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10月31日 歯医者。

 

先日の大病も完治し(風邪)、今度は歯痛がやってきて、28日の&SCENEでは買いたかった焼き菓子を我慢。

お菓子が大好きな私にとってそのストレスは甚大で気が狂いそうな数日を過ごしていた。

そして一昨日、行きたくもない歯医者へ行ってきた。

歯医者へ行くのは親知らずを抜いて以来、4、5年ぶりのことだろう。

4、5年前のあの日あの時、私は三十路を後半にして初めての歯医者体験。

歯医者へ通う日々にかいた恥を今でも忘れない。

そんな訳で歯医者。

事前に予約が必須とのことで電話予約をするものの、その時点で震えが止まらない。

この後行われる苦行に自分が耐えられるのか?

途中で死ぬのではないか?

という様々な心的外傷を抱えながら、息も絶え絶え歯医者に到着。

歯医者に到着後、女看護師に「初診ですか?」と聞かれ、「初心者ですか?」と聞かれたと勘違いした私は、「初心者です」と答える。

単なる聞き間違いで言い間違いだが、これはこれでだいたい伝わるな〜と感心していたのも束の間、女看護師は怪訝な目で私を眺め、「この阿呆が…」と呆れた表情で机に目をやり、紙切れ一枚を渡し、「これに必要事項を書け」とおっしゃる。

紙面はいわゆるアンケート形式で、これまでに大病を患ったことなどあるか?お前はアレルギーなどあんのか?すっとこどっこい。などなど、様々な質問を投げてかけてくる。

普段であれば、こんな一方的な質問状などを受け付けない私だが、歯痛を完治させる為、まずこれを乗り切らねば始まらない。

とりあえずその女看護師に「大病とはなんですの?」と聞くと、「入院や手術が必要な病気のことです」としれっと云う。

そのしれっとはキレもよかった。

女看護師の云うことを、入院や手術が必要な病気、もしくは現象。と受け取った私は、生まれたばかりの時は入院、またはその範疇に入るのか?と思ったが、そんなことを云おうもんならメスで首をさかれるのは必定!と思い、口を滑らすのをよしておいた。

なにごともクチは災いの元である。そのことを人生で学んできたさ。

アンケートをやり過ごし、その後、待合室で無料の水をごくごく飲んでいると、先ほどの女看護師に「中へ来い」と云われたので、へい!と勢いよく駆け込もうとすると「靴は脱いでくださいね」とたしなめられた。

いきなりの減点1。ここでの減点はどんな罰が待っているのだろうか?

減点1につき爪を一枚はがされるのでは?と戦々恐々としつつ、診察室へ。

診察へ通されると、柔和な笑顔をたたえた短髪四十路を半ばと見られる男がいる。

奴がこの歯科医院の頂点、院長さまというのは明々白々。

院長は「やい、小僧。ここへ座れ。」とは云わなかったが、それっぽく聞こえた被害妄想バリバリの私は、頂点に立つ人間と無闇に目を合わすと大変なことになる…と思い、目を合わさず、そろりとリクライニングへ寝転ぶ。

そもそも診察室というのは非常に明るく、我が事務局とは比べ物にならぬ明るさ。

まるでそれはバイオハザードの研究所ばりに不穏な明るさをもっている。

そして、歯医者にあるリクライニングシートは大抵、エコやクリーンさを想起させるホワイトや薄めのグリーンなのだが、却ってそれが私の不安をかき立てる。けれど、ワインレッドだったら…と思うと、まだマシなのかもしれない。

院長は死体のように寝転がる私に様々な問いかけをするのだが、私は死ぬ思いでやってきているのだから、間を髪のようなスムーズな受け答えは出来ない。けれど、院長はその特権と誇りにかけて私に親切丁寧に問いかけ、たどたどしい私の回答に耳を傾け、ああそうですか、と重々しく、けれど嫌味のなさなど皆無に頷き、語りかける。

診察の結果、左下の奥歯の歯肉が炎症を起こしているとのこと。炎症を炎上とまたもや勘違いした私は歯医者業界のスラングか?と思ったが、黙っていた。

炎症ついでに院長は「歯と歯の間に若干の虫歯があるけれど、これは炎症を治してから治療しましょう。」そう、軽くいなすように云うが、私にとっては一大事。ついに虫歯になってしまったのであるから。

生まれてこのかた、虫歯と縁のなかった私にとってこの宣告は死刑または島流しの宣告と変わらない。虫歯イコール世間からの生涯にわたっての隔離、もしくは死亡宣告と同等なのだから。

虫歯の常連であれば「たかがその程度の虫歯でなにを云うか!?この馬鹿者が。」とひっぱたかれるだろうけど、私はあらゆる病気と病院に関わることなくこれまでひっそりと暮らしてきた訳だし、ついに病院に通う日々がやってきてしまったということは、今後あらゆる病気にかかる前兆でもあり、はるか昔の偉人曰く、「病院に行くから病気にかかる」という名言にもあることからも、今後の私の人生は病院と共に、病気と共に歩むことは必定で、そのことから逃れる術はない。

診察も終わりの時、院長は「炎症をおさえるお薬をだしておきますね。一日3回飲んでください。」と言い残し、寂しくて死にそうなパトラッシュ、括弧私を置いてどこかへ消えていった。

待合室へ戻り帰ろうとすると、先ほどの女看護師が「まだ帰るんじゃねえ。馬鹿野郎が!」と花瓶を投げつけ云うので、椅子に座り、雑誌女性自身をぱらぱら。サイゾーがあったらいいのにな。そう思ったが、云わなかった。

再び女看護師は私に「お薬が出ていますので〜」と言い、「本日のお会計は◯◯です。」と述べ、薬と明細を渡してきた。

渡された薬と明細を受け取りつつ、請求された診察料を信任のある日本円で支払い、店より出た私は空を見上げ溜め息ついた。

1時間にも満たない滞在時間であったが、途方もない時間が経ったように感じられたし、実際、途方に暮れた。

そんな訳で、現在の私は薬物にお世話になっている患者という身分。

患者というのは身分制度の上でどの程度の位置にいるのだろうか?と思うのだが、誰も教えてはくれない。

そして、ここ数日は薬を服用するため、腹も減ってないのに飯を喰う、という品性下劣な生活を送っている。

なにより、明日11月1日は再び件の歯医者に行かねばならず、おそらく今晩は恐怖でたまらず枕を涙で濡らすだろう。枕はないんだけど。

 

(なお、前出の女看護師も院長もとても親切な人であったから、行き過ぎの表現は全て、私の被害妄想からやってくるものであることをここに記しておきたい。)

 

最期に。

同じように歯医者へ通う、顏も名前も知らぬ人々へ。要するに他人へ。

この闘いに勝つべく、お互いに心を通わせあい、心痛を想像しあい、この危機を乗り越えましょう。

もしも貴方が先に歯医者を卒業した時には後に続く私たちのことを待っていてください。

仮に私が先に卒業したなら、きっと貴方と同じように待ってます。

もしくは誰かバイトを雇って待たせておきます。

待ち合わせの合い言葉はルミネ一階で。

よろしくどうぞ。名倉

 

追伸。

最期までお付き合い頂きありがとうございました。

あなたも暇ですね。。

 

____

 

 

 

「 五 味 五 感 展 」

2011年の春を過ぎた頃、はじめての五味五感を開催しました。

あれから7年が過ぎ、2018年11月より再び、五味五感を開催致します。

 

 

 


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