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酵母のはなし:カフェ・トホ

 

酵母のはなし:カフェ・トホ

 

実は知らない、「酵母」のこと。

きっとそこには、作り手の想いや考えが詰まっているはず。

ということで、3組のパン屋さんにインタビューをしてみました!

 

第2回目は、一昨年に東京・笹塚のお店をクローズして、

現在山梨で開業準備中の「cafe tojo(カフェ・トホ)」

酵母菌飼育係の東條吉和さん、酵母菌観察係の東條モニカさんご夫妻です。

 

パン祭り担当スタッフ

いしかわ

 

 

 

【「あ」から始まった天然酵母のパンづくり】

 

カフェ・トホの歴史は、数々の酵母の歴史。まずは、天然酵母との出会いから伺いました。

 

カフェトホ・モニカさん

お店をオープンした時は、ドライイーストでパンを作ってました。でも、長女のお産で、以前天然酵母のパン屋さんをやっていたという助産師さんと出会って。その方にたまたま、長女が産まれたらカフェスペースを開いて、パンを手ごねでやりたいって話をしたら、「天然酵母やらないの?」って言われたんです。

その時は天然酵母って難しそうだし、固くて酸っぱくて重いパンだなって消極的だったんですけど、「酵母菌って可愛いのよ、子育てと一緒。ご主人向いてそうだからやってみたら?」って背中を押されて。そしたら主人が、「名前をつけてやってみよう」って。最初は失敗するだろうけど、名前を50音順につけていけば、きっと五十音が終わるまでには成功する時がくるよって話をして、「あ」から始めたんです。

 

カフェトホ・吉和さん

青木さん、イヴォンヌさん、卯一さん、エノモトエミリさん、小野田さん…

 

「テイストがバラバラ(笑)!手創り市の会場でも、トホさんの名前のついた酵母パンは印象的でした。」

 

カフェトホ・吉和さん

何月何日何号だとやっぱり覚えられないけど、名前をつけたことで愛情を持ってお世話できるし、覚えてられるんですよね。小野田さんは最近元気だね〜、青木さんの最後はあんなんだったね〜とか。笑

 

 

【どんどん酵母を育てるのが面白くなっちゃって】

 

吉和さんが酵母菌飼育係、モニカさんが酵母菌観察係として、パン作りを始めたカフェ・トホ。

酵母菌に触れるのは飼育係だけで、全て吉和さんの手ごねで作られているそう。

そんなお2人も、最初の1年は試行錯誤したとのことです。

 

カフェトホ・モニカさん

レーズン酵母の「お」=小野田さんからうまく長生きできるようになりました。でも、小野田さんは固いパンしか焼けなかったんですよね。誰かについて教わらなかったから、自分たちの技術のせいなのか酵母のせいなのかわからなくって。そこで助産師さんに相談してみたら、「レーズン酵母は固いパンしか焼けないのよ」って言われて。同時に、「酵母は人参とかジャガイモとか何からでも取れるのよ」ってアドバイスをもらってから、とにかく色んなものから酵母を取ることを始めました。

 

「次にどんなものから取ってみたんですか?」

 

カフェトホ・モニカさん

主人の友人に長野の飯山に移住した人がいて、その人に有機のりんごをお願いしたんです。そしたら、台風で落ちちゃって売れないりんごをたくさんいただけて。そこから酵母をとったのが、「キりんさん2号」。「き」の番で「りんご」だったから「キりん」(笑)。1回目はすぐ死んじゃって、この時初めて酵母が死んじゃったのを見ました。それで、同じりんごが残ってて、それは成功したから「2号」。その時焼いたパンは今までと匂いも全然違ってやわらかくって。乳酸菌がいるからなんだそうです。ヨーグルトみたいな香りがする酵母でした。

 

「酵母によって全然違うものなんですね〜。イーストはいつ頃辞められたんですか?」

 

カフェトホ・モニカさん

ちょうど「キりんさん2号」ができたくらいから酵母だけに絞りました。だって、どんどん酵母を育てるのが面白くなっちゃって!

「キりんさん2号」の次は、たまたまお向かいのうちから渋柿をもらっておこしました。それが「クララさん」。

 

「どんどん新しい名前が出てくる(笑)。結構、種類多いですよね。」

 

カフェトホ・モニカさん

山梨の引越しで今までの酵母はみんな処分になっちゃったけど、新しく育てている子が「た」行なんです。10年続けていたら途中からうまく行くようになっちゃって、あんまりダメにならなくなっちゃった。

 

 

【発想が普通のパン屋さんと逆になるのかも】

 

他にも、ビールを作るお客さんにもらったビール酵母の「Mr.K」、赤羽・小山酒造で働く同級生にもらった酒粕酵母の「さくら」等、歴代酵母の話を楽しそうにするモニカさん。

育てる上での方針やこだわりはあるのでしょうか?

 

カフェトホ・モニカさん

同じ酵母でも、育てる人と環境によって全然違うものになるんですよね。私たちはあまり手をかけずに奔放に(笑)育てていて、それが個性になっているのかなと思います。多分私たちがやっている限り、そういう酵母しかできないだろうなって。

普通は「こういうパンが焼きたい」っていう目指すところがあるとそのための酵母を育てるんでしょうけど、私たちは、私たちの生活とリズムに酵母に合わせてもらって、その代わり私たちはその酵母に合わせてパンを作る。

発想が普通のパン屋さんと逆になるのかもしれないです。

 

 

【今、「これから」に行こうとしているところ】

 

最後に、カフェ・トホのこれからについて尋ねてみました。

 

カフェトホ・モニカさん

今、「これから」に行こうとしているところ。

新しい土地で、どんなパンが焼いていけるんだろうって、まさに手探りです。

薪でパンを作るのはやれたらやってみたいなと思います。

 

カフェトホ・吉和さん

せっかく山梨に来たから、山梨の食材を使ったものをやってみたいですね。

 

「八ヶ岳の見える場所で、薪で焼いたパン…!素敵ですね。

次は他の方にも聞いている質問です。お2人にとって美味しいパンってどんなパンですか?」

 

カフェトホ・モニカさん

作っている人が見えることが大事。人が見えないパンは、食べていてもつまんないなあって。

子どもたちが特に敏感で、「これどんな人が作ったの?」って聞くときは美味しくて興味があるとき。知りたくなる、興味を持てるってパンを美味しいって思ってるってことかなと思います。

 

「では最後に。カフェ・トホにとって酵母とは?」

 

カフェトホ・吉和さん

家族ですね。僕が風邪をひいている時は、酵母も一緒に風邪をひくんです。翌日に発酵を仕切れなくて、なんか具合悪そうで。「あ、ごめん」って。また注げば戻ってくるんですけど、悪いことしちゃったなあって思うんです。

そういうところも、一つ屋根の下に暮らす家族っていう感じがしますね。

 

 

実は、インタビューの前に、新しいお店ができる予定地まで連れて行ってもらいました。

 

 

この景色を見ると、ここでパンを作ろうと移住を決意するのも納得してしまいます。

ご夫妻がこれから山梨のどんな食べ物から酵母を起こして、どんな楽しい名前をつけるのか?きっと、家族のように酵母に寄り添いながら、カフェ・トホならではのパンを生み出していくのだろうなと思います。

 

パン祭りでは、カフェ・トホが山梨で新しく起こした桜、りんご、酒粕のフレッシュな酵母の食べ比べができます。唯一、全く同じパン・酵母だけ違うという条件に挑戦してくださいました。ぜひ、味わって見てくださいね。

 

スタッフ いしかわ

 

(おわり)

 

次回の「酵母のはなし:チャツネ編」は4月8日公開予定。ぜひともご覧ください!

 

はるのパン祭りは4月16日(日)鬼子母神にて開催。

 

 


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