氏神様じゃないですか? とりあえず、ご挨拶させて頂きました。そういう形で目に見えない何かを感じつつ生活しているのかなぁ。気持ちってすごく大切だと思うんですよ、人と人と接するにしてもそれは伝わると思うし、そういう面でもあたたかいものは持っていたいと思います」

取材の最中、常に自然な笑みを浮かべていたJoyce Cafeさん。これからも手創り市をよろしくお願いします。


大鳥神社の受け付けにスタッフが三人待機していた。挨拶に顔を出すと、なんとスタッフの奥園さんが今日で手創り市スタッフを引退するという。

「ホント、2日位前に決まったんです」

そう言う奥園さんは、この大鳥神社で手創り市を開催し始めてからの、大鳥神社担当のスタッフだ。以前このルポでインタビューした際には、将来的にこの大鳥神社に休憩所のようなスペースをつくりたいと言っていた。親子連れも多いこの大鳥神社に休憩所があれば、そこから作家さんやお客さんの対話の生まれる景色が生み出せるはず、とイメージを聞かせてくれもした。そんなインタビューの思い出が頭を過りつつ、僕は鬼子母神へ移動した。


手が狂う。手が自分の物ではなく、何かに動かされているかのように、また手自身が別の意志を持ち狂ったように動き回る。素手で作品をつくり出す作家さんには、身に覚えのある感覚ではないだろうか?

次に僕は、そんな感覚を自らの屋号にした、ある女性作家さんに話を聞いた。 

「クルテは「狂った手」の隠語なんです。物づくりをする時の手の様子。手ってすごい別の生き物みたいな感じがするんです。自分の意志を離れた……ちょっと怖かったり、魅力的でもあって」

そう語るのは、ガラスに絵を付けてブローチやアクセサリーなどを創作する作家さん、クルテ絵ガラス商店さんだ。


つくるときは一心不乱って感じですか?

「あんまり意識はないというか、考えてない。もともと型紙があるとかも苦手なタイプなので、その場で遊んでいくっていうか」

流れに任せる?

「偶然の産物とかも好きなんで、失敗から生まれた筆の跡とかも好きだったりするんで」

 

作品のコンセプトを教えてください。

「自分が欲しくて世の中にないものを目指しています。ないからつくろう」

猫のデザインの物が目を惹きますが……。

「猫好きなんです。ライン、しぐさ、魅力的ですよね。なにをしても絵になるので目で追ってしまう。野良猫も良く観てます。何にしても形を捉えるのが好きなんです。猫に限らず、果物でも何でも。自然の物」

人工物はどうですか?

「あまり……でも電球とか、鉱物は好きなんですよ。ガラスが好きなんで」

 形を追われる時に、特に気に掛けて見ている部分はありますか?

「色の印象とか……自然の物って越えられないし、絶対。自然の物がすごく好きです」

そこに近付きたい?

「近付けないのはわかっているので、もがいている感じですかね。自然が一番綺麗なのは知っているんです。本当に綺麗じゃないですか? 完成されてる。飽きることないし。でも、物づくりが好きなんで、そういうのをちょっとでも感じて貰えたらと思います」

ものをつくる原動力は何処から来ますか? 

「自然への崇拝でもあるし、物をつくることがないと生きる意味も半減するというのがあると思うんですよ。地震があって、しばらくつくれなかったけど、つくることで生かされているし、こういう場所でお客さんに直に会えて、喜んで貰えて、エネルギーを貰えて。今は、手創り市が一番楽しくて。それはお客さんとの対話だったり、雰囲気だったり、色んな知らない事だらけなんで、毎回発見あり。独りよがりで生きてきたので、みんなに生かされてる、つながり、感謝、狭い世界だけどつながれる。それがいいです」

つながりっていうのがキーワードなんですね?

「そうですね、実感できるっていうのが、頭じゃなくて。実感しないと分からないタイプなんで、自分が体験しないと。単純につくるのは楽しいので」

 

「自然が一番綺麗なのは知っているんです」

クルテさんの口から出たその言葉を聞いた瞬間、あぁルポライターをやっていて本当によかったと感じた。何故ならその言葉は、クルテさんならではの言葉であり、一期一会、この瞬間にしか出会えなかったであろう言葉だと感じる事が出来たからだ。そういう体験を重ねながら、これからもルポをして行きたい。そう思った。


賑わいを見せる鬼子母神、そのブースとブースの間の道をゆっくりと歩く。すると眼に止まったのは、耳の立った猫の様なワルガキのようなデザインをした、黒い鉄のフックをつくっている作家さんのブースだった。僕はその作品に惹かれ、取材を承諾して貰った。

「耳が立ってるから「tachiMiMi (たちみみ)」って言うんです。猫を飼っているけど、猫ではない。自然と好きなものがこの形になってます」

tachiMiMiさんは、去年の12月開催から数えて、今回二回目の参加だ。

「手創り市を選んだ理由? ただつくってて、売れないかなぁーって思ってて術がなくて、で、手創り市を知って出してみた。駈け出しです(笑)」

「思った以上に年配の方からの反応が良くてわくわくする」

そこは大きな収穫でした?

「リアクションが見えて、みんながわーって喜んでいるっていうか、なんか、こっちも嬉しくなるっていうか?」


tachiMiMiくんが生まれた秘話を教えてください。

「友達に誕生日プレゼントでこういうフックをつくったら、意外と喜んでくれて、じゃ色んな人が喜んでくれるかもしれないなと思って」


手創り市のブログは観てますか?

「ブログの最初のページ見て、ホームページのテクニカルの部分で動線が分かり辛い。ここに行けば地図だ、とかがわかり辛いかなぁ」

「あと、イラストを担当されてる方、山口さん、ものすごい素敵で、ここに来て欲しい!この手創り市で知って、山口さんのブログみても全部素敵で! 来て欲しいし!何かをやって欲しい」


手創り市に出てみて思う事は?

「みんな他の方達の方が長くやっていますから、僕ら駈け出しには勉強になる。ルポに注文もつけるなら、ぶっちゃけ、お金の部分、どこ迄生計を立てているのか? 作ってる時間と、売っている値段と割にあってるのかなっていう。そこをやっぱり知ってみたい。そこは聞く側も言う側もスルーしてる」

では初めに聞きたいのですけど、tachiMiMiさんはどうやって生計を立ててますか?

「ホント、仕事をして、片手間でつくってるだけなので、材料費と掛かった時間の折り合いですね。こっから先ブレイクスルーがあるのか?アマ、セミプロ、プロとなるのか? って考えさせられます」


そこで僕は、以前取材させて頂いた、皮小物の作家さん、himaar・ヒマールさんの話しをした。

「手創り市で人生が変わった」と開口一番そう言ったhimaarさん。最初は趣味で皮小物をつくっていて、それがこうじて手創り市に出展、そこでの反響に病み付きになり、普段持っている仕事との割合が、だんだん皮の創作に移行し始め、とうとう今度の四月には、山口県で喫茶&工房を兼ねた「ロバビル」をオープンすると。

「そんな話もあるんですね」

と、tachiMiMiさん。そのtachiMiMiさんが第二のhimaarさんになるのか? そんな事を考えるとなんだかワクワクして来るのだった。


次にインタビューを行ったのは、ARTS&CRFT 静岡手創り市のスタッフ、米澤さんだ。彼女は、この日静岡から、もう一人のスタッフと共に、雑司が谷の手創り市にお客さんとして遊びに来てくれた。  

ARTS&CRFT静岡手創り市のツイッターを担当し、ユニークな語り口で手創り市に関わる事を呟いたり、時折ブログを更新している米澤さん。僕は彼女の等身大の言葉と、彼女の根元にある情熱がとても大好きで、今回アポを取り、このルポに登場して貰った。


そもそも手創り市のどこが好きなんですか?

「作家さんが好き。雑司ヶ谷も好きな作家さんが出る時にしか来ないんですよ。手創り市好き好きっていってるんですけど。話せる人がいると楽しいっていうか」

米澤さんの中でピントが絞れているんでしょうね?

「そうですね、外の市に行くこともあるけど、好きな作家さんがいないと感じは違いますね」

もし米澤さんが東京に引越して来たら、その時は手創り市のスタッフになりますか?

「なるかなぁー。どうだろう? 今一瞬考えたのは自分がどういうポジションになるかって事なんですけど、ツイッターやるにしても、自分がそれだけ情熱かけられるかなって?」

静岡だから情熱をかけられるって事だよね?

「わかった! 認知度です。私が手を掛けなくてもいいですよね、雑司ヶ谷は。もう動いているから。静岡は誰かが発信しないと、という思いはありますよね」

コアな使命感に「認知度」っていうのがすごくあるんだね?

「あります! 周りで知ってる人がいない。私の周りにこういうクラフトが好きな人は全然いないんですよ。私がやってても来ないです。伝えられないんです、私も。クラフトってね、って。どうやって伝えればいいのか? お茶碗、陶器とか木工もあるしね、とか言うんですけど、私が上手く伝えられなくて」

会場の熱をそのままに伝導させるのが難しい?

「そう、出来ない。私が言うのも悪いんですけど、かなり認知度低いと思うんですよね? チラシ置かせて貰いに行く、お店の人はもちろん知ってる事が多いのですけど、もっと普通の人というか、自分が全然知らなかったっていうのもありますし。結果、まとめるとここのスタッフはやんないかもしれない。考えた事もない」

それだけ静岡に集中してるって事だよね?

「はい」


静岡にはアーティスト部門が出来たり、雑司が谷では秋田さんがイラストの企画をやろうとしていたりしますが、米澤さんなら東京でこんな企画をやって欲しいというものはありますか?

「私はわりと作家さんの事を知りたいんですよね。はい。だから、掲示板とか?」

ネット上のこと?

「ここに、この会場に大きな黒板みたいなのを設置して、作家さんが質問に答える、みたいな」

コミュニケーションツールとしてのリアルな掲示板?

「作家さんが書く字も知りたい(笑)気持ち悪い事言っちゃった(笑)普通に初めての人が自己紹介するでもいいんですけど。この人どんな人だろうとか? やっぱ作品観てて、自分が興味ないとすっと行っちゃう。自分で何かしゃべればいいのになって思う時があるので、特に糸口が見付けられずって事が多々なので、「ホットケーキ好きなんですね?(笑)」とか糸口が見付けられる様な掲示板。お客さんと作家さんの間で何かあって欲しい。会場でみんなが見れて」


いちスタッフとして、自分自身、今、思うことは?

「最近、自分と手創り市の関わり方が変わって来たと思いました。半年前の時、始めた時はこの次何があるんだろう? 何の準備があるんだろう? っていうハテナがあって進んで来たんですよね。でも今はわかってるから、わかってる分余裕があって、前は自分が付いていっていたんですけど、今は開催日に自分から向かっている感じ。だから今開催に向けて一枚でも多くチラシを置いて貰おうとお店に行くし、あと一人でも多くの人に来て欲しいからブログやツイッターも書いたりするから、今は開催日に自分から向かってる気がします」

それは大きな違いだね。それって自分で時間をつくり出してるって事だよね?

「あ! そうなのかっ! そうだ!」


あと、これは少し抽象的な話しになるんですけど、「バトン」の話。誰かから何かを受け継いで、それをまた誰かに渡す。米澤さん自身がどんなバトンを受け取って、またどんなバトンを誰かに渡したのか? 渡せたのか? という話しでもいいし、それか、バトンについてこういう風に考えてるという発想でもいいし、聞かせて貰えたら。

「自分で受け取った感じはするんですよね。それはツイートの中で名倉さんから聞いたんですけど。背中を見てるから同じ事をするんじゃないかな? 二人、静岡の高山さんと名倉さんの二人がやっている事、それを見て同じ事をするというか。それが伝わると言う事なのかな? でも私はまだバトンを持ってる。それは誰にも渡せない。渡したくないんじゃなくて、まだまだだなぁって思って、自分は。ブログ書いた時に、自分はバトンを受け取ったけどそれをどうしたいんだろうって思って、私は次に渡せる位、何もやっていないからまだ持っていたいなと思って」

米澤さんって向上心が旺盛と言うか……。

「あの二人がいたらそうなりますよ。あの二人程出来るとも思ってないけど、でも二人がいるからまだって思えるし、認知度の話じゃないけど止まっちゃう、手創り市自体の事が止まっちゃいますよね? お客さんあと三人位呼べたのにって。妥協はしたくないですね」


情熱の固まりの様な米澤さんのインタビューに昂揚感を覚えつつ、次に僕は、dot melt(ドット・メルト)さんという、女性が着る服等を主につくる作家さんを取材した。

何故、選ばれたのが手創り市だったのですか?

「インターネットで表現できる場所を探していた。サイトも素敵だったし、来てみたら雰囲気も良かった。服飾の学校に行きながらブランドをつくって、サイトをつくって、もっと発信したいなと思って出すようになり」

発信したいな、という欲求の源は?

「取り合えず知って貰おうという気持ちが強くて。最初フリーマーケットに出してたんですけど、なんか違うなと思って。手づくりのイベントないかな? と思った時に見つけたんです」


手創り市に思うことがあれば?

「今日この場所に出して思ったのが、私のブースの背中に参拝する場所があるじゃないですか? ここに来られる方が、ブースがあるせいで通れない。で、ブースの横に隙間が空いてたんですけど、何も言わずそこをガシガシ通っていく方がいて、鬼子母神目当てで来てる方は、手創り市がやっている事を知らなかったら、なんなんだろう? って感じだと思うので、そういう配慮ってあってもいいのかな? って」


「あと、企画を色々やられているじゃないですか? ハギレ市の方もすごく楽しみです。

参加できるなら参加したいです」

ハギレはいつもどの様にしていますか?

「ハギレは使わないで置いてあります。捨てられないので。そういう企画があったら楽しいと思ったんですけど。たまにパッチワークをするんでそれ用に置いてあるというのもあります」


物をつくる喜びはどこから来ますか?

「イベントに出すと思うのですけど、お客さんの反応がダイレクトに返って来るので。あとはお手紙頂いたりとか、メール頂いたりとか、それがすべてかな?」

すべて!? すごいですね!

「イベントとかでもプレゼント用に買ってくれるお客さんがいて、後日来た時に、すごく喜んでましたって言ってくれたり」


時間は午後1時半近く。とうとう雨が降り始めた。雨用の装備を持ってきている多くの作家さんのブースがその備えを急いで始める。雨は一時間程で止んだが、この雨を機にお店を畳む作家さん、帰られるブースもちらほら現れた。

大鳥神社は鬼子母神よりも、帰られたブースの数が多かった。そんな中でも、まだブースを畳まず、残っている作家さんの中に、白石修さんというガラスの器を主に扱う作家さんがいた。

「手創り市に出たのは今回初めて。先月観に来て、家もそんなに遠くないし、クラフト物をつくり出したのも最近なんですよ。それでどこかに出してみたいなと思って近場で探してって感じです」

今までガラスで作品をつくられて来ましたが、何年くらい活動していますか?

「15年くらい、器的な物もつくりだしたのは最近ですね」

そこには意識の変化があったんですかね?

「普通の人の生活の中で使うものに興味を持ち始めて。その中にガラスを置いて行けたらなと思って。もともとガラスを始めたのが、ガラス自体を一般家庭に広めていきたい、自分がそういう感覚で最初ガラスを始めたんで、そういうガラスの綺麗さみたいなものを一般の人達に知って貰いたい。100均とかじゃなくて、手づくりのガラスを広めたくて始めたんです」

一般の家庭の中に、手づくりのガラス作品が入る事によって、その方の生活が豊かになったり、少し変化があったりする、その感覚ですかね?

「そうですね。やっぱどうしても食器とかって、大量生産でつくられたものが普通だと思われがちなんで、こういう風に自由につくられた物を置いて頂けたらという感じです」

今、「自由」という言葉が出ましたが、その「自由な作風」の話を聞かせてください。

「大抵こういうクラフトの奴って、サイズ合わせての、揃いでいくつってパターンが多いんですけど、やっぱり形に勢いとか張りとかが若干なくなる感じがあるので、そこをこう殺したくないみたいな感じの所から、自由に形を変えて、その気に入った物を選んで買って貰う、そういうスタイルがやってみたくて、今回クラフトを始めたんです」

それが白石さんのコンセプトでもある?

「そうですね。クラフトをやりはじめたコンセプトではありますね。ギャラリーとかに置かないで、こういう所に自由に出せたら面白いかなと」


手創り市に出てみての感触は?

「大勢の人の買って貰うっていうのも嬉しいんですけど、少ない人数でも、迷って迷って選んでいくっていうのが嬉しいですね。選んで買って貰うっていうのが、一番嬉しいんで。お客さんが選んで買っていくっていうスタイルがいい。違うものの中から選りすぐって買っていくのが観ていて興味深いというか、面白い。そうやって買っていって貰った物の方が、わりと大事にされるのではないかと思うので、そういう買い方をして頂けたら嬉しいです」


次にインタビューしたのは、若いカップルさん。この手創り市には、もう、4年前から10回以上来ていると言う。しかも、毎回、埼玉から一時間もかけて。

「手づくりのものが好き。買うというよりも、見せて貰っているのが多いんですよ。皆さん、色々な考えでつくられてるじゃないですか? それが普通に売ってる物と違うから、ここに来ないとない物もあるじゃないですか? だから毎回来た方が、新しいお店も出ているかもしれないし、だから毎回来るようにはしています」


お二方は物づくりはしますか?

「しますね。皮で小物とかつくってます。今さげてる肩さげカバンもそうです。2年位前からですかね。私がもともと興味があって、皮のミシンの学校に通って、ミシンだと専門のがいるじゃないですか? 手縫いだとお家でも出来るので、そう言う所からやって。ここにはお勉強を兼ねて」

手創り市には出て頂けますか?

「ゆくゆくは。夢ですね!」


手創り市に何か注文があれば?

「ワークショップを頻繁にやって欲しい。ちょっと試してみたいっていうのがあるじゃないですか? 気軽になにか出来たらいいなぁ。予約制ではなく」

 

お二人は物をつくられていますが、その原動力はどこから来ますか?

「イメージしたものをつくってみようかなと想う気持ちですかね? 結局頭の中で想い描いた物と現実の物って違うじゃないですか? そこにいく過程も楽しいし、失敗したら失敗したで勉強にはなるので、数をこなすっていうのは大事だと思います。いいものをつくるためには」

「多分ここにいらっしゃる方みんなそうだと思うんですけど、基本的に自分でつくった物は世界にひとつだけじゃないですか? それが例えばどんなに使い辛い物でも、お店には絶対ないもの。まだ先でしょうけど、人に売るってなっても、ここがすごいんだ、ここが使い辛いけどいいんだって、自信を持って言えるところがそうなのかな? って。自分は両効きなんで、財布をつくるにしても、お店にあるものと違う向きになったりするんですよ。小銭入れの部分の開け方が逆になったり。それって、自分だから出来る物じゃないですか?自分だからつくれるもの。そういうものをつくれる事が喜びですかね。それは買えないものですからね」


三時近くともなると、お客さんもいつもより格段に少なく、それを見越してブースを片付け始める作家さんが目立ち始めた。

次に僕は、一人で来ていた若い女性にインタビューを行った。何でも彼女は、文具を専門としたライターさんとのこと。

「手創り市には、6,7回来ています。ブング展があって、古本市があって、ずっとこちらで手創り市をやっているのは知らなくて、鬼子母神迄お参りに来たらこんなに楽しい市があるんだって!」

手創り市の好きな点は? 

「作品に触られる。気になった作品は触らせて頂いているので。あと、こういった個人の方が集まる場所があること自体が珍しいと思うんです。個人の作家さんの作品が見れるのが魅力なんだなぁと思います」


文具ライターを職業になさってると聞いたのですが、手創り市の作品は、文具ライターの眼で見てどのように映りますか?

「皆さん、クオリティーが高いと思います。そして、毎回毎回提案が違う気がして、毎回毎回楽しめる。そこがいいです」


このルポの締めくくりに、手創り市スタッフ名倉くんに、今月から始まった手創り市写真部の話を聞いた。


写真部をはじめようと思った動機、きっかけを教えてください。

「まず写真部は、普段、手創り市のブログに掲載されている写真は基本的に僕が撮ってるんだけど、たいてい九割以上は会場に関係ない写真を撮って載せてます。実際に会場の写真を撮らない訳じゃないんだけど、毎月、作家さんだったり、問い合わせだったり、色んな事に応対しているので、会場の写真を撮ることに集中し切れない、というのが個人的にすごくあって。あと会場の写真については、写真の前に会場来ればいいでしょ? って。写真よりも会場に来た方がその人の視点で観れるし、もっと得るものがあるし、そう言う訳で会場に来ればいいよね、というのが前提にあって、そう思ってる人間が撮影するよりはそう思ってない人間が撮影した方がいいよね?って思うよね。」


「で、何故、写真部を始めたかという本題だけれど、ここのところ雑誌等に掲載して貰う事が毎月一件あって、その中で特定の企画、雑誌のある企画で掲載される事があってさ、レイアウトだけあらかじめ見せて貰って、あとは写真は自分らで撮るとか、自分達の持っている写真を使って貰うって言うのが増えて来て、そこで会場の写真が提供できる程撮れているかというと、全然なくて使い回してるんだよね。写真は本来雑誌をつくる側の人が撮りくりゃいいじゃん、って思うよ。でもそんな事言っても仕方ないしね。だったらそこを楽しみにしてしまえばいいじゃん!ってゆうこと。楽しむ為にどうしたらいいかっていうと、外部でもない、純粋な運営スタッフでもない人に写真を撮って貰う、それは楽しみでもあり、撮る人にとっても体験というか挑戦というか、そういう場を作りたいというのが写真部で、写真部の人が撮ったものの中から雑誌等に提供できたらいいなと思うし、出展している作家さんにむけてプレゼントできたらいいなとも思うよね。いらないかもだけれどさ・・・」


写真部・部員は何名でどういった感じで始まりましたか?

「今決まってる方は2名です。今日来れた方は1名。なのでまだ始まったとは言えない。けど、今日はアラキさんという男性の部員さんが撮りに来て、すごく楽しかったって。最初はすごく緊張して、お客さんとして来る時に写真を撮るのと、手創り市の内部というか、写真部・部員として写真を撮るとなると意識が違うというか。写真を撮るということにおいては基本はお任せするけれど、作家さんの写真を撮るにあたって、撮影の断りを入れるだとか、最低限のマナーなんで、そこは当たり前の事なんだけど、いざやってみると、なかなか緊張するというか。そういうのが最初にアラキさんの体験としてあった。それが聞けて、それはいいなって。いいなって言い方はざっくりしてるけどさ、でもそれはアラキさんが写真部の部員として手創り市にコミットしているから。そういう意識があるから作家さんから写真を撮らして貰うにあたって緊張する、そういう意識がまずこう、たかが一人かもしれないけれど、そんな話しが聞けたのがとても良かったかなと」


写真部をやるにあたって、写真部員に要求した事はありますか?

「最低限、手創り市の会場に来たことがあること。当たり前なんだけど、これ絶対。来たことない人が写真部の部員やりたいって言ってもそれは困る。なんでかっていうと、少しでも手創り市にコミットする部分があり、撮影する自由と共に責任があるから。それにさ、申込書を出して貰って選考を通った作家さんの撮影させて貰う訳だから、そこを大事にするなら来た事ない写真部・部員は話にならないでしょう! っていう。そういう事です」


毎月出れないとダメと言う訳ではないのですか?

「毎月じゃなきゃダメ、と言う訳ではないですね。そこは融通が効きます。あと、部員を10名募集しているのだけど、毎月3人は撮影している人がいるようにはしたいなって、それは今日アラキさんと話をして、ごもっともと思って。一人だとどうしてもかなりプレッシャーかかっちゃうんで。うえおかさんが一人でルポやってるようにさ(笑)」

 

今月もあらゆる方向からのプレッシャーを跳ね除けて(←嘘)完結に至ったこのルポ。いかがだったでしょうか? 今月のルポで特に再確認出来たのは、一期一会の大切さ。今この瞬間にしかない言葉や風景の出会い。それを受け止められた時の喜びです。これは病み付き!

今後も一期一会の精神を心に刻みつつ、この手創り市会場を駆け回りたいと思います。今後ともどうぞお付き合いの程、よろしくお願い致します。


うえおかゆうじ


(4月へ続く)



※「手創り市のルポ」への要望・ご感想など

 御座いましたら下記mailまでお気軽にどうぞ。



手創り市

info@tezukuriichi.com





手創り市のルポ 2012年2月開催



「手創り市のルポ・2月開催」


2012年2月19日(日)。年間を通じて日曜日は晴れが多いと言われていますが、今回も見事な快晴に恵まれた手創り市。一年の中でも真冬の寒さはこの二月が一番ですが、そんな寒さにも負けない様な、ホットな取材を行って来ました。(←自分で言っててちょっと恥ずかしい)


まず最初にお話を聞いたのはCOCOON(コクーン)さんという、野菜の皮を素材に雑貨をつくっている作家さんです。


「はじめは身の回りの物をつくっていました。で、タマネギ染めをやる為にタマネギを煮て、煮た皮を試しに紙に貼ってみたのが、これらの作品のきっかけです。実験心でやってみたんですけど、これはすごいな! これはやっちゃったなという実感がありました(笑)」


手創り市に出てみての感触は?


「やっぱり、色んな人が来て色んな事を話せるのがいいですね。やっぱ、個展とかやっても来る人が限られるじゃないですか? ここはホント色んな人がフラッと来るのでそれがいい」


その中で何かお客さんとのエピソードはありますか?


「野菜を作ってるお客さんがいて、「明日畑やるからこれみんなに自慢する!」 っていうエピソードがありました(笑)」


野菜・素材はどうしていますか? どこで買っていますか?


「家庭で調理された余り物ですね。素材にこだわりはないですね。ホントは地元の野菜とか買ったらいいんでしょうけど、これからはこだわりたいなとは思っています」


一番最初にタマネギの皮を紙に貼った瞬間のときめき! 伝わりましたよ。



次にお話を聞いたのは、大学生の女性。なんでも、名倉くんと手創り市を目当てに今回足を運んだのだと言う。


「私は今、東京にある大学の四年生なんですけど、高校2年の時には、熊本の高校生でした。その時、進路学習の一環で、自分の興味のある職業の人に話を聞いて来てくださいという課題を出され、その時、カフェに興味があったので、何故かインターネットでロジカフェに行きついて、ロジカフェの存在がすごく気になって、メールでお話を聞かせてくれませんか? と出して、お手紙をお送りしてお返事を頂きました」


「そのまま時間が流れて、ロジカフェがなくなったというところまでは知ってたんですけど、この前、名倉さんのお手紙を読み返して、そう言えば名倉さんは何をしているんだろう? と思って、インターネットで検索したら、どうやら手創り市というものの主催者をやっていると。すごい嬉しかったんですよね。自分が当時、何で東京のロジカフェを気になって、インタビューお願いしたのかも不思議だし。その方が今、こういうみなさんが楽しまれるイベントをやっている。すごく名倉さんにインタビューしてよかったなと思いましたし、それで名倉さんにメールをして、すごく嬉しかったですと話し、今回手創り市に来たという運びです」


手創り市の良さをどこに感じましたか?


「条件的に店舗を持つことが難しい方っていらっしゃると思うんですけど、そういう方が月に一度、お客さんに直接お話を聞きながら、自分の気持ちを伝えながら販売できる、循環できるというスタイルがつくり手の方にとっても、お客さんにとってもいいんだろうなぁーって思います。なんかすごいチャンスだと思います。店舗を持つと、そこに縛られるし、そこでしか出来ないし、お金もたくさん必要だと思うんですけど、それがなくってもこういう場所があることがいいなって思いました」


最後に手創り市に要望があれば?


「販売するものが主なので、音楽とか本とかカルチャー的なものがもっとあればと。そういうのがないのかなぁーと思いました」


そんな彼女は個人的に冊子をつくっていると言い、「卒業の記念に手創り市に出てみようかな?」と帰り際、受け付けで応募用紙を貰っていました。彼女の冊子、そしてブース、ぜひ見てみたいものです。


 

次にお話を聞いたのは、三年前から手創り市のスタッフをやっている岡本さん。


「きっかけは本屋さんで、作家さんの五月女さんの記事が出てる雑誌を見て、こんな人が出てるんだったら、楽しそうだなと思って。で、他の雑誌でも手創り市を見て、調べてたらロジカフェに辿り着いて、どちらかでスタッフになりなたかったのですけど、結果手創り市を選んだ。どちらかにせよ関わりたいというのがあった」


「初めの内は仕事とかも覚えなきゃいけないなと思って、あまり作家さんの作品を見れなかったですね。どう言う風に見たら良いのか? わかならなかった。

お客さんでもないし。でも最近は一個人として見るようにしています」


この三年間での変化に思うことは?


「変わり過ぎてて。毎回でもないけど、新しいことをやろうとしてるなっていうのはあります。私は別に変えなくてもいいかなって思うんですけど、もちろんそれは、今の状態がすごくいいのでそれが継続できればという意味ですけど」


手創り市の問題点は?


「逆にお客さんや作家さんに聞いてみたいですね。結構、いい声は聞くけれど、悪いことはなかなか聞かないじゃないですか? そんな声を拾って頂きたいです」


はい。たくさんの声を拾える様精進致します!



次にお話を聞いたのは、女性のお客さん。今回で手創り市に来るのは二回目だという。


「クラフトフェアは好き、昔から手づくりの品は好きです。惹かれた理由は、雑貨屋さん巡りが好きなんですけど、商品のエピソードを聞きながら買うのが楽しくなってきて、量販店で買うよりも、手づくりの物が欲しくなるようになって」


手創り市に来てみての感想は?


「毎回、何かしら買ってます。広過ぎず、狭過ぎずまわりやすい。最初来た時、ワークショップがあったので、今回も期待してたんですけどなかった。毎回あったらいいな。リースづくりをやってみたいです」


手創り市に注文があれば?


「かなり無理な事なんですけど、境内なので土の所だとぬかるみがあるじゃないですか? 板の上にお店を置いて、その上をまわれるとか。あと、池袋駅から15分くらいじゃないですか? 何処で曲がったらここに辿り着くか、ポイントに、看板なり張り紙なりが欲しい」


ワークショップが毎月あれば、の声は新鮮でした。お客さんも買うことだけでなく、つくることもこの場で楽しみたいのですね。



次にお話を聞いたのは陶芸の作家さん、安江かえでさん。


手創り市に出始めた頃の感触は?


「直に、この人がこれを選ぶんだ、とか見れて楽しかったですよ。若い男の人とか一人でお茶碗一個買うみたいな。そんなのお金払ってお茶碗買ったりするんだーって。ピアスしてスカートはいてるような男の子」


素材はどこから入手していますか?


「粘土は割とポピュラーでシンプルな物を買ってます。益子の材料屋さん。届けて貰います。あとは友達から貰ったりもします。割と最近はそれでやれちゃったりする。そんなに変わった土を使ってないので、だいたい同じ色は出ます。灰は近所の人に貰ってます。薪ストーブの灰を、その方から貰い、1年分の灰を貰ったら、まぁおっきいゴミバケツ一杯分ぐらいにはなりますよね。それを三箇所くらいから貰ったらまぁまぁな量になります。それを自分でふるいとかにかけて精製し、材料にしています」


手創り市に思う事は?


「特別だな、重要だと思っているのは、月に一回毎月あるという事。月に一回あるから出来る雰囲気というか、慣れるというのは余り良くない事なのかもしれないけれど、でもすぐ、今度はこうして見ようとかチャレンジ出来る。今日出来なくても来月すぐ出来るというか。「また来るわ」とか「またね」がすぐ来る。今回はこういう風にしたけど、次回はこういう風にしようとかすぐ出来るのがいいですよね。一個買って、また今度次くればいいやとか、会えるのは今日だけじゃない、それがとてもいいと思っています」


手創り市に要望があれば?


「特集の場をつくる。陶器でもいいし、なんでもいいし。そう言う場づくり的なもの」


月に一度、毎回、手創り市がある。これは一見普通の事のように思えるけれど、そこに深みを見出す安江さんに共感です。



次にお話を聞いたのは、家庭菓子の真柊工房さん。真柊工房さんは、出展の際、毎回愛媛から飛行機でこの会場にやって来る。


「もともとインターネットで販売をしていて、その中に関東圏のお客様が多かった事と、で、そのお客様がお顔を見て話したいわね、会いたいわねって言ってくださっていたのと、この辺りに姉弟や、友人が住んでいて、手創り市を紹介してくれたのがきっかけです」


出展してみての感触は?


「好評で、愛媛の工房に帰ったら、ファックスとかお電話とか葉書がたくさん来ていて、そんなわざわざ手間をかけて葉書を書いてくれたりとか、電話してくれたりして、嬉しくてまた次も出ようって、続いてますね。初対面のお客様も、その次にはすごく顔馴染みになっていて、「また来たよっ」てフレンドリーなお客様が多いんですね」


「本来はネットのお客様と会うのが目的だったのが、今ではこちらのお客様の方が多いくらいで、愛媛から交通費や送料かけてやっていますけど、正直、商売とかお客様の新規開拓とか考えてなくて、ただ既存のお客様のコミュニケーションの場だと思って、いつものお礼のつもりで始めて。だから商売商売してないのがいいスタンスだったのかもしれないですよね」


手創り市に思う事は?


「本来手創り市って、いいものなんだけどそれが手に届く安い価格で買えるのがいいっていうか、そう言った商品探しが自分は楽しいな、と思っているんで、そんな感じでうちはやってます。私がすごい食いしん坊だから、お金を出して損をするのって嫌なんですよ。手創り市の楽しさはそこにあると思って、自分がお客さんだったら楽しいっていう感覚を大切にしたいなって思って」


「子供の頃バザーとかでわくわくする感覚、わかりますか? うちも母とこの工房を始めた時に、姉弟が5人いて、そのおやつをずっと母がつくってたんですよ。だから別に特別ではなかったんだけど、そういうお菓子を自分が生業にするようになった時に、ちっちゃな子供がね、小銭を握り締めて行きたいお店、行けるお店がいいよね? って話をしてますね」


手創り市に要望があれば?


「実際会場的にも、運営側からしても難しいと思うんでうけど、お客様からは月に二回開催して欲しいと言う方が多いんですよね」


月に二回の開催! この意見には僕も驚きを覚えました。



次にお話を聞いたのは、皮製品の作家さん、dot design(ドットデザイン)さん。

 

2年半、手創り市に出て来られて思う事は?


「作家さんのレベル・質・メンバーが変わった。団体のお客さん、クラフト好きじゃないお客さんもやって来たりして、間口がなかり広くなった」


手創り市に要望があれば?


「誰のためというか、主催者なり、我々作家なり、お客さんなり、どっちもハッピーになるのがいいなと思っていて。そういう意味では、ARTS&CRAF静岡手創り市でも作家さんのこういうブース以外のイベントをやられてるじゃないですか? で、手創り市以外のイベントを見ると、食べ物の屋台が出てたりとか、音楽のイベントがあったりとか、場を楽しませる、特に来たお客さんを楽しませようって意気込みを感じるイベントが多いなって思っていて。もともとの核にあるものは保ちつつも、どうやったらお客さんを楽しませる事が出来るのかな? って部分はまだやりようはあるのかな? って思いますね。変化をしていくって意味ではね」


「僕は個人的には、横の広がりをもっと広げたいと思っていて、隣の人と話したりとか、静岡行くときにみんなで同じ宿に泊まったりとか、キャンプ行ったりとか、徐々にアクションを起こして、横の繋がりを深めて、もっとやれることあるんじゃないの? って。そういう場を主催者側がやるのか、我々気付いた作家がやるのかはわからないですけど、対お客さんを楽しませるのもあるし、我々も出てて、良かったなっていう実感がもっと沸いたりとか、出会いの場をもっと活性化出来たらいいなとは思いますよね。どうしても四時に終わって、五時迄に撤収って毎回みんな忙しいんですよ。ゆっくりお互いを知れる時間があるといいなと思って、勝手にやってますけどね」


ハギレ市についてどう思いますか?


「我々なんかにしても、端材は出ていて、その端材にどう新しい息吹をいれるか、新しい命を吹き込むかって考えてやってるんで、そういう意味でもハギレ市には期待はしてます。ポジティブに」


最後に何か伝えたい事などあれば?


「インタラクティブなんちゃら、とかかっこいい言い方がありますけど、それって対面販売の醍醐味だと思うんでうすね。今、ネットが普及してますけど、リアルワールド、実なもの、実際お客さんが来て直に対話出来るってことがすごく重要なことだと思ってます」


「自分の目標としては毎回新しいものをつくること。季節感だったり、今回は雛人形をつくったんですけど、お客さんとの間に、新鮮なやりとりが出来るような工夫が必要だと思ってます」


どうすればこの手創り市をもっといいものに出来るのか? そう考えてくださりながら積極的にアクションを起こしているdot designさんの姿勢に感銘を受けました。


次にお話を聞いたのは、木工の作家さん、kikiさん。


「出てみての感触は、手創り市は木工に向いたお客さんが多いかなって。他の手づくり市とか行くと、かわいい雑貨メインで話進んでるなというのを感じて、僕が出しているものも見向きもされないって状態が続いてました。ここは、生活に重点を置いてる人、金額うんぬんじゃなくて、より豊かな物を求めている。お客さんの質が違う」


材料や端材はどうしていますか?


「材料は材木屋から買っています。すごいちっちゃいものは、燃えるごみに出して、形のあるものは貯めていって、知り合いの木工所に持っていって薪ストーブの蒔にしていますね。僕も本当は燃やしたいんですけど、作業場が住宅街にあるので、煙出せないので。だったら知り合いのところで使って貰いたい、最後まで使い切りたいっていうのはありますよね」


手創り市に注文があれば?


「全体の動線、この辺は人は多いけど、あの辺は人が少ないとか、場所の格差があると思うんですよ。僕いつも、申込書に、「大鳥会場と鬼子母神どちらでも」に○をするんですけど、鬼子母神になるのは正直怖い気もするんですよ。場所によっては、厳しいなと思ってて。人の来る量も場所によって違うし、一回入口側の坂だったんですけど、人をひきつけるのがなかなか難しくて。逆に大鳥会場は、時間がゆっくり流れる。そのむらがある。だから、鬼子母神はリスク高いなと。場所によってその日の出来上がりが違うので。その辺どうにかなればな、とは思います。端っこにも人が行くような構成になればなと。イベントスペース的に使える所もあると思うし」


全体的な視野で会場を見渡すkikiさん。動線を導く為のイベントスペースの導入という意見が印象に残った。



最後にお話を聞いたのは三年前にこの手創り市にも出展されていたという女性とその旦那さんだ。


「今日でここに来るのは五回目。出たのは三回。三年前です」

「僕も同じ位来ています。二人とも来るのはすごい久し振りです」


手創り市を知ったきっかけは?


「ロジカフェに通ってたので、そこで」


出展していた時はどんな作品を?


「主に雑貨です。木と布の物をメインにしていました。マグネットや壁飾り等」


久々に来てみていかがですか?


「当初よりも、特長のある作家さんが増えたように思いました。あと、さっき、kikiさんでへらを買いました。決め手はちっちゃくて可愛くて安かった。それだけダントツに安かったね?」

「使う物は形が良いとか言っても、普段使いの物って値段は見ちゃいますよね? 使ってても寿命があるし、あんまり高くても普段使えなくなっちゃうから勿体なくて。その辺は気にするかなぁ」

「作家さんならではの、こんなに小さいへらは売ってないぞって感じです(笑)」


「三年前に比べて、物のレベルというか、逆に言うとお店でも見るような物が増えた気がするし、前はもっと、お店ではさすがにないだろうなというレベルの物があった。いかにもそこら辺が面白いと言えば面白かったんだけど、逆に多くの物がお店にあってもおかしくない物、値段も結構上がって来てる感じがするし」

「逆に値段は上がって来てるなとは思ったんですけど、これが店舗に置かれるとプラス何千円かは知ってるじゃないですか? だから手創り市は千円からその位はお得だなって思います」


手創り市に対する要望があれば?


「オリジナル製のある作家さんがいるなという半面、食べ物屋さんは森ガール的な人たちが喜ぶにはこの食べ物っていうのが決まってる気がして、別ジャンルのものがあれば楽しいなっていうのはありますよね」

「極端に言えば、おせんべえとかたこ焼きとかあってもいいんじゃないとかね」

「飴があるとかね。食べ物は規制があるから難しいと思うけど、お洒落感が統一されているから、意表を突いたものを見てみたい気がしました」


「あと、駅出てすぐに、道案内の看板は欲しいですね」


意表を突いた食品の出展、食品出展の方の工夫によって、規制の中でそれが行えたらもっとカラフルな手創り市になりそうですね。



以上で2月開催のルポを終わります。今回はお客さんや作家さんからの要望の声をいつにも増して拾えた様に思います。この声を、手創り市ならではのフィルターを通じて、なんらかの形に変えて貰えたらとも思います。

今月は寒い中、この手創り市に集まって頂き、本当にありがとうございました。次は、春の匂い満載の3月、18日(日)の開催です! 暖かくなるといいですね!


うえおかゆうじ

・・・・・


※ご意見ご感想は下記mailまでどうぞ。


手創り市

info@tezukuriichi.com





手創り市のルポ 2012年1月




「手創り市のルポ」1月開催



2012年1月15日(日)。今年も無事幕を開けた手創り市。新年、そして真冬ならではの透き通った空気の中、今回も「手創り市のルポ」の取材を行った。

まず初めは、名倉くんに先月のルポの振り返り、そして今年の展開・展望を聞いた。


先月(12月)のルポで振り返りたい点はありますか?


「Mellow Glass 田中さんが、僕らと作家さんがコミュニケーションする場所がないのかな?私はあるけれど、って言ってたと思うんだ。あれについて補足したい。田中さんが言ってる事って「私は聞きたい事があればスタッフに直接聞く」って事なんだよね。ルポ読んで誤解されたら嫌だなと思ったのは、田中さんが僕らと特別仲がいいとかゆう話じゃあなくて、個が個に聞くって事でさ、それって誰しもやっていいことだけど、誰しもやっていい事ほど却って出来ないものじゃん? 田中さんのように。聞きたい事をいつでもどこでも聞けばいいとは思わないけれど、田中さんは自分で物事を咀嚼した上で素直に聞いてくれるって僕は思ってるからそれには応えたいし、自分の勉強になりますよ。たまにびっくりするけれどね。だから、直接会場で何か聞きたい事あったら聞いて下さい。ちなみに、名倉は黒縁眼鏡で鬼子母神と大鳥神社を行ったり来たりしてます。」


今年、手創り市で展開したい事を教えてください。


「去年からルポを始めて四回、いろんな声を拾える事が出来て、それこそ昨日スタッフが集ってどんなことをやっていける可能性があるだろうか? 話し合いました。スタッフの主導による企画ブース。僕もサポートしながらやってゆこうという話になりました。今迄、僕が考えていた事をスタッフに伝えて、それを形にするって方法だったんだけど、それをもっと、スタッフ主導、って所を強調できたらなと。それによって作家さんとの関わりを少しでも密度のあるものに出来たらいいかなって。強要もせず、自然な形で作家さんとスタッフが触れ合ったり、物づくりに対して色々考え、教えてもらったり、そういう所から始めたいと改めて思っています。」


例えばどんな企画がありますか?


「今、案が上がっているのは、「季節のおくりもの」っていうタイトル。で、副題としてパンであったり、アクセサリーであったり企画を立てて。食品の話をするなら、食品をやってる方であれば、四季を意識するってのは当たり前の事で、普段からやられてることだと思うんだけど、そこに「おくりもの」という言葉を付ける事によって、パンひとつの単体ではなくて、季節のパンのセットとか、一つのパッケージとしてお客さんに届ける事が出来る、そんな提案ができたらいいなと思ってるし、作家さんがどんな提案をするだろうか見てみたいよね?」


今年も動き出した手創り市。その展開に乞うご期待です!



次に僕は、文庫本の半分のサイズ「はん・ぶんこ」という本の製本をなさっている、小さな本工房さんにお話を聞いた。ブースには、たくさんの「はん・ぶんこ」を納めた小さな本棚や、本の元になる様々なページのサンプルが並んでいた。


「文庫本は小さいって言われてますけど、実際は大きさがありますし、電車で開いたときも結構かさばる。文庫本の半分サイズの「はん・ぶんこ」は混んだ電車の中でも邪魔にならない。文字も充分読める。私の原点は使える本。かわいい物を目指すではなく、使い勝手重視、そこでこのサイズに落ち着きました」


出展のスタイルも特徴的ですが?


「出来上がったものを置いておくよりも、サンプルを置くっていう、珍しい出展だと思うんですけど。出来上がった物っていうのは結局、これが私の作品ですからこれを買ってくださいとしか言えないんですね。でも、サンプルの状態で観て頂ければ、例えば大きさであるとか、紙の種類を選んで頂いて、最後に表紙の部分ですね、お客さんのリクエストを聞いて、本に仕立てますよってことを提案してます。なので半分はオーダーメイド。これまでつくった絵本のサンプルを並べておいて、気に入った布や紙で製本して欲しいという話があった場合に、それでつくる。表紙は特に大切。お客さんのリクエストを聞いて布や紙を選んで貰うこと、それがその人だけの一冊に繋がるんじゃないかな?」


手創り市を選ばれている理由は?


「売るというよりも活動しているということ、本を作るっていう提案そのものをしたいと思います。手創り市は完成の地点じゃなくて、物づくりの上で中間の地点。ここでお客さんと話をしながら、ひとつ上の段階を目指す。あえて中途半端な状態で見せていくっていうのも意味がありますし、お客さんと完成させていくって言う事を目指したいなと思っています。それが可能なのが手創り市なんです」


ブースの使い方を「活動を見せる」事に特化させる、小さな本工房さん。作品をお客さんと共に完成させていくという言葉や姿勢が印象に残った。



次に僕は、木工・木の器を中心に手掛ける「Hanamame」さんにお話を聞いた。


出展してみての感触は?


「他のイベントは安い物、掘り出し物を探している人もいたんですけど、だけどちゃんとここは価格とつくったものの対価を見て、選んでくれるお客さんがいるなぁという感想がありますね」


お客さんとの対話について。


「販売なのでなるべく声をかけることをしています。出展を続けたいと思った理由は、作品を出した時、お客さんがその作品を観てものすごい笑顔になってくれるんですよ。それでもう病み付きになって。他の市でもあったんですけど、手創り市はその確率がすごい高いというか。それを求めて来てくださっている方たちがいるなって感じたんですね。その笑顔が見たくて毎回毎回つくるって感じです」


「以前、障害を持った方も来られて、その方が観て、手に取って、欲しい! と言ってくれたことの感動がやっぱりありますね。実際に買ってくれて、もの凄く大事に持ってくれた時。喜びですね」


作品のコンセプト等あれば?


「小物に対しては癒しをコンセプトにしています。花豆は北海道の特産の豆。その花言葉も「癒されたい」というものがあるんですね。癒される様な作品づくりを心掛けてますね」


その言葉を受け目線が飛ぶ。その先には、太ったドングリのようなキュートな曲線の薬味入れが。つい顔がニヤける。



次に僕は、沢田英男さんのブースに足を運んだ。そこには彫刻家である沢田さんの、手に取れるサイズの彫刻や、生活に寄り添ういくつかの品々、本棚や電灯などが出展されていた。


「いわゆる具象的な彫刻をつくってたんですけど、彫刻と一般の方の接点がなかったというか、彫刻を身近なものに感じてない気がしますし、つくる方もまたあまり接点を持たなかったような気がしていて、もっとこう、人の生活に根付いたもの、人が使う物をつくった方が、お互い結びついていいんじゃないかと言う風に思って、今、出展しています。最終的には彫刻もやりたいんですけど、使える物をつくって皆さんの喜んで貰えたらと思う」


「物つくりなので、一人でアトリエに籠って物をつくっている方なんですけど、こういうところに出て、人との結びつきが出来てよかったと思っています。普通の人が何を求めてどういう事を望んでいるのか? 少しずつ感じるようになった。それはよかった」



彫刻をつくるのと、本棚等をつくるのと、そのつくる時の感覚は違いますか?


「同じです。バランスだとか素材の組み合わせだとか、そういう感覚は同じですね」


「ドイツに二年半留学した経験があるのですが、ドイツの人たちは一般の人も美術に気楽に触れていて、生活にとけ込んでいる感じがあって、その感覚でずっとやってきたんですけれども、どうも日本だとそれがまだまだ薄いといいますかね? 生活の中に絵とか彫刻を飾るという文化が根付いてないという感じがして、僕自身西洋的なものに目が行っていて、日本で浮いていたといいますかね。日本の家屋や家の造りとか、そういうものに西洋的な彫刻を置いても全く馴染まない、そういう所になかなか気がつかなくて。ですからこういう所に来て、一般の人たちの目線で、もう一度自分のやるべき事を見直して、この日本に地に足をつけて、それで何をしようかって今考えてる所です」


人との結び目につくるものを見出そうとする沢田さんを後にし、次に僕は木工・木彫の作家さん、クロヌマタカトシさんのブースに足を運んだ。


「人に観て貰ったらどうなのかな? って思って出てみたんです。色んな反応が返って来たのがよかった。箸とかスプーンとか。主婦の方が反応してくれて、買って貰うというというやり取りが初めてで、感激しましたね。それまでは学生だったんで、ただ課題をつくってるだけだったんで。それが誰かの家で使われてるっていう実感、そういう小さい物でも人の暮らしをつくっていけるんだなって実感が沸いた瞬間だったんですね」


「もともとは建築をやっていたのですが、実感が持てなかった。色んな人が関わって家をつくるのですが、住む人とは関わらなかったので実感がなかった。物はつくって終わりで、その後がわからないし、どういう人がどういう風に暮らすのかがわからない。実感が欲しくて、段々小さくしていった。建築から家具にいって、家具から木工、木彫、匙とかスプーンとかダイレクトなものに移行していった。実感が欲しかった。自分のつくった物の居場所というか存在意義のようなものを求めていた」


手創り市に思う事は?


「常に新しい風を入れようとしてるじゃないですか? それは僕も大事な事だなと思って。常に鮮度を保っていたいなと思って。常に新しい風を入れて、僕自身も作品も淀まないようにありたいと思うんですけど。手創り市のそこがいいなと思う。自分で作品をつくっていても、過去の作品の模倣になってしまうとドン詰まりになっちゃうんで、そこに新しい風を入れていきたい」


常に新しい風を入れていく。手創り市しかり、クロヌマさんしかり、そして前回のアトリエ訪問の前田美絵さんしかり、淀む事を嫌い、流れ続けたいと動くその姿勢には、僕自身も刺激を受けています。


 

次に僕は、大鳥神社へと場所を変え、そこでスタッフの奥園さんにお話を聞いた。


「手創り市に入ったのは、大鳥神社が丁度出来た頃、二年前位ですかね? 大鳥神社を出すにあたってスタッフを増やしたいという時に入りました」


二年前の大鳥神社はどうですか?


「ブース数も殆どなくて、お客さんも大鳥の存在を知らないので、閑散としてました。今とは全然違います。鬼子母神で宣伝をやってくれたおかげもあり、四回目、五回目から増えていった」


「大鳥神社の特色? 鬼子母神ってぎゅっとしているというか、作家さんの数もすごく多くて、ぎっしり詰まってる感じがすると思うんですけど、大鳥神社って風が抜けるのもあるのか、結構開放的なイメージがあるというか、スッキリしているというか、開放感がすごいあって野外っぽい感じがするかなって。夏は涼しいし、冬はあったかいです」


大鳥神社会場を運営するにあたって気を使っている点は?


「最近砂利が入ったので、台車を持ってる人とか、ベビーカーの人とか苦労してて、そういう人には声掛けるようにはしています。ベビ―カーの方には、こっちに置く所ありますよって声掛けたりとか」


「手創り市の変化? 知名度がすごく高くなったのが大きな変化ですね。ここの所、テレビや雑誌の取材も多かったので。はじめての方に色々と興味を持って頂けたのはメディアの力かな。毎回、はじめて出る作家さんもいるので、広がっていっているなって実感はありますね」


今後手創り市で展開したい企画はありますか?


「まだ思い付いただけなのでなんとも言えない部分もあるんですけど、大鳥神社には結構遊んでる子供が多いので、この空いてる場所に、二三個でも椅子をぽんぽんと置くと、家族が休憩している光景が出来るのかなとか。そうしたらまたそこも賑わっているように見えるし、そこから対話も生まれるし」


「手創り市の良い所は、人と人が自然と繋がる所。作家さんとお客さんが自然と話しているみたいな空間が好きなので、そこの部分はずっと変わらないで欲しいなと思っています」


人と人とが自然に繋がることに好感を抱いている奥園さん。その意識の延長に、先程の休憩所の話がリンクするのでしょうね。



次に僕は、女性のお客さん二人組に話を聞いた。


「お店がいっぱいあって、クオリティが高い。一つ一つのお店に立ち止まっている時間が長いなと自分でも思った。そして寒くて凍えた!(笑)」

「豆本のお店(小さな本工房)、断裁の仕方が面白いと思った。普通断裁の時に紙の屑が出るんですけど、それをしないように断っているっていう。無駄がない。手づくりならでは」

「あの小さい世界にそんな屑を出さない工夫が詰まっているんだと感動しました」


一年前から来ているとのことですが、何か目についた点は?


「一年前はもっとお店のジャンルにバラエティがあった気がした。陶器が今回目についたので、似た様な感じでまとまってるなと。ま、二回しか来てないうちの一回の印象ですけどね(笑)」


手創り市に要望があれば?


「無理を承知で言うのだけど、休憩所とトイレは増やして欲しい。特に冬は寒いので暖まる所が欲しい」



次に僕は、女性のお客さんに声を掛けた。


「初めて手創り市に来たのは、一昨年の九月くらい。すごい良い所だなと思い、私も軽く出てみたいと思った。私は絵を描いているのですけど、外で人に観て貰うって事が新鮮に思えて、何かそういう物づくりのものじゃなくて、絵の展示っていうのもありだと思った」


今日は何か買いましたか?


「ブローチを大鳥神社で買ったんですけど、私も花が好きで、これを買った瞬間、私は自然と作家さんに名刺を渡していた! 普段そういう行動はあんまりしない。わかりやすく趣味が似てるって思ったんだけど、ある程度話しが盛り上がらなければそこ迄はしない。これは、いいなって思えたから。表面がフラットじゃなくて、花の膨らみが出ていて良かった」


次に僕は男女のカップルに話を聞いた。


「初めて来ました。地元にある器のギャラリーでここの事を聞いて」

「今日買ったのは、財布です。(サイケデリックなカエルのデザインが入った財布を取り出し)皮の財布。普通、外のお店だとこういうのはないですよね? 手づくりならでは」


手創り市にやって欲しい企画や、もろもろなどあれば?


「ギャラリースペース。クラフト中心だと思うんですけど、アートを紹介してもいいかなって思いました」

「月ごとのマップが欲しい。どういう人が出ているとか。今だと、ある作家さんをもう一度観たいと思った時に、その人の名刺とかないとダメなので。マップがあれば、色々とチェックしてまわれるから」


 

最後に僕は、自家焙煎珈琲を販売する百豆(ももず)さんに話を聞いた。


「物とお金が目に見える形で交換出来るのが嬉しい。作家さんとも交流があり、単純に売るだけじゃない楽しさ。初めの印象は規模も少なかった。お客さんも客層が限られていたが、だんだん幅広い人が来る様になった。方向性を絞ることも重要ですけど、それを残しつつ幅広い世代に楽しんで貰えるのがいいなぁとは思いますけどね」


「自分たちも長くやって来ると、今のこれでいいのかな? とか、楽しんで貰えることをするのも面白いのかなとか、漠然と考えたりはしますけど、まだ自分はそこまでいってないというか、とりあえず今はやれることをやるって感じですけど」


そこで僕は、先々月のルポから話に出ている、mignon(ミニョン)さんが言っていた食品ブースの話について質問した。品切れと同時に帰るだけでなく、そこで何か出来る事はないかというmignonさんの問い掛けだ。


「同じ気持ちだった。選考をしているので通らない人もいる訳ですし、通らない人の事を思えば、すぐ帰ってしまって場所が空いてる事を残念に思う人もいるだろうし。被害妄想かもしれないですけど(笑)早く売れちゃってるからあそこは人気なのねとか、取り残されてると売れ残りみたいに感じる方も中にはいるのかなと思いますし、それはそれで人を気にしてもしょうがないし、自分のペースでやればいいのではと思いますけど。雰囲気的に午後になると食品が閑散として来てしまうのは毎回の様にあったので、その辺は良い案があれば、改善していくべきかなとは思いますけどね。その辺を主催者さん側がどう考えるのかと、出展者側がどう考えるのかっていう意識を持って、擦り合せて、もちろん、皆さん人それぞれ考えがあってやってることだと思うので、すべてが正解不正解とかそういう訳ではないので」


「私の場合とかは、他にお店とかだったりで買う方法もあるので、そういう説明とかも多分すると思いますし、後はそれこそ顔が見えるだけでも、あぁ、あんな人がつくってるんだ、お店行ってみようかなって人も中にはいると思うんですけど」


「商品の量が少ししかない時があったんですよ、機械の調子が悪くて。午前中で終わっちゃった時があって。周りの方にも申し訳なかったし、お客さんにも申し訳なかったし。で、次の月に、先月すぐ売り切れてたよね? すごいね! って言ってくれた人もいたんですけど、それは自分が数を用意できなかっただけで、すごくもなんともない。それをそういう風に思われてしまうのはいいのか悪いのか、ひっかかる。それは主催者の方にも、これしか用意できなくて申し訳ないって思ったんですけどね」


「毎回、主催者さんやスタッフさんの方が、全員と話をするのは難しいのだけど、アンケートとかになっちゃうと伝えにくいっていうか、対面で話した方が、「言う程でもないんだけどついでに言っちゃおうかっ」て事が出て来ると思うので、個人的には時間のある時に、二三分でもいいから直接話したい。そして、主催者さんとかスタッフさんとかってこういう方なんだって思うだけでも違うかなって思いますね。仲良くなるとか、親しくなるとかそういうのではなくて、どういう考えでお互いやってるとか、それをやるだけでも違って来る」


今回も様々な声がこのルポに上がりました。その声を新しい風に変え、新しい流れをつくれる様、このルポを書かせて頂いている僕も、ますます鬼子母神・大鳥神社を走り回りたいと思っています。取材に協力してくださった皆様、本当にありがとうございました。そして今月も手創り市に足を運んで頂いた皆様、そしてこのブログを観てくださっている皆様に感謝です。本年もどうぞよろしくお願い致します。

最後に。今年もまたフライヤーのデザインが変わりました。そして二つ折にされたこのフライヤーを開くと、そこには今までの様に参加規約等の情報記載はなく、両面を使った山口洋佑さんのビジュアルと、手創り市の成り立ちを表すシンプルな文章が数行。これには本当に驚きの声を上げました! フライヤーを手に取られた皆さんはどう感じられたでしょうか? そんな事を考えつつ、今回のルポを終わります。


うえおかゆうじ


・・・・・


今回のルポよりうえおかさんの文章と共に彼の撮影した写真も一点載せることになりました。

より会場の雰囲気が伝わるルポになればと。

ご意見・ご感想は下記mailまでどうぞ。

有り難う御座いました。


手創り市








手創り市のルポ・12月(後編)




「手創り市のルポ・12月開催」

(後編)


では、本編、12月のルポの始まりです。

今月は先月の様に、週間予報で怪しい雲行きを心配することなく、ばっちりの晴天でした。そんな中、最初の取材させて頂いたのは、木のおもちゃや家具などを制作しているキッコロさんの二人です。

「三年前に一回出ました。その時はまだ選考もなくて場所も早い者順の時だったんですけど、出てみて、お客さんに高い高いと言われて、ちょっと自分らでは客層が違うのかなと。で、しばらく出なかったんですけど、他の市に出展していたら、手創り市がいいみたいよという声を何度も聞いたので、今年の六月に久々に再び出たんですよ。で、出てみたらお客さんの反応がすごく良くって、お客さんの質がすごく変わったなって。それから出られる月は出る様にしています。」

「お客さんの変化? 楽しんで見るために来てくださるお客さんが増えたように思います。三年前位だと、安いもの、安いものみたいに見て回ってる方がいたりとか。今は純粋につくってるものを楽しみに来てるって方が多くなった気がします」

「僕らのやっていることを理解してくれているお客さんが増えたって、そう感じましたね」

「つくっているものを観て、考えてくれるお客さんがかなり増えました」

お客さんとの対話を大切にしていると言うキッコロさん。今迄に印象的だった対話を聞いてみると。

「先月は京都の人がわざわざ手創り市の評判を聞いて来たと言っている方がいて。京都の手づくり市でも毎月出している方らしくて、京都とは全然違う雰囲気で、見に行ってみたいと思って、これだけのために新幹線乗って来たという。関西方面にもすごく楽しいことをやっているって風に伝わっているみたいですね。」
 
次に僕は手創り市に対して感想を聞いた。

「出展してても、作家さん達の場のつくり方がすごくみなさんこだわってその方その方のカラーを出しているので、他だとテーブルに布をかけて終わってたりするんですけど」
「スペースの中でディスプレイを考えてる。」
「観ていてこっちも刺激にもなるし、その方の仕事場を感じさせるようなすごい素敵な場づくりをしている方が多いなと思います。」
 
最後に僕はキッコロさんのこれからを質問した。

「今後、どんどん新しいこと、色々と作品の幅を広げたい。おもちゃのつるつるしたものも多いんですけど、木にテクスチャーを付けていくようなことにも興味あるんで、そういう作品もつくっていきたいなと思います。どうしても生活があるんで、生活のためにつくる部分とつくりたいものをつくる部分と、やっぱり違って来ると思うんですけど、もうちょっと新しいことにも挑戦していきたいなというのがあるんですけど、なかなか時間の兼ね合いで難しいんですけど」

生活のためにつくる部分と、つくりたいものをつくる部分。そのバランスの取り方に悩まれる作家さん、またそれを上手にバランスを取っている作家さん、様々なものだなと僕は感じました。


次に僕は一人でいらしてた女性のお客さんに話しを聞いた。

「前から来ていました。茨城から来ています。よく鬼子母神にはお参りには来ていたんですけど、人気のない神社しか知らなかったもので、この間ネットで観たら賑わいがすごかったので、来てみました。実際観てみて、作品のレベルが高いと思いました。もうちょっと趣味の手づくり程度のものかなと思っていたのでびっくりしました。ここはきりっとした形の良いものが多いですね。私は、鳥のものを集めているので、何件か回って、今絞っているところです」

お客さんは若草色のシックなセーターを着ていて、そのセータ―の話になると、実はそれは彼女自身の手づくりだと言う。

「私も多少家のものを手づくりしているので、良い刺激になるかなと思って来ました。沈滞化しているから、上手な方のを観ると、良い刺激になるかと思って。家では主に生活用品をつくっています。カーテンとか枕カバーとか、自分で紡いで編んだセーターとか。染めて、糸車で糸にして、編んでます。普段用のもの。生活に密着したものをつくってます。染めは田舎に畑があるので、そこで素材を栽培して、収穫したら鍋で煮て、毛糸とか羊毛を染めて、糸車借りて。田舎にいるから、時間はあるからやってる感じですね。いいセンスで色を剥いで色んなものをつくってらっしゃる方がいたんで、私も糸の切れ端や布のきれ端のストックがたくさんあるので、大きなきれで何かつくるのは当たり前ですけど、そういうストックを活かしてつくれるかなっていう。やっぱり配色が勝負かなって思いました」

彼女の創作について更にお話を聞くと、

「専業主婦だったんで、もう30年はつくってます。親がパンツからシュミーズまでつくる人だったので、外で働いてない分は家でつくってっていう風に思ってたんで。身の回りのものはだいたいつくってます。だから、子供が幼稚園上がる迄、洋服屋さんに洋服が売っているとは思ってなかったみたいです(笑)。子供が小さいときは必要なものを必要に迫らせれつくってる感じでしたけど、子供が大きくなってからは、ゆとりが出たので染めをやったり。すべて独学でやって来ました。やっぱりつくることが好きなんですよね。いつも何かしらつくってます。生活の中で」

という快活な答えが返って来たのでした。生活の中に自然につくることがある。肩の力の抜け方がすごくいいなと感じました。


次にお話を聞いたのは、ガラス作品をつくられているMellowGlassさん。

「静岡に出させて頂いて、すごく楽しくて。スタッフさんも一生懸命だし。この方達が何を求めて手創り市をやっているのかを知りたくて、雑司ヶ谷に出る事にしたんです。で、すぐ名倉さんにどういう考えでやっているのか? 利益を上げたいのか? 事業家なのか? とか思って、ビジネスチャンスを求めてる野心家の人だったら、すごいビジネスが転がってる訳じゃないですか? それをひょうひょうとやってるでしょう? 欲に流されずに。だから何でだろう? ってのがあって、で、会った時にどうしてですかって聴いたら、「おせっかいだからかなぁ」っておっしゃってて。「とにかく好きなんですよ。月並みですが」って名倉さんは言ってて、他の人はどうかな? って思ってまた出る事にしたの」

雑司ヶ谷の手創り市に出て頂いてちょうど一年。その間の想いを聞いた。

「震災があった時私が二回目の出展の時で、出す事で私にも何かが出来たらいいなと思ったんだけれど、結局作家って何も出来ないでしょう? 他の企業のチャリティーとかそういう場所には出してたけけど、こういう場所で人と触れ合うことによって何かできないかな? って思ったんだけど、結局その月は中止になったのね。しばらく出せなくて秋にまた来たの。で、東京はすごく元気じゃん。でもあまり震災の事感じてないのかなって感じたんだけど、「∴つづる」の石鹸作家さんのこととか、248さんとかを読んで、主催者の方はすごく考えているんだなと思ったの」

「心にショックや悲しみがあった後だから、ちょっとした贅沢でオブジェを買う人が多いの。ここだけじゃなくて。夏くらいから動くようになって、秋冬はすごく動くようになったんです。手創り市で見たって人も多くて。だから私は逆に広がったの。今年はそういう年。禁欲して節電してそこで貯めたもので、ちょっと贅沢したいのかなって」

「私はいつも個展ばかりやってて、個展てその箱の色とか、あのオーナーさんがいるから間違えないとか、なんか目当てがあるでしょ? そこに集る人ってその箱のカラーに染まった人がくるじゃん。ここは、いろんな人が来るから、いろんなことを言ってくれるのね。ものをつくってたらたまには嫌な事も言われないと。で、ここ来たら、高いねとか買えないねとか、そういう言葉を聞けるから、じゃ、買えるものって何かな? とか? 思ったりね。個展じゃ知る事ができないことがここで知ることが出来たから良かった」

話は展開し、先月のルポにまつわる話題に。

「前回、75番ブースだったの。で、今日も75番だったの。私は個じゃん。先月のルポにもあったけど、個で、団体の人も選ぶ意図があって、なんでここなんだろうって個の人は思うじゃないですか? 私は直接名倉さんに「どうして私は75だったんだろう?」って聞いたの。でも、私は75で良かったなって思ったのは、前回同様光の当たり方がすごく良かったの。「もしかしてそれも考えてくださってるの?」って聞いたら、「まぁ、それもあり」って言ったの。ありかどうかわかんないけど(笑)。個は色々考えるでしょ? すごいメイン通りに並んだ人は、自分は何か考えてくださってるんだ、手創り市の人はって思うでしょ? もしかして手創り市の人が思ってることは、あそこの画面じゃわからないことが多いよね。私は直接聞くから。名倉さん、うえおかさんって誰って思ってる人もいるでしょ? 顔が見えないのかな? 個が思ってる期待とか想像とかコミュニケーションする場所がないのかもね? 私はあるけど」

そんなMellowGlassさんに、今月のルポから先月の振り返りをやることを伝えた。それに賛成の声を上げてくれたMellowGlassさん。そんな彼女は最後にこう語ってくれた。

「欲望があって皆さん出展している人もいるでしょ? 外側の事業なんて見えない人もいるでしょ? 手創り市の。私は、そういう欲はなくて面白いとか興味津々で来ちゃったから、まだなんでだろう? ってそればっか思ってる。欲がある人はここに出せばお金が貰えるとか思ってるかもしれない。でも私はスタッフのみんなのエネルギーがすごいよってことが知って貰えたらなって思ってるの」

エネルギー! 確かに手創り市のスタッフが市に賭けるエネルギーはそれはすごいものがある、と僕も思います。が、同時に、そのエネルギーにも当たり前のように個人差があり、その個人差を主催者の名倉くんはあえてよしとしているその姿勢も僕は知っているので、そんな側面が手創り市をつくっているのもまた事実だなと思ったりもしました。


次に僕は男女二人連れのお客さんにお話を聞いた。

「10月に初めて来ました。ある方のブログに手創り市のことが載っていて。最初に来た時、境内の中でやってるってことが意外で、こんな所が池袋にあったんだってことも知らなくて、意外性がありましたね。普段とのギャップがすごいなと。プロのような人もいれば、セミプロのような人もいるし。値段もまちまちですよね。面白いですね。作家さんと話せるってことは貴重ですよね。どんな気持ちでつくったか? とか。人を通してものを観るってことが面白いなと思います。つくり手が見えてるってあんまりないじゃないですか?」

「こういう場でそれを知れるっていうのはいいですよね? ずっと続いて欲しいですよ」

買い物袋をさげたお客さんに今回の買った作品を見せて頂いた。

「今回は陶器とフェルトの鍋つかみとターコイズ系のアクセサリーを買いました。このアクセサリーは前回も行った店で買いました。お気に入りのお店もできましたね。ブログも見せて貰って、今日出るってことで来ました」

お気に入りの作家さんが出来るのは、この市に足を運ぶ醍醐味になりますよね!


次に僕は主に消しゴム判子を出展している作家さん、Replyさんにお話を聞いた。 

「Replyの屋号の由来? もともと自分の手から生まれるものでみなさんが優し気持ちになってくれたらなっていうのがありまして、こっちからのコミュニケーションの問いかけにお客さんも答えてくれる、キャッチボールのレス、掛け合いって意味のReplyから来ています」

「手創り市には、三年前から出ています。昔はのびのびやってたと思うんですよね。出展者もお客さんものびのびやってて、そういうところの木の感じとか自然の中でゆったりやってる雰囲気は僕は当時の時の方が好きですね。今は賑わってて、盛り上がっててそれはそれで楽しいんですけど、お客さんがゆっくりそのブースに観てる感じがないので、そういう意味では昔の方がお客さんもゆっくりしていたっていうのはありますね。ここの手創り市は、毎回新しいお客さんがどんどんどんどん流れて来るんで、いつも新しい人に会えるので、今と昔、どっちが良い悪いっていうのはないと思うんですよ。いつも新しい眼で見て貰えるんで。そういう意味ではすごく活気があって好きです」

そんなReplyさんに、お客さんとの対話についてのお話を聞いた。

「コミュニケーションにおいて気遣っていること? なるべくお客さんの圧力にならないようにしています。こちらからはまず声はかけません。ゆっくり観て頂いて、欲しそうな眼をしてるお客さんとか、話し掛けてくれる人、情報が欲しそうな人には話し掛けるんですけど、基本的に放置状態です。滞留時間、すごく作品が多いので、ゆっくり観て貰えたらとなるべくプレッシャーにならないようになったらと気を付けています」

さらにReplyさんに、僕の書いているルポの感想を聞き、そして今月から先月のルポの振り返りを始めることを伝えると。

「いいと思います。もっと出展者との距離を近付けたらいいと思います。事務局と出展者の距離。ちょっと寂しいなと思う所はあるので。よくも悪くも、あまり干渉しないというのがありますよね? 仲良しクラブじゃなくて、お互いが同じ方向を向いているように擦り合せていければ、別に干渉というか、余計なコミュニケーションはいらないと思うんですよね。向いてる方向が近くなる様にいけばいいなと僕は思いますね」

仲良しクラブでなく、向いている方向が近くなるようになれば、というReplyさんの考えには僕も共感を得ました。


昼下がり、鬼子母神の会場の至る所に、スケッチブックと画材を手に、手創り市/鬼子母神の風景を写生しはじめる方たちが目立ち始めた。皆、真剣にスケッチブックと目の前の風景に向かう。そんな姿を横目に眺めた後、次に僕は、HIGU BAGELさんというベーグル屋さん、その姉妹さんにお話を聞いた。

「今年一月から毎月コンスタントの出させて頂いてます。結構昔から市の存在は知っていた。お店が板橋にあるんですけど、お客さんが手創り市に来て頂いたり、また、手創り市のお客さんがお店に来て頂いたりするのは嬉しいですね。初めて出たときは冬だったんですけど、お客さん少ないのかな? と思ったらすごく盛り上がっていて、寒いって言ってられないくらい忙しかったですね。回を重ねていって変わった点は、リピーターさんが来て頂けている点が大きいですね」

「不思議に思う点は、選考があるじゃないですか? で、ベーグル屋さんが三店くらい出る時があって、パン、焼き菓子、出るものが限られてるっていうのがあるじゃないですか? そこでどういう選考でやられているのかな? っていうのが不思議です。選んで頂いていて光栄なんですけど、競合店がいると売り上げも多少は影響があるんで、そういうのがかぶらなければ嬉しいなっていうのはあります。ま、でもしょうがないとは思っています」

話は展開し、ルポの感想から自然と先月のmignon(ミニョン)さんの言葉についてお話を聞く事に。

「思う所はあって、最初は最後迄出るつもりでいたんですけど、やっぱりこうどんどん歯抜けになってくじゃないですか? お客さんも朝すごく盛り上がってて、お昼過ぎるとこの通りって閑散としてきちゃうので、逆にコミュニケーション取りたいと思いつつも、商品がなくなってくると興味も持って頂けないので。商品が一点二点だとほぼ観て貰えないような状況なので、逆になんか、居心地が悪いと言いますか、売れ残ってる感が嫌で逆に早く撤収しちゃうというか、そういう側面はあるんですよね。だから気持ちとしてはmignonさんの気持ちでは確かにあって、ずっとここにいて、こういう店があったんだよっていうのはあった方がいいと思うんですけど、そういう事情もあるという。他の手づくり市にも出たりしているのですけど、そちらは最後迄いたりはしてるんですよ。最初出た時にお隣さんが売れていなくなった時に、ここはそういう所なのかなっていう風に感じて、そうしなきゃいけなんじゃないかなって思った。例えば自分たちでどっかいくにしても、テーブルだけ出て、お店出てましたよって出しても良かったんですけど、なんか、その辺が雰囲気的にそういう風に感じ取ってしまったので」

「あと商材によると思います。ジャムとか保存の効くものだったら最後迄いるべきだと思うんですけど、パン、焼き菓子関係は、気候の問題もあって、あんまり長い間、置いとくと良くないとかもあるんで、早く売り切りたいってのもあるんですよ。直射日光が当たったり、冬は冬で乾燥して、品質が悪くなるので、商品大丈夫かな? って思う事もあるので。その辺の兼ね合いも難しいですよね?」

手創り市のルポを始めてつくづく思ったのは、色々な方の色々な意見があるということです。そして物事を正しいか正しくないかで割り切ることは重要なことではなく、それぞれの方の違いを認めつつも、切磋琢磨しながらやっていくことだと僕自身思っています。


次に僕は一人で来てくださった男性のお客さんに声を掛けた。

「この一年はほぼ毎回来ています。池袋界隈に住んでるんで、この辺休みの日にぶらぶらしてたら、なんか人が集ってるなって、たまたま出会った。頻繁に来る様になってからブログもチェックし始めました。そこで出展者のリストを見て、「あの人今月も出るのか?」とかチェックしてますね」

「バザーだとかガレージセールだとか、歩いているとあちこちで見るんですけど、ここでやられている人って上手っていうと変ですけど、比較的プロに近いものを出されてるなっていうのを非常に感じるのと、特に最近そういう傾向が強いなと思いますよね。趣味でやられているのじゃなくて、どちらかというと、自分の仕事としてやられている方が多いのかなって思いますね」

今迄手創り市に足を運んで頂いて、印象に残った事を僕は聞いた。

「先月、外国の方が仕入れを交渉している方がいました。その作家さんと外人さんの間を、作家さんの中学生の娘さんが英訳して「母がなんとかって言ってます」とか。そんな光景も見ました(笑)。その位、商売だけでなく、色々な方が見てるのだと思います」

そして最後に、手創り市に対しての要望を聞いた。

「今回何が目玉なのかな? って言うのは来てみないとわからないですけど、こういう新しいものがありますよっていうのがわかると、見やすいかなっていうのはありますよね? 例えば、出展者リストやブログに新人さんだけでも取り上げるとか」


西日が射し始める大鳥神社。いつもよりも賑わって見えるそこで、一番古株のスタッフ秋田さんに「今年の総括」をして貰う事に。
そして僕は、今年の手創り市で一番大きかったと感じることを聞いた。すると秋田さんは不意打ちを食らわすように、

「うえおかさんですよ! うえおかさんが入ったのは、私の中では本当に大きい」

と言ってくれたのでした。(自分でルポを書いている身なのでお恥ずかしいですが)

「最初のルポの時に、名倉さんがうえおかさんが入ることによって体外的な部分はもちろん、内部もかき回して欲しい的なことも言ってたじゃないですか? そこがすごくいいなと思った。そうだそうだみんなをかき回しちゃえ、うえおかちゃん頑張ってって思ってた。でも、一番かき回されたのは、私っていうか(笑)。話してて、手創り市の初めの頃のことをすごく思い出した。五年間突っ走って来たというか、ただ目の前のことをやってて。で、話して手創り市に関わるきっかけとかを思い出した。忘れてた、五年前始めた時の気持ちとかを。それを話して思い出したから、俯瞰で見るきっかけになった。私は絵がもともと好きだったんだけど、それも忘れてたの。別のことに集中してたからかな。だけどうえおかさんと話して、そういえば私絵が好きだったんだと思って、あとそのタイミングで丁度、清水さんの巡回展とかあって、あれで「はっ!」って思った訳。で、手創り市でイラストの展示の企画をやりたいなと思ったの。手創り市が始まる前は、絵を見に行って、若い作家さんの絵とかを買ったりしてた。ギャラリーすっごい見に行って。でも、手創り市を始めてからぱったり。その気持ちが甦った」

「あと、名倉さんが普段考えてることって全部はこっちには来ないでしょ。で、うえおかさん経由から来た情報が結構あったのね。それで、自分達で企画とかしてもいいんだ、って思って。そういうのを聞けたのが良くて、なんだやっていいんだって。それまでは、名倉さんはやっぱり自分で全部をコントロールしたいんじゃないかな? って思ってたんだよね。名倉さんの中で思い描く手創り市みたいのがあって、うちらはあんまり口出ししちゃいけないと思ってたのね。ところが求められてる部分があったんだって。でもそれは本人の口からは多分言わないでしょ」

「この間の10月、お客さんがすごく少なかった時があって。あの時に何かイベントとかがあったら、もしかしたら人が来たのかなと思った。で、多分、来年も9月開催と10月開催の間が短いのかな? だからそういうのを考えたらいいのかなぁと思ったんだけど」
 
次に僕は、手創り市の場としての変化を聞いた。

「大鳥がすごく人が増えたね。ブースの配置を変えたからかな? 大鳥に流れて来る人が増えたのと、鳥居とか立って改装した後に、ブースの並びを変えたのね。通路が狭くなったんだけど、それによってお客さんがたくさんいる様に見える様になったの。「あらこっちも賑わってるわね?」ってまた来ようって気持ちにもなるんじゃないかな? それで多分定着したのかなぁ。それは大きな変化ですね」


今年最後のルポを飾るのは、古材、廃材などを利用して日常に使う道具を中心につくられている作家さん、ツグミ工芸舎さんのお二人。まずはソイさんにお話を聞いた。

「手創り市は、手づくり品を売るだけの市じゃないですか? 今迄出てたのはフリーマーケットとか骨董市だったりとか。そういうものじゃなくて、手づくり品だけの市だからこれはいいなと思って、応募しました。他の市に出た時より反応がすごくあって、それは嬉しかったですね。手づくり品を求めてる人が来ているから、フリーマーケットだと、何か安くていいものって人が多いじゃないですか? その違いだと思うんですよね」

「一番変わったのは、選考が始まりましたよね? 僕は最初の頃は電車で来てたので、いつも来るのが遅くなっちゃって、一番はじっこしか残ってないっていうのが、最初の内、ずっとそうだったんですよね。それが選考が始まって、そんなに朝早く来なくても決まった場所に来られるというのが嬉しいですよね。出展する側からすると。什器をつくって出展した時に、名倉さんがその事をブログに書いてくれたりとか、あと自分の個展の事とかも告知して貰ったりとか、行った感想みたいな事も書いて貰って、出展するだけじゃない部分も応援して貰ったのがすごく嬉しかったですね」

話は変わって僕のルポの感想に。

「nitocraftsさんの質問に対する答えみたいな感じが、僕の個展の批評みたいなものを書いてくれたじゃないですか? あそこに答えが入ってるなって感じがしたんです。書いた文章に対して、何かコメントが入るんじゃなくて、全体を読む中でその答えを自分から見付けるみたいな側面はあるなとは思ってますね。直接どうですか? こうですよ、とかじゃなくて、主催者がやってることを探してく中で見付けるのもありっていうか、面白いっていうか、その辺の事も名倉さんは計算してやってるに違いないなっていうところは感じましたけどね」

さらにブログの感想へと話は続いた。

「ブログを自分が読んでた中で、食品出展に関することで規約が変わるというような事が書いてありましたよね? それがどういう内容なのか、僕にはわからないんですけど、うちはワークショップとかも前回もやらせて貰ったんですけど、食品、食べ物に関わるワークショップをやって来たんで、アイスクリームスプーンをつくってアイスクリームを食べるとか、ジャムスプーンをつくってパンを食べるとか、食べる部分迄が出来る様になったらぜひやらせて貰いたいなというのはあるんですけど」

最後にこれからのツグミ工芸舎さんのお話を聞いた。

「前回のアトリエ訪問インタビューの時にも言ったんですけど、木工を中心に色んなことをやってく、色んな取り組みをしていくという事で、今回「借金なし」という在来種の種を自分で育てて今年取った分の種を売ったりとか、小鳥のコインの事とか、それ以外のもっと面白い事を始めますんで期待していてください」

そしてバトンはオキムイさんへと渡り、僕は手創り市に対して想う事を聞いた。

「うちの方で取材とかを受ける機会が前よりも増えて来たんですけど、その時にお受けして感じた事なんですけど。手創り市でアトリエ訪問で来て頂いた時に、最初から聞いていたんですけど、そのままを記事にする、って名倉さんも言われてたんですけど、新聞とか雑誌とかだったら、言った事をそのまま載せるってことはまずないじゃないですか? でもそれでうちはやっていると。で、わかってたし、実際その通りになった。すごい長くなって、あ、本当にそうなんだなって思って。いいとか悪いとかじゃなくて、こういうのがありなんだなとは捉えてたんですど、他の雑誌などでインタビューがあった時に、その取材をしてくださった方の言葉で書いてくださった時があって、それがその人の想いの中でのインタビューの受け取り方になっているので、すごく自分たちが言いたかったことと違う風になってたんですよね。例えば展示会の名前とか、作品の名前のスペルが違かったりとか、間違ってた所とかがあって」

「他の作家さんもみんなそうだと思うんですけど、名前ってすごい大事。結構想いを持ってタイトルを考えて付けて、タイトル自体も作品なのでそこが間違っちゃうっていうのはすごい悲しいっていうか。他の方に伝わらない所かなっていうのがあって。今もそうなんですけど、自分たちの言いたい事っていうのが上手く言えないで上手く伝わらない部分がそのまま載っちゃうってことが、すごく手創り市の方で、正直、そのままっていうのはどうなのかな? っていう思いがあったんですよね。実はね。でも、そういう経験をして、要約されたり、間違ったりして受け取られたものが、ネット上なりに出た時に、やっぱり、自分たちも上手くは言えないけれど、言った言葉は私達の言葉でやっぱりそれは事実っていうか、嘘じゃない訳で、言いたい事が言えなかったりしたかもしれないけど、第三者の方に、こうなんだって書かれるよりも、生きた言葉で、ありのままに載せるっていう手創り市のやり方がひとつの方法としていいなと、今すごく思えるって所が、手創り市の違うところかなって。個性で良い所かなって最近思ってます」

オキムイさんの語りは更に続いた。

「手づくり市っていっぱいあるじゃないですか? 多分東京ではこちらが走りだと思うんですけど。手創り市の「創る」っていう字が、「創造」ってなってますよね。手で創る、手創り品を売るっていうのが手づくり市の基本で、ここもそうなんだけれども、この鬼子母神の手創り市は創造性の「創」を使っている、ただつくるんじゃなくて、創造して創り出していく「産み出す」みたいな気概、気持ちがすごい主催者皆さんにあって、そこがよく表れてるのが字にも出てるかなって感じます。それがこの手創り市の良さであり、特徴であると思っています。何かを産み出そうっていうのが、作り手さんだけじゃないところからも伝わって来るのが、特徴的だと思います」

話は変わって僕のルポの感想に。そして話題は今回のルポで随所に登場した「一歩通行」の件について。

「確かに一方通行的な部分はあると思うんですよね? 読んで何かを感じてコメントしたいと思う事はあるし、自分はそういう時、メールしたりするんですけど、ここに限らず。手創り市のルポを読んで確かに一方通行的な部分はあると思うんですけど、それを読んで、その本人に戻すんじゃなくて、つくるものとか、これからやっていくことに反影させて、その想いをその人にお返しするんじゃなくて、他の人に向けてだったり、表現だったり伝えるってことが一個の方法としてあって、それをやることが一方通行では終わらないというか、そこから確実に、他なり自分の作品づくりの中で広がっていったり進んでいくことがあるから、そこだけで一方通行じゃない部分もあるのかなって思ったって感じですね。nitocraftsさんの意見に反論してるようになるかなってなるとあれなんですけど、私はそういうのをすごく感じました。名倉さんのブログやうえおかさんのルポを受け止めて、じゃ次回はこうしてみようかってやってけるきっかけになると思うんですよね。それは一方通行じゃなくて答えてるってことになるんじゃないですかね? 受けた人が他の人に伝えて、その人がまた他の人に伝えていけば、バトンとして一方通行どころかそれは流れていく」


「バトンとして流れていく」。印象的な言葉です。
以上で今回のルポを終わられて頂きたいと思います。先月のルポ辺りから薄々と、そして今月から明確に感じたことですが、僕のやっていることはルポという形のコミュニケーションであるということ。つまり、オキムイさんの言葉にもあった「バトンの繋げ役」です。そしてそのコミュニケーションをより活性化、生きたものにするためにこれからも精進したいと思っています。
僕の個人的な今年の総括をあえてこの場でさせて頂くなら、僕の中で一番大きかったのは、この一年で手創り市と深く関わり、そしてその事によって僕自身がより変わったことです。
そんな機会を与えてくれた手創り市に関わる多くの方々に心からの感謝を述べ、今月のルポを終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

うえおかゆうじ

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手創り市
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手創り市のルポ・12月開催(前編)


「手創り市のルポ 12月開催」

(前編)

「手創り市のルポ」も今回で早四回目となりました。手探りで始めたこのルポですが、毎回、挑戦と失敗を繰り返しながらも、より有機的なルポを目指し今に至ります。
そして、今月からこのルポの巻頭を借りて、先月のルポの振り返りを始めることになりました。
名倉くんへのインタビュ?形式を取りつつ、そのいきさつから語って頂きたいと思います。

Q1/先月のルポでnitocraftsさんから、手創り市のルポは、ルポのインタビューを受ける人たちと手創り市側がお互い一方通行な気がしているとの指摘がありました。その一方通行である部分を考え、打開する為に、今回から先月の振り返りの場を、ルポに設けることにしました。まずその経緯を名倉くんの方から説明して頂けますか?

名倉(以下/名):「先月のルポには、これまで自分たちも考えてきた事柄があって、それはルポのインタビューを受けた方、個人からの声であったけれど、それを単なる個人の見解として捉えるのではなく、個人の背景には多くの人がいるという事を想像し、振り返る事も同時にやってゆきたいと思ったので、うえおかさんにルポの場を活用してゆく提案をしました。ただし、貰った言葉にちゃんと自分の言葉で返したいと思うので綺麗事やお茶濁すような事はしないつもりでいます。という訳で、普段僕が個人とむきあう時の調子でやらせて貰えたらと思ってます。それと、毎回頂いた言葉すべてに返すという義務でもない、というのは最初に決めておきたい。そんなところです。はい」

 
Q2/nitocraftsさんの言葉の中に、手創り市側と作家さん側の双方の意見交換ができる場があれば、との声も上がりました。これは以前、予定していて中止になった懇親会を指すと思うのですが、その懇親会について、今後の展開はどのように考えていますか?

名:「懇親会については、3月の震災後、使おうと思っていた会場の予約が困難になってしまった事もあって、ひとまず中止とした訳で、懇親会そのものは来年やりたいと思ってる。中止になる前は、内容にこだわっていたけれど、今はまずやってみる事を優先したほうが形になるかもしれないし、内容にこだわってハードルあがってやれなくなるって言い訳はしたくないので一度形にする事を目指すかな。その辺り、作家さんからも意見を聞きたいと思ってる。どんな形がいいですかね?」
 
Q3/nitocraftsさんからさらに、スタッフと作家さんとの距離の取り方についての言葉も上がりました。
 
「僕から観ると、一部すごく接している作家さんと、逆にそうでない作家さんとの違いが見える所がある。だから、全員の作家さんに接しられてもいいんじゃないかなって。みなさんに興味を持って」
 
この言葉に対して、どのような感想を持たれましたか?

名:「まず、nitoさんからいただくこうした言葉を自分なりに受け止めるべきで、正解不正解ではない方法で考える事。で、僕が感じるのは、手創り市スタッフの作家さんとの距離の取り方はちょうどいいんじゃないかな?と思ってる。それに、スタッフについては基本的に大人扱いしてるかな。 例えば、スタッフの中でも、自分がいいなと思う作品をつくる作家さんの所に毎月立ち寄る人もいて、毎度じっと見てるよね。でも、ブースの前でキャッキャしてる訳じゃないし、もしそうなら邪魔だから帰れ、と思うし、そういうのは遠慮なく指摘するよ。全体にとってスタッフが邪魔してるなら、会場に存在する意義はないしね。 気になる作家さんとこに立ち寄って、作品買ったりするのは良い事だと思うし、自分の好みを見つつも会場の様子も見てるし、そこは線引きできてると思う。まあそんなこたあ当たり前だけどね。 面白いスタッフでは、毎月食品ブースで食料を調達してから、ほかの作家さんの作品を買っていて、すごくエンジョイしてる子もいるけれど、お金大丈夫かな?と時に心配になるし、昼飯の時間の前なのにそんなに楽しそうに食べて・・・と思うけれど、まあやるべき事はやってくれてるしね。放っておくよ。 ほかには、選考に携わる身なので基本的には作家さんと一定の距離をおいてるってゆうスタッフもいる。それはそれで自分が考えた上でそうしてるんだから何も問題ないと思ってるし、それがイコール興味ない、って安直な話じゃあないのは一緒に仕事してるとよくわかるから。かえってそういう所にその人の人間味が表れてしまってる。 何が言いたいかってえと、作家さんとの関係を、ああだこうだ云うような扱いはこれからもしないし、明らかにスタッフとしての限度を超えてる場合は指示や教育じゃなく、辞めてもらえばいいんじゃない?と考えてるね。冷たいと言われてしまえばそれまでだけれど、自分が好きで参加してるなら、その程度の節度や責任は自分でわきまえろって事でしょ。好きとか、自由ってのはそういう事含めてじゃないと自由なんて無くてもいいよね、と思う」
「僕は一応代表としているけれど、学ぶってのは教えられる事じゃなく気づきだと思う。考えない人間が学んだ所で意味があるかってゆうと教えられた事に依存するだけと思うし、手創り市の会場は自分次第で学べる事がたくさんあるから。それこそ目の前の作家さんから。そして、お客さんからも。僕は自分もそう人に扱ってほしいから他人にもそうするかな。そういう意味で大人扱いって思ってる。それと、皆に興味をもって、というのが、全員に対して平等に扱って欲しい、という事であれば、僕はものづくり等表現が問われるものには千差万別の嗜好性があるから、原則平等ってのはないと思うし、平等意識はちょっと怖いかな。仮に、皆同様に興味を持つって事が、話をしなくちゃならないとか、作品をじっと見て話すとかを定義するなら僕はそれは違うと思うね。興味があっても、人によってその表現は様々だし、他人には見えてこない事はあっても不思議じゃない。もちろん開催時の受付の際に、ある人にはへりくだって、ある人には威圧的、とかゆうのであればそれは相当問題ありだけれどね……。言葉足りない部分、理解が足りない部分もあるかもしれないけれど、そう考えてます」
「敢えてnitoさんの記事で、という事を言わせてもらうと、自分は毎回比較的良い所に出展させてもらってるとあったけれど、これについては人がいいとか、特定のスタッフと仲がいいとか、そういう事は関係ないね。言えるとすれば、選考はクオリティ重視と言ってるけれど、作品だけ良ければいいじゃん、とは僕らは思ってない。それは皆誰しもそうだと思う。作品と展示の環境、それにまつわるdetailも開催時には見ているつもりです。選考の話だからそれ以上詳しくは言うつもりはないです、申し訳ないけれど」

Q4/mignon(ミニョン)さんからこの様な声が上がりました。
 
「飲食のお店の方が、人気のお店はすぐに売れてしまって、その後帰られちゃうのは残念だなと思う。お客様としても、寂しいと思う。商品はなくなちゃったんですけど、こういう活動していますよって、お客様とお話する時間はたくさんあると思いますのでそれをなさらないで帰られてしまうのは、御用のある方は仕方ないですけど、勿体ない気がします」
 
この言葉に対してはどのような意見を持たれましたか?

名:「まず、こうした声を拾ってくれたうえおかさんに感謝したいと思う。ルポの醍醐味はまさにこうした声があがってくる事だし、それを受け止める事だと思うから。それと、やっぱり食品の方は野外で販売する以上、鮮度よくしっかり売り切りたいってのが当然あって、つくれる総量に限りがある。いずれも作り手としての良心だよね。それを前提にして、同じ食品を販売してるmignonさんからこうした声があがっているというのは、我が事ながら手創り市の作家さんいい! って思ってしまった、すみません。やっぱり、自分に関係する事だし、売り切れてれば差し当たって問題ないから、敢えて声をあげる必要がないってのが心情と思うんだ。でも、それなのにそうした声があがるってのは、何度も言うけれど、いい事でしょ? ましな言い方すれば、フェアだと思うんだ。自分も当事者だから。お客さんの事を考えている、ってのは端的に言えばそういう事が含まれると思う」
「確かに食品の方は売り切れる方も多く、売り切れて帰っても規約上は問題ない訳だよね。それに、16時まで帰っちゃ駄目です、とそんなお子様ランチみたいな規約を設けるつもりもないし、だからって午前と午後で出展者の入れ替えをするとかもね?……違うしね。結局、これもスタッフと同じだけれど、大人扱いだよね。やれることを自分で考えようよってゆう。考えた事、アイデアはやっぱ広まるものだと思うし、最初は自分だけでも、それが周りに伝わってくると自分たちって事になるはずで、同じ食品同士とかだと尚更気になるよね。でもまあ、単純に商品以外に自分たちが伝える事ってなんだろう? というのを食品の方に聞いてみたいと思ったし、アイデアを交換するようになったら尚いいよね。いい事ばっかり言ってるけれど、やっぱり楽しみにしてやってきたお客さんにとって食品ブースが閑散としてるのは良いものじゃない事は確か。結果論として、そう思いました。そこの所をもう一歩考えてみる事が、今手創り市の食品の出展者の方に求められてるのかもしれない。それは一緒に考えてゆく事に値する事だと思うし、結構面白い事かもしれないよね。どうかな?」

以上が11月のルポ、振り返りになります。名倉くんの回答は、回答ではありますが、それが「おしまいの答え」でないことは読んで頂いてわかるかと思います。これは「投げ掛け」に対する「更なる投げ掛け」だと思うのです。そんなコミュニケーションをこれから展開していけたらと切に思い、このルポの巻頭を振り返りの場としました。明日もよろしくお願い致します。 

うえおかゆうじ

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ご覧頂き有り難う御座いました。
明日は会場本編(後編)をお送り致しますので是非ともご覧下さい。

※ご意見ご感想は下記mailまでお寄せ下さい。


手創り市






手創り市のルポ(11月20日)



「手創り市のルポ 2011年11月開催」


11月20日(日)の手創り市が行なわれる一週間前あたりから、僕の耳にどこからともなく「週末は雨らしいよ」という情報が入り始めた。それは、僕がこの手創り市でルポをやっていることが、周りの友人たちにも定着し始めた証なのだろうと嬉しくもなったが、反面、雨は困る。
毎日、数時間おきに、携帯で天気予報をチェックする。午前は雲りらしいが午後からの雨マークが消えない。
今回取材を予定していた作家さん三組とのメールのやり取りにも、やはり天気の話しが持ち上がる。
ブログでは名倉くんが、「こういう時こそ日頃の行ないに気をつける」と書き、僕も姿勢を正し生活に臨んだ。
そして日曜は晴天を迎えた。と書くと、若干、僕の行ないが良かったからのようにも読めるが、そんなことはないです。皆さんの日頃の行ないのおかげであります。はい。
そんな訳で、無事今回も「手創り市のルポ」を送らせて頂きたいと思います。


今回の手創り市、今月ならではの特徴は、まず酉の市の関係上、会場の一つである大鳥神社の開催が行なわれなかった事。そして、鬼子母神では、仁平古家具店さんよる「場づくり」が行なわれた事です。
「場づくり」とは、手づくりのものを出展する作家さんのスペースとは違い、普段ショップスペースを構え、つくられている方に、手創り市の会場にその個性を活かした場をつくって頂くという企画です。
まずは、その「場づくり」を開催して頂いた仁平古家具店さんに話を聞きました。

「そもそもの発端は、国際フォーラムでやっている大江戸骨董市で名倉さんと二、三年前に会ったのがきっかけ。何度か会う内にこんなことやっているという話を聞いて、それでこの市を知って興味を持ったんですよね。で、何年か経って「場づくり」という形で出てくれないか? と言われて出る様になりました」

栃木県の益子と真岡に二店舗を構える仁平さん。普段はお店には、殆ど顔を見せないと言う。
「いつもは店には出ていないですね。商品を洗ったり直したりつくったりみたいなのが重要なので。だいたい仕入れに行ってたりとか、お客さんが来たら相手したりするんですけど、それ以外時間が空いたら、ひたすら工房で作業してるんですよ。仕入れるもののポイント? 骨董というよりは「古家具」って名乗ってるので、家具とか家で実用的なものとか、今で言うならカフェなどの飲食店で使うための家具を主にしてますね。実用性のあるものってのが近いですよね。古くて十万円する壷とかはうち向きじゃないので、どちらかというと雑貨感覚で手に取りやすいものとか、そういう感覚で選んでますね。お客さんの好みを考えて仕入れることもあれば、こちらから、こういうものもいいでしょ?って提案していくものもあります。感覚ですよね」

仁平さんがこの手創り市で最初に「場づくり」をされたのが、今年の五月だ。
「五月の感触? まず最初にすごく楽しかったです。これだけ広いスペースも構えさせて頂いて。いつも出ている骨董市とはまた違った層のお客さんがいるので、新鮮な目で観てくれるというか、骨董市は眼の肥えた人が多いので、「俺だけの一品を!」って感覚で来る人が多いんですけど、もっと純粋な眼でものを選んでくれるというか、すごく楽しんでくれてる感じがあったので、こちらとしても楽しくやれたし、売り上げもそこそこあったし、いいことだらけでしたね。後はこの人の多さに圧倒されましたよね」

次に僕は今回の感触やポイントを聞いた。
「前回は初めてだったので、朝イチがすごい勢いでみなさん買いに来たんですよね。多分出展者の方だと思うんですけど。商品がきちんと並んでない状態から、会計会計で、時間もないくらいなんですけど。今回は二回目で慣れたせいなのか、朝イチの波が少なかったのでやりやすかったです。今回は天気のことを考えました。一昨日迄僕は中止だろうと思ってたんですね。天気予報がずっと雨マークで、それが昨日になって晴れになったんですね。で、晴れても昨日迄の雨じゃ相当ぬかるんでるんだろうなと思って、だいたい足が鉄のものをいっぱい持って来て、鉄だったら水をかければ泥も落ちるので。そういう目論見で、鉄足のものを多く持って来ました」

そして最後にこの手創り市の印象、思う所を聞いた。
「うちの方でも市をやってますので、その中でも勉強になりますし、都会というのもあり、出る人を選んでるっていうのもあって、クオリティも高いし、何よりも手創り市スタッフのこの市に対する熱意ですかね? それは本当にすごいなと思いますね。ブログ、ホームページを観てもここに賭ける熱意は半端ないですよね。その熱意があるからこれだけの人が集るんでしょうし。そこは見習うべき点だなとは思ってます。常に飽きさせない努力を考えてるじゃないですか?常に、更に更にを求めてるというか」
僕がルポを初めて三ヶ月。もしかしたら、この「変わり続けようとする姿勢」に対する言葉が、一番作家さんの声から届くこの市の印象かもしれない。


次にお話を聞いたアクセサリーや真鍮で雑貨などをつくる作家さんyutaさんの言葉にも、やはり同じ意味のことが語られていた。
「手創り市は流れが早い。結構新しいことどんどんやってくんで、その速度に僕がおっついてない感じですね。展示にしても新しいテーマを設けたりだとか、僕個人として新しいことをやっていかないといけないな、なかなかそれが追いついてない状態ですね。でもそれで触発されてます。手創り市こんなに頑張ってんのに俺頑張らんでどうすんねん、みたいな」

そんなyutaさんに手創り市に出始めた頃の話を聞いた。
「一年半位前に初めて出ました。ちらほらつくり手の友達から、東京でやっている手創り市の噂を聞いていた。それまでは地方のクラフトフェアに出ていた。最初見に来て、毎月やってると聞いていたから、そんなんでもないんかな?と思って来てみたら、密度が濃かった(笑)普通に地方で年一回やっているのとかと同じレベルの賑わい方をしていて、これを毎月やっているのか? と思った。で、最初の出展は大鳥神社で、ゆるい感じが良かった」

初めて出展、その時の話に花が咲く。
「一回目出た時から、真鍮の雑貨をつくり始めた。手創り市の前は主にアクセサリーがメインだったんですけど、手創り市で手に取りやすい価格のものはないかっなってのと、「つづる」の「健康より」に書いているみたいに、道具がもともと好きなんで、つくってみようと思って、いくつか雑貨をつくったんですけど、数が全然なくて。今売ってる三分の一位しか種類がなくて。マドラーとアイススプーンくらいしかなかったんですよ。で、大丈夫かなって、朝もうへこんで(笑)初回がこれじゃやばいと思って。それが、みんなすごい観てくださって、買って頂いて、ありがたや〜ありがたや〜ですよ。手を合わせたくなりますよ」

次に僕は、手創り市に一年半出てみて思う事を聞いた。
「常に動いているな、固まってないというか、流動的というか、新しい試みというか。だいたいクラフトフェアって年に一回なんで、あんまりフェア以外のことってやらないんですよね。ブログとかもその前後に更新があるとかで、あれだけサイトをがっちりつくってるのって、手創り市だけじゃないかなと思って。「つづる」であったり、ルポであったり、悪い血を貯めないように流れ続けてる」

そして最後に、手創り市のウェブマガジン「つづる」の「健康より」について話を聞いた。この「健康より」は、中学から一緒だった二人の男子が、高校で仲良くなり、果てには、つくり手として、片や陶芸の道を、片や金属の道を歩む事になる、そんな二人の語らいです。
「「つづる」についてですか? 書いてて面白いですね。近藤とのキャッチボールが面白い。近藤の文章を意識してますね。月曜の夜12時回った時点で、チェックしてます。観て、四日間くらいの間で考えて、最後の一日か二日くらい前に、一日かかって書く(笑)めちゃめちゃ大変です。こんな大変やったんやって思いました。必ず一日潰れる!」
一日潰れる!と言った割にはすごく楽しそうに笑ったyutaさんの笑顔が印象てきでした。


次に若い女性のお客さん、二人組に話を聞いた。
「会場に来るのは初めて。好きな雑貨屋さんのブログで観て、来てみた。ブログの雰囲気と市が、来てみて同じイメージだった。それぞれのお店で値段にばらつきがあると思った。すごく高い一点ものもあれば、高そうなのに安いもののある」

「つくってる人の雰囲気がみんな似てるなと思いました。年代も近そう。会場では、特に器がいいなと思いました。以前自分もものをつくっていました。金属でオブジェ、アクセリーとか。だから、つくれるかもと思いながら観てしまったりとか、どうやってつくってるんだろうというのはわかりつつ見てしまうかなぁ」


次に話を聞いたのは、GRさんという、陶器や羊毛などを扱う作家さんだ。
「出展して二年過ぎたところ。最初は、ネットで洋服の型紙を販売していて、その頃は子供が小さかったので、すべてネットで完結したかった。で、人と触れ合いたくなって、子供の幼稚園の陶芸サークルから始めて、そこは手びねりだったので、どうしても電動轆轤(ろくろ)がやりたくって、釜もないのに電動轆轤を買って、始めて、ちょっと教室に通って、釜も買った。でも陶芸にはこだわってなくって、陶芸家になりたいとはあんまり思ってないです。羊毛、お友達に教えて貰った紡ぎとかも、すぐに始めて、去年ワークショップもここでしたんですけど、なので素材を色々組み合わせたくって、だから陶にこだわってる訳ではないです。羊毛もはまって来たんで、フエルトとかも始めようかと思ってるんで。なので、申し込み用紙に記入する時、ジャンルの欄に何て書くか困ります。あれこれなので」

とにかく「つくることが好き」と語るGRさん。
「コラボしたい。羊毛と皮とか。樹脂と陶とか。一生一つのことやってるのはなんか勿体ない気がして。やりたいことは全部、子供に託すんじゃなく自分がやる。子供がギター始めたんですけど、私もやりたくなって、始めました。今はドラムも習ってます。この二年間で手創り市が変わった点? お店に出されているような方や、すごい方が増えて来た。自由が好きです。自由なこだわりっていうか。みんなそれぞれでいい。何がダメとか、あれはダメとかはない、感じがいいです。とにかく続けて欲しいですね」


次にご夫婦で会場に来られたお客さんに話を聞いた。
「この市のチラシを池袋の天然酵母のパン屋さんで見かけて、そのパン屋さん目当てで来ました。こんなに盛大にやってるとは思わなかった」

「作家さんとも話しました。ジャムを買い、どういう材料を使っているかとか。
普段、なかなか手作りのものは売ってないし、お店で手づくりのものが売っていても高い。それが手の届く価格で買えるのは嬉しい。欲しいなと思っても、お店では、買えないものがほとんど。京都の百万遍の手づくり市に良く行ってたので、近くにこんな市があったのは嬉しいです」


次に話を聞いたのは、廃材や端材で雑貨などをつくるnitocraftsさんだ。
「最初に出たのが、2009年9月。出る前の月に下見を来て、趣味的な方が趣味的に手創りしてる方が大半だった。で、ある出展者さんの作風がすごく好きになって、こういう作家さんが集る市だったら楽しいだろうな、というのがきっかけ。作家活動を始めたのは、手創り市に出展しようと思った半年前、主な仕事は店舗の内装をしてるんですね。その時に出た廃材や、端材を使ったものづくりをしはじめていて、タイミング的に作品を発表できる場所を探していて、手創り市に出掛けて出てみようと。古いものが単純に好きってことですね。深い思入れは僕はそんなになかったりするんですけど、これを観た人が懐かしいって言ってくれたりとか、共通の思い出がない人たちが、同じものを観て懐かしいと思う感覚とか、興味深いです」

そんなnitocraftsさんに、手創り市に思う事を聞いた。
「手創り市自体のシステムが変わった。選考だったり、出展して来る人たちの水準とか上がって来ている。僕が初め出ていた頃の、趣味的にやられていた方が減って来て、選考に通らないというのもあると思うんですけど、そういう変化があるのかなと思って。結構みんな同じような状況で、僕もメインの仕事がありつつ、こういう活動を楽しみでやってたりとか、仕事を持ちながらとか、こういう作品づくりを軸にして暮らして行きたいと思っていながらアルバイトしてる人とか、そういうまだこれからの人たちが多いので、そこを打開して行く、ステップアップして行くことが出来たらいいなぁって。作家自身も努力しないといけないですし、そういう機会を手創り市さんとかが持ってくれたりとか」

さらにnitocraftsさんの語りは続いた。
「機会があれば、名倉さんとかに話がしたかったのですけど、お互い一方通行な気がしてるんですよ。スタッフさんはあまり表立って出て来ない気がするのですけど、名倉さんがブログで書いてることとか、うえおかさんがルポで作家さんの声を上げても、名倉さんもその声を読んでるだろうし、うえおかさんの文章を読んでるだろうし、名倉さんの文章も作家さんたちも、わりと読んでらっしゃると思うんですよね。でも、受けただけで返事がない。そのやり取りがあってもいいようなことが、言ったら言いっ放しになっちゃってたりとか、それをやり取り出来る場だったり機会を一席設けるとかしてもいいのかなと?」

僕はそこで彼に、今年の六月に予定されていて、会場の確保や、節電などの制約でやむなく中止になった「手創り市の懇親会」の存在を伝えた。どうやらnitocraftsさんは、それを知らなかったらしい。彼が望んでいるのはまさにこの会のことだろう、と僕は思った。
「ルポとか、それを繋げる部分、投げっぱなしじゃなくて双方に返事があればと。あと、僕は比較的毎回、良い場所に出展させて頂いてるんですけど、その手創り市側の意図を、僕は読みとるしかない。一度、どうしてですか?と聞いてみたい。手創り市のスタッフさん、作家さんと距離を保とうとしている感じはあるんですけど、僕から観ると、一部すごく接している作家さんと、逆にそうでない作家さんとの違いが見える所がある。だから、全員の作家さんに接しられてもいいんじゃないかなって。みなさんに興味を持って。」

僕はルポを書いた後、積極的にその感想を名倉くんはじめ、スタッフや取材する際の作家さんに聞くようにしている。しかしその対話にも限度がある。懇親会のように、僕は一度に多くの作家さんとディスカッションできる訳ではない。そう言った意味も含め、今後懇親会が行なわれる運びになったら、是非、その場に参加し、色々な作家さんの今思うところを聞いてみたいと、強く思った。


次に話を聞いたのは、某大学の学生さんで、手創り市を卒論の対象にした用丸さんだ。彼女は語る。
「私の所属している研究室の先生が、もともと雑司ヶ谷について調べていて。その中でも私がお祭りってものに興味があって。普段は静かなお寺だったりするこ所が、催し物が行なわれることで、独特に現れる空間の使い方っていうのがすごい面白いなと思いまして。空間の利用の仕方から地域の人の交流であるとか、人と人が繋がるきっかけっていうのが、空間からどうやって生まれていくのかなってところを観ていて、そこを卒論のテーマにしました」

次に僕は用丸さんが手創り市という空間に何を見出したかを聞いた。
「岩の縁石が、小さいお子さんが座るのにちょうどいい高さなので、午前中は子連れの方がたくさん座ってらっしゃって。奥様が買い物に行かれている間に、旦那さまが待つスペースとして使われていて、そこで待っている旦那さま同士が、知らない仲だったのに、そこに新しく会話が生まれていたりして、そういうこの岩の縁石の高さだったりとかが、新しくコミュニケーションを生むきっかけとして使われいるのが面白かったですね」

僕は次に、作家さんにどんな話を聞いたのかを彼女に聞いた。
「作家さんには、お店を出されるにあたって、どんなことを意識しているかってことを聞いているんですけど、例えばテーブルとか作品を並べるものにしても、既存のものをそのまま使うのではなくて、それぞれが手づくりで組み立ててつくられていて、空間自体をコミュニケーションのきっかけとしてつくりあげているんだよ、ということは伺えました」

そして最後に僕は、彼女自身と卒論の関係を聞いた。
「私は東京の下町で育って、祖母と一緒に育ったこともあって、ご近所間での係わり合いや助け合いに支えられて生きているような存在だったので。そういう中で私は今、品川区に住んでるんですけど、隣の人の顔も知らなくて、挨拶しても知らないと無視されてしまうようなそんなことが切なくて、寂しくて。そういう中で、例えば、お土産を交換し合ったりとか、そういう所から人間関係を積み上げていったらもっと楽しい暮らしが出来るんじゃないかな? って考えるうちに、こういう手創り市のように人との交流が生まれる場に興味を持ちました」

これは、お客さんからも作家さんからもすごく良く上がった声ですが、この市の良い所は、「そこに対話があること」という一面だ。これには僕も同感だし、これこそがこの市の醍醐味だと僕も思っている。


次に話を聞いたのは、スタッフの加藤さん。彼女は去年の九月からスタッフとしてこの手創り市に加わっています。
「スタッフになったのは、引っ越したばっかりの時期で、全然違う土地に来たから、その地域でやってることに参加したら楽しいんじゃないかな? と思って。近かったし、もともと手づくりのものを観たりするのは好きだったので、それをスタッフとして参加するのも楽しいんじゃないなかと思って。ものづくりにも興味はあるし、役に立つんじゃないかなって。私が入ってから丁度その時期に静岡の手創り市が始まってるんですよ。丁度動いてる時だったんじゃないかな?と思います。手創り市のやっている内容が、すごく動いている一年に居たんだと思います。今月の「場づくり」だとか、静岡だとか、あとウェブでも色々立ち上げてるじゃないですか? だから最初の頃と比べたら変わって行っているとは思うんですけどね。私が個人的に変わったとかはあまりないと思うんですけど」

そんな加藤さんは「つづる」の「健康より」がお気に入りだと言う。
「「健康より」面白いと思います。自分のつくってるものだけに偏ってなくて。そこの話しだけじゃないじゃないですか? 背景とかも面白く書かれてるので、あれはすごく楽しいと思います。あと、イラストレータ―二人の手紙交換も好きですね」

最後に、この一年で印象に残ったことを聞かせて貰った。
「テレビで流れた後の反応とかすごくあったので、それで左右されるところもあると思うんですけど。でも人が増えればいいってもんでもないし、その反面反響はあるだろうし、ということはすごいわかった、直にわかった。だからどうだって言われてもいいとも悪いとも言えないし、どうにかしたいっていうのでもないのですけど。自然でありたいというか、発信するっていうのもあるだろうし、みんなでつくってるのを自然に楽しんでるのもいいのかなって」


次に赤ちゃんを抱えた若いママさんとその友達に話を聞いた。
「高校の友達が出展するって聞いてやって来ました。他のお店にも、思ったよりもかわいいのがいっぱいあった。お店で売っているようなレベルの高さを感じた」

「つくっている人が見える、話さなくてもその人の雰囲気と作品が、似てる気がする。これをきっかけに、やがてお店とかで見かけたりしたら楽しいだろうなぁ。はじめから眼につけてたんだよ、この作家さん、とか言って(笑)」


最後を締めくくるのは、天然酵母のパン屋さん、mignon(ミニョン)さん。
「最初は自分たちのお店を知って貰おうと言うのが目的だったんですけど、段々回を重ねるごとに見えて来る事があって、それが段々はっきりして行くのがすごく面白くって。お客様の感想がダイレクトに伝わってくるので、例えば、私たちがこの場でお店づくりをしているのは、実店舗とは違ったお店づくりをしているんですよね。その見せ方に対して誰かから感想が返って来たり、美味しそうねって場合もあったり、あら値段が高いわね!ってのもあったり、ネガティブな感想も聞ければ、ポジティブな感想も聞けるし、そこで自分たちが勉強になるし」

「それと、何で毎月この市に応募してしまうのかっていうのは、ここのスタッフの方の軸と軸がぶれてないっていうのが手に取る様にわかる。だから安心して出せるっていうのがあるんです。とにかくスタッフの方が黒子に徹していて、始終見周りしながらみんなを守ってる気がする。お客様も守っているし、出展者のことも守ってるし、それがすごく伝わるので。今年一年色々な市に出させて頂いたんですけど、その面はまずここが一番です。それほどしっかりしてます。静岡に参加させて頂いた時も、雑司ヶ谷の核と静岡の核が全くぶれがなかったので、場所が違っても、同じものなんだって思いましたね。スタッフの方たちの努力はすごいものだと思うんですよ。これを毎月やられているっていうのが。この市に出したいっていう魅力っていうのは、陰でみなさんを支えている努力だと思います」

最後に、手創り市の気になる点を聞いた。
「飲食のお店の方って、人気のお店はすぐに売れてしまって、その後帰られちゃうのは残念だなって思います。寂しいですよね。お客様としても、何でここぽっかり空いてるの? っていうのと、早くくれば良かったね、なんだもうないんだ、残念感を与えてしまうのが寂しいですね。商品はなくなちゃったんですけど、こういう活動していますよって、お客様とお話する時間はたくさんあると思いますのでそれをなさらないで帰られてしまうのは、御用のある方は仕方ないですけど、勿体ない気がします。鬼子母神の会場に出ると、毎回それを感じます。大鳥だと売り切れてしまうことはないので(笑)」


これにて第三回「手創り市のルポ」を終えさせて頂きます。個人的なことになりますが、今回から僕は、事前に質問を用意することを辞めにして、取材に臨む事にしました。というのは、取材は生もの、まさにライブであり、そこにリアルタイムの対話ならではの「ひらめき」や「きらめき」を捕まえたかったからです。その為に、今回取材を受けて頂いた方たちの言葉は、前回よりも幾分、カラフルに話題が飛んでいるかな、と感じております。

nitocraftsさんの言葉にありましたが、このルポが、一方通行で終わらぬ様、これからも作家さんとお客さん、お客さんとスタッフ、スタッフと作家さんを繋げられるよう精進したいと思います。
今回も手創り市に、そしてこのサイトに来て頂き本当にありがとうございました。ではまた12月に。晴れることを願って。


うえおかゆうじ

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※ご意見ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ。

手創り市
info@tezukuriichi.com








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