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コラム:つくること 3月参加作家さん

震災から10日以上が経過し、東京では少しずつ日常生活が戻りつつあるように感じます。
来月こそは、再び作家さん方やお客さんで活気に満ちた市を目にすることができるよう、今はとにかく祈っております。被災地の方々のご無事も。。
今月も、前月手作り市に参加された作家さん方によるコラムをお届けします。


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■山本あまよかしむさん(道草庵) HP blog
  
 
 
わたしのつくりたいもの。
生活で使うものすべて。
自分の手で土から取り上げたもの。
土に還るもの。
お店で買ったのではない、どこにでもある材料を使った、誰にでもつくれるもの。


梅を摘んで梅干をつくる。
大根を干して沢庵をつくる。
棉を植えて下着をつくる。
麻を績んで服をつくる。
竹を切って籠をつくる。
縄を綯って草履をつくる。


ほんの数十年前まで当たり前だったものづくり。


「つくる」ことは生きることそのものです。
「つくる」ことそのものが生きていることの「表現」なのだと思います。


人間は物を作らなければ生きてゆけない、不完全な生き物です。
なのに今の世の中、作らなくっても生きてゆける。
「つくる」と言う表現手段を奪われた人間は、個性とか自己とかを何か別の形で「表現」し
なければならないと言う強迫観念に苛まれているようです。造形美術を志していた20代の
頃、何を「表現」したらよいのか、いつも頭を抱えていました。
「生活の中でものを作っていれば、そんな気苦労は必要ないんだよ。」
田舎町の竹林に仕事場を移して数年、一緒に生活している身の回りの草木たちがそう教え
てくれたのです。


もちろん、すべて完璧にできるわけではありません。
できる範囲で、すこししずつ。
手創り市に並ぶその「すこし」を、あたたかい目で見守っていてくださるとありがたいで
す。


私は「縄綯いことはじめ」「縄綯いうでじまん」と称して、初心者やベテランが交わって縄
を綯う催しを企画することがあります。自分の身体を道具にして、かつては誰でもやって
いたものづくりの最初の一歩。ものを作っていた世代の人たちの手の記憶を呼び覚まし、
次の世代に伝えてゆきたいからです。
何十年ぶりに藁で縄を綯うおじさんたちの目の輝き。全身で「表現」しているではないで
すか!


この「国民的身体表現」を伝えるために、特に青空の手創り市の時は極力その場で縄綯い
や糸績みを実演するようにしています。2月の手創り市で縄を綯っていると、こんな声が
聞こえてきました。
「腕がうずくわね!」
うずけ、日本人の腕。


写真解説
Kinchaku:身につけて持ち運ぶ小物は、摩擦に強い苧麻と竹の皮(細く裂いて縄にする)
を多く使います。特に鈎針で細編みするととても強い。最初は少し硬い質感も、使ううち
にやわらかく、手になじんできます。パーツも竹を切って作ります。縄文時代から日本人
が親しんできた素材の強さ。


Nawanai:縄綯いのワークショップをしていると、年配の方が自然に集まってきます。期
せずして特別講師の登場。


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■rala designさん HP
   


 皆さま、こんにちは。rala design(ララデザイン)です。
青木孝親と新井佳奈の二人でもの作りをしています。


まず自己紹介を。


私たちは、美術大学で知り合いになりました。
在学中から活動を始めて、卒業して2年経つ現在もその活動を
続けています。
大学では、プロダクトデザインを専攻していました。
難しい言葉ですが、簡単に言えば、
「立体物のかたちを考える」ということだと思います。


その二人が、
rala designとして何か作ろう!と考えて出てきたのが、
メッセージカードや、レターセットなどの
「紙ものステーショナリー」でした。


青木は、かたちを考えるのが好きで、新井はイラストを描くのが好き。


だから、この二つを組み合わせて、イラストを活かした
特長ある形のものが作れるのでは、というわけです。


そして、そこに加わった大切なエッセンスが、
実は、二人とも手紙やメッセージを送ることが苦手、
ということなのです。
いざ、カードや便せんを目の前にすると、頭が真っ白になって
なにを書けばいいのか分からなくなります・・・


だから、そんな人たちにも使いやすくなるようなメッセージカードを
作ろうと心掛けています。


送った相手にしっかり伝わって、喜んでくれる姿を想像できたら
送る側も書きやすくなるかな。


郵便で送る時には、
郵便受けを開けた時に、「わぁ!何か面白いものが届いてる!」って
ビックリしてもらいたいな。


読んだら、引き出しに入れて終わり、じゃなくて、
しばらく飾ってくれないかな。


そして、自分にもいつか素敵なカードでお返事届かないかな・・・




などなど、思いを巡らせながら作っています。
私たちのカードを買ってくれたお客さんが、カードを送って、
他の人を幸せにする。
そんな状況が想像できると、私たちは幸せです。


でも、私たちの作ったものは、仕組みがいろいろ入っているので、
パッケージに詰めて、店頭に並べただけでは、売れません。
実際に封筒を開いて、カードの使用例を見てもらって初めて、
感動を共感してもらえます。
だから、直接手にとって見てもらう必要があるし、手紙が苦手な
私たちがお話しする必要があると感じています。


手創り市に出展して、寒い日や、暑い日に、
二人で「寒いね」「暑いね」って言いながら、
お客さんとも「寒いですね」「暑いですね」って言いながら、
そして、イラストのストーリーや商品の出来上がった理由までも
共有しながら鬼子母神手創り市に立っています。


私たちの作ったカードが、皆さんの手に渡り、そこからまた
別の大切な人の手に渡って、小さな幸せな時間が生まれる。
そんなスタート地点の手創り市を、私たちは楽しんでいます。


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■PALMYRAさん HP
    

デーツ専門店の平尾です。
デーツ(ナツメヤシの実)とデーツを使用したお菓子などを取り扱うインターネットショップ
「PALMYRA(パルミラ)」を運営し、日本であまり知られていないデーツを広めようとしています。

インターネットショップだけでと思っていましたが、野外市に参加するようになったのは、
ネットショップにアクセスしていただく方のほとんどはすでにデーツに興味を持っていて
「デーツ」のキーワードで検索して訪問してくれている方が多いと気付いたからです。
お買い上げいただいた際にコメントをいただくこともありますが、
デーツに好意をもって注文してくれた方がほとんどですので、
内容が糖衣された優しいコメントを多くいただいています。

製造所の傍らに売り場を作り店頭販売も後に始めましたが、
そもそもネットショップとして始まりましたので、
立地は考えておらず住宅街にあり、ご来店いただくお客様はネットショップ同様、
初めからデーツを知っていて買い求める目的で来られるので、すんなりお買い上げくださいます。


野外市に参加すると、そうはいかないです。

デーツのことを知らない方や名前は知っているが興味を持っていない方に
「デーツは砂漠のオアシスに生える椰子の実で」とか「紀元前から食べられていた」とか
デーツのことを一から説明することになってすごく大変です。
ただ、直接伝えることができて実際に試食で味わってももらえるので、
市はデーツのコトを知ってもらえるよい出会いの場だと感じています。

以前ブース前を通りかかった方で、試食を勧めると「嫌いやからいらん!」って言うお客さんがいましたが、
「デーツといっても色んな種類があるし食べ合わせや加工の仕方によって味は様々なので
これはお客さんに合うかもしれないですよ。」と弊店のお菓子をお勧めして、

「何やデーツって美味しかったんや」といってもらえたことがあります。

ネットだとこうは行かないですね。
苦手な方はネットで注文して食べることはまずないと思いますので、
対面で試食販売する威力だと思います。

面と向かって
「美味しい!今までこんな美味しいものがあるなんて知らなかった。出会えて良かったです。」とか
「何コレ、メチャうまいやん!」とか言ってもらえた時は、凄く嬉しいですね。

人には好みがありますから、正直受け入れられるかどうか少し不安で強張っていた顔も、
そういう瞬間はおもわず綻びているのが自分でも分かります。


ただ良いことばかりではないです。

当然ながら私にとって苦い反響をいただくこともあります。
試食をしてもらうとその場でうえっと吐き出してしまう人もいるし、無言で立ち去る人もいます。

「もういらん。食べられへん。」と言われることも。
いくら自分が美味しいと信じているモノでもみんながみんな好きな訳はないですから。
ただ、栄養価の高い非常に優れた食べモノですので、食べず嫌いにはなって欲しくない。

ニンジン嫌いの子にどうやったら食べてもらうかを悩む母親ではないですが、
良くない反応をもらうと、どういう形で提供すれば受け入れられるのかと考えるようになります。
新しいモノ、美味しいモノ、喜んでもらえるモノを作りだすことは難しいことではありますが、
悩み考え一生懸命作ることは、楽しいコトでもあります。
多くの方に喜んでもらえることになればやりがいにもなります。

野外市は通販と違って、直にお客さんのデーツを食べるようす、
反応を見ることが出来るのでいい勉強になりますし、刺激になります。
その上「こうしたらええんちゃうん」って新商品や販売方法のヒントをくださる
ありがたいお客さんも沢山いらっしゃって気付きを得ることができますし、会話が広がります。

利便性のよいネット通販で全国のお客様に向けて地道に長く継続して販売していくつもりですが、
これからも通販と平行して外に出掛けて行ける限りは、
出会いの場であり感情を動かされる場でもある野外市に参加して行きたいと思います。

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手創り市スタッフ 市原歌織









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