- 「アトリエ訪問:近藤康弘 後記」
- 2012.09.14 Friday | アトリエ訪問 | posted by 手創り市 |
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アトリエ訪問:近藤康弘 後記
近藤さんと知り合って先月で丁度一年。
今回アトリエ訪問で益子に訪れた時がその節目だった。
近藤さんとの付き合いは、名倉くんがyutaさんを引き連れ「∴つづる」の連載記事「健康より」の執筆をお願いしに彼の家に訪れた際、僕も同行させて貰った事に始まる。
名倉くんは僕を連れていく理由として、
「近い内に近藤さんのアトリエ訪問を行なえたらと思うので、縁をつなぎたい」との事だった。
僕は初対面の近藤さんに、
「うえおかさんは穏やかそうに見えますが、何か秘めてそうですね。むむむ」
的な事を笑いながら言われた様に記憶している。(記憶違いならごめんなさい)
でも、同時に僕も同じ様な事を近藤さんに感じていたのでした。密かに。
時は過ぎ、その数ヵ月後。
次に再会したのは秋。夕顔さんの「たち呑み屋夕顔」にて。
そこで近藤さんは、頼んで読んで頂いた、僕の小説の感想をくれたのでした。
良い事もたくさん言ってくれたのですが、どこか歯切れが悪い。
そして、やはり近藤さんが一番言いたかった事は、良い事ではない所でした。
「小説の後半、ドロドロとしたうえおかさんの内面が出てくる所があるでしょう?あれはどうかなと僕は思った」と。
「もっと話全体の展開として、健康的な物語になり得たのではないか?」と。
数分間、その可能性に想いを馳せる僕。
そして話題は変わり、近藤さんに対し僕は、
「轆轤を回している時には何を考えているんですか?」
と質問してみたら、なんと彼は、
「ドロドロした事が多いですね」
と口に漏らしたのでした。
すごい矛盾! 故にリアル! 僕は近藤さんの内面を見た気がしました。
しかしそのあと彼は、
「だからこそ健康的でありたい。ドロドロは内に秘め、外には出したくない」
と言い切ったのです。
そして今回、一年前の念願叶って近藤さんにアトリエ訪問を行いました。
二時間半のインタビューの際、近藤さんの話は、どこかへ脱線しても必ず最終的には凧の糸を手繰るように「健康的な物づくり」の話に帰って来る。
その粘りの様なものに感心しました。
「健康的な物づくりとは、安心出来る物」
人間、ドロドロした部分は当たり前の様にあると思います。
それを自分の意志でなるべく外に出さぬと踏み止まる、近藤さんの「健康的な姿勢」。
もちろん、それが良い悪いとかの話しではありません。
しかし、彼のその姿勢に対する意志の強さが、今回のアトリエ訪問インタビュー全体に、一本の軸として通っていた事は確かであり、そこに近藤さんらしさを再確認したのでした。
*「近藤康弘アトリエ訪問インタビュー」も併せてご覧下さい。
うえおかゆうじ
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手創り市