ゆらぎ、おわる

昨日にて静岡での企画展「ゆらぎ」が終了した。
思えば5月のGWから清水さんへ企画を提案し、ARTS&CRAFT静岡会場、とりこさんでの展示の流れが決まって、それから日常の多くの時間をこのゆらぎに費やしていたように思う。
清水さんによるゆらぎ展は、簡単に言ってしまうと「清水美紅展」である。
ゆらぎは彼女そのもので、そしてそれは誰にでもあるもの。状態。
そうした彼女そのものをテーマとするような公私混同も甚だしい企画展であったけれど、それ故?にかやるべきことがはっきりしていて、それぞれの役割が明確だった。
(このあたりのことは「ゆらぎ:インタビューを参照ください)
まあとにかく終わった。ここで得た事を記憶の回路に落とし込み、次なる場所へ行きたいと思う。








清水美紅 HP http://shimizumiku.com


とか言いつつも、今週末も静岡へ。
勝山さんと湯本さんのリベラル食堂さんでの展示終了を迎える為+10月の静岡開催のスタッフ反省会(次回へ向けての始動)。

それではまた。

名倉
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∴ 新たな「作文」

東京・静岡間の行ったり来たりも今週末で落ち着く今日この頃。
雑司ヶ谷の11月20日の開催までまだ日はありますが、そろそろ来年へ目をむけてゆかなけ
ればならない季節になります。
来年のフライヤー作り、会場作り、はたまた、つくりつくられつくる日々。

「∴ つ づ る」の新たな記事がはじまります。
その名も「作文」。
ここで直球なタイトルの理由は言わないでおきましょう。
作文の著者はご存じANDADURA山本氏。
文をつくる事がはっきり「好き」と言い切り、前回の連載「お財布をつくるように工房を」を終えた
彼による新たな連載がはじまる。
ひとまずマウンドを降りた彼が、多くのアンコールによって?今度はまた一味違ったリングへあがることに。「作文」、こうご期待! 



∴ つ づ る 「作文」
著者:ANDADURA HP http://www.andadura.net/
連載ページ: http://tsuzuru-hibi.jugem.jp/?cid=8

※本連載は隔週月曜日、連載の開始は10月31日(月曜)となります。
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名倉
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∴ つ づ る 「おせちのつくりかた」

先週行われた夕顔・藤間さんによる「たち呑み屋 夕顔」。
今回私は金曜日に少しお邪魔しましたが、2日間共にそこそこのいりだったようです。

そしてそして、
お正月に向けて販売される夕顔のおせちもこれからつくってゆくようで、
これは「つくること」に関して面白いことがありそうだ、とそんな香りが漂ってきました。

今回は木工作家の橘友博さんに重箱を制作依頼をしたり、とただでさえ手作りで
大変な作業であるおせち作りに+αの重箱をいちからつくること。
そんなところに昨年とはまた違った様子が窺えます。

で、わたくし思いました。

「おせちのつくりかた」と題して
手創り市のウェブマガジン「∴ つ づ る」にて短期集中連載をお願いしようと。(お願いしました。)




∴ つ づ る にて短期集中連載
【おせちのつくりかた】

著者:夕顔 藤間夕香 HP http://www.fujimayuka.com
連載ページは http://tsuzuru-hibi.jugem.jp/?cid=7 となります。


連載は全5回。


「おせちつくりのきっかけ」 10月29日配信予定

「おせちについて」 11月12日配信予定

「木工作家・橘さんとの重箱つくり」 11月26日配信予定

「綴る」 12月10日配信予定

「おせちつくり、あとがき」 年明け1月7日予定


※本連載は10月29日スタートの隔週土曜日配信となります。

以上、全5回の連載記事となります。
是非ともご覧ください!


名倉
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たち吞み屋 夕顔 (10月の巻)

事務局は=rojicafe atoとなってたまに動いております。
その「たまに」の動きはこちら↓
宜しければ是非!      ↓↓


今年二月に行った、「たち呑み屋 夕顔」がひと月に一度、
rojicafe atoにて開店の運びとなりました!

お魚のおつまみや、季節野菜のお惣菜、〆のごはんもの、個性ある純米酒、
果実酒、おビールとご用意いたします。
(ノンアルコールもすこし揃えます)

小さな店内ではありますが、粋にぐいっと愉しんで頂けましたら幸いです。

おでんを中心に、
お惣菜 ひと品 300円から
お酒各種 500円から

「日時と場所」
10月21(金)22(土)
(11月以降の日取りは追っておしらせ致します)
各日17:00 - 22:00(L.O 21:30)

rojicafe ato
東京都板橋区弥生町68−1
03(3956)2254

※地図・クリックでおおきくなります

たち呑み屋、わたし自身もたのしみなのです。
賑やかで、お気軽、まちに馴染む昔ながらの定食屋さんのようでありたい。

定食屋、たまにふらりと 一人でゆくのですが、妙にほっとするのは何故でしょう。
相席なんのその!
仕事帰りのおじさま方、昼間から酒を呑んでいそうなおじいさま方にまじって
テーブルを囲みます。

本を読むふりをしながら、矢継ぎ早にくる 注文を全部覚えてみたり、定食屋の
おばちゃんとお客さんの会話を盗み聞いたり、、
(ほのぼのした掛け合いで それはもう面白い)
と、書いていたら また行きたくなってしまいました。

ひと月に一度、rojicafe atoにてみなさまのお越しをおまち致しております。
お気軽にどうぞ!

○先月の「たち呑み屋 夕顔」の様子はこちら

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私は明日は静岡へふたつの企画展の為に搬入、
そして週末は静岡での在廊&ふらふら。

寒さもやってきましたので体調管理にはお気をつけください。


名倉
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手創り市のルポ・2011年10月



「手創り市のルポ(2011年10月開催)」

午前10時半近く、副都心線雑司が谷駅から地上に上がった僕は、まず空の色を確かめていた。どうやらぱらついていた小雨は完全にやんだらしい。
ほっと胸を撫でおろし、駅からすぐ近くにある大鳥神社に向かう。
そして、大鳥神社に着いた瞬間、いつもの大鳥神社の手創り市とはどこかが違うという違和感を覚えた。
それもそのはずだ。そこには、約10メートル×4メートル相当の空間がつくられていて、その中では、三台の織り機でマフラーを織る三人のお客さんがいたのだから。
「elaavapaa」さんのワークショップ、織り機でマフラーを織る「織りひろば」。
ワークショップは午前と午後に分かれて行なわれる。午前の参加者は三名。二名のキャンセル枠に、手創り市のスタッフ二名も特別参加した。
計五台の織り機が悠然と並べられ、大空のしたそれを織るみんなの姿は非常に楽し気に見えた。

まずはワークショップを終え、見事オリジナルマフラーを完成させたお客さんの声からこの記事を届けたい。
「三月に申し込んだのですけど震災の影響でなくなったので、今回再度声をかけて頂いて中学生の息子と一緒に来ました。意外に難しい行程がなかったので、時々失敗はしてたんですけど、その度に軌道修正はしてくれたので非常に良かったです。今回の作品のテーマ? 好きな色をふんだんに使おうと。最初は暗めの色でいってたんですけど、だんだん明るめにしていって。横で息子も楽しそうにしてたので(笑)息子のマフラー、今時ですよね? 本来マフラーというものがどんな色合いのものか本人わからないので、多分独創的だったんだと思います」
その通り。息子さんのマフラーは、オレンジ、青、黄色、黄緑とかなり独創的なものに仕上がっていた。そんな息子さんも満足気だ。

その流れで、ワークショップ担当のスタッフ伊藤くんに話を聞いた。
「ワークショップをお願いする作家さんには、早い人には半年前から仕掛けてます。準備とか色々ありますし。最低でも三ヶ月は取ります。ワークショップの作家さんを選ぶ時に難しいのは、制限がすごいあること。時間の制限は三時間以上だと疲れてしまうし、外だし、二時間ちょっととかで終わるのが理想。外だから音は出せないし電気も引っ張れないから、ホントはやったら面白いという作家さんが五万ある中でも、かなり限られる。そこがすごく難しいです。スプーンとか彫ったら楽しいじゃないですか? でも時間の関係上、彫るまで出来ないんですよ。やすってオイル塗るのが精一杯。だからそこが難しい。でもつくるものは、時間以上につくる時の感触が残るものがいい。時間が短くてもやり応えとつくり応えがあるものが欲しいから、そうなるとどの作家さんにお願いするのか、選ぶのが難しい」
今回のワークショップのポイントを聞くと、
「織り機を完全にアウトドアでやっているってこと。普通の靴でやってるってこと。それはすごい珍しい状況。室内のイメージがあるじゃないですか? それをこういうロケーションでできることがいい。空間に独特の空気感がある。あの織り機もまたすごい本格的な織り機なんですよ。織り機って卓上とかはあるんですけど、卓上は簡易的なもので。最初持って来て貰った時、それかと思ったらガチの織り機なんですよ。それが五台あるんですよ! それが珍しい」
これは前記したが確かに僕も同感だった。
そして伊藤くんは自身が選ぶワークショップの作家さん、その共通点についてこう語ってくれた。
「後で思い返してみたら主婦の作家さんが多かった。作家さんオンリーでやってる人と主婦をしながら作家するって状況が違うじゃないですか? 子供の年齢にもよるだろうし、忙しいから制作する時間も限られるだろうし。少ない時間でも自分のカラーを出している人はもちろんいる訳で、そっちに脚光を当てたかったのかっなって後で思った。たまたまみんな主婦の方だったんですけどね」

自然とそれを選択していた伊藤くんの選択眼に興味を抱いた僕は、更に違う角度から、手創り市に関わる別の質問を投げかけた。それは伊藤くん自身が今の手創り市をどう思っているか? そして作家さんとの距離の取り方について。
「ブログを通して手創り市がどういう趣向性を持った市であるかは、名倉さんのセレクトでちょっと見える気がするんですよね。自分は手創り市で出してくれる作家さんっていうのは幅があって欲しいと思っているし、初めての人も惹かれるものがあったら入れたいと思っているし、常連さんだけで固まるってことはすごく避けたい。よく出てくれている作家さんのことはすごく嬉しく思っているけど、進んで仲良くなったりしようとすると、仲いい作家さんだけ選んで出してるんじゃないかって風評が出ないとも言えない。だから僕は、作家さんとは一定の距離を置く様にしている。だけど、それをしてその風評を防ぐことに直接繋がるとは思えないけど、自分は仲のいい作家さんだけ集る市にはしたくないから、それは最初から思っている」
真剣な表情を崩さず伊藤くんは続けた。
「手創り市は通過点。初めての人は人に見て貰ってどういう反応が来るのか受け止める場として機能するし、少し慣れてきたら、色んな知り合いが出来て来て情報交換して、こういうお店があるよ、とかこういう市があるよとか、情報交換の場としても機能するだろうし、最終的にここを離れる人も全然いるだろうし、たまに古巣として戻ってくる場所であって欲しいなと思っている節もある。ただ、ものをつくることで食べていくとか、ものをつくることで食べれることが、一個の成功のステイタスって視点を外せば、違う見え方も見えて来ると思うし、違うつくり方も見えてくるとは思いますけれど」
最後の言葉は非常にひっかかりのある言葉だと思った。ものをつくることで食べていくと考え、その上で手創り市に出展している作家さんと、そうでない作家さんの違い。もちろん、どちらがどうという訳でもないけれど、その二つのスタンスから、つくるものや、値段の付け方に差異が生じるのはイメージできることだ。

次にお話しを聞いたのは、皮で小物などを制作する作家さん、「himaar」さん夫妻だ。
「手創り市に出て人生が変わった!」とまで言っていた「himaar」さんの、つくることで食べることのスタンスなど絡めつつ、お話を聞いた。
「つくることを生業にしようとしてる人が、この手創り市には多いと思うんですよ。他の「てづくり市」よりも特に。なので、皆さん生活がかかってるので、かなりその辺は人間臭いというか、生々しいというか、つくる物も理想ばっかりは追えない、売らないことには食べていけないというジレンマみたいなものもあるし、つくりたいものと売れるものとのジレンマみたいなものも持ってると思うんですよね」
僕が以前「手創り市のルポ/指針」で書いた事でもあるが、アトリエ訪問をする迄は、僕自身も作家さんのそういった生々しい人間臭さを想像してはいなかった。そのアトリエ訪問で作家さんにお話を聞いた時に、シビアな現実、超えなければならない壁に真っ向から挑む作家さんの熱を見た。その辺りから、僕は手創り市に対するイメージがより人間臭いものへと変わっていったのを強く記憶している。

「himaar」さん夫妻の話を続けたい。
「最初はお客さんで来てた。もともと趣味で皮はやってたんですけど、まとめてつくって売るっていうのはやってなくて、友達に頼まれてつくるとか。で、手創り市で不特定多数の人に売るっていうのが、買う側として見てたら楽しそうだなって思って。そのきっかけが手創り市。毎月出るようになって、仕事もだんだん変わっていって。人生を変えたのが手創り市。ホント大袈裟じゃなくて。来年の春に山口に引っ越す予定なんですけど、それも山口で喫茶店と雑貨のお店、手創り市で知り合った作家さんの作品とかを扱うようなお店とかをやろうと思っているんですけど、それも手創り市に参加してなければ、そういうことにはならなかったと思うので。今もうひとつグラフィックデザインの仕事もしてるんですけど、だんだん比重が皮の方に移りつつあるので。なので手創り市に出してなかったら多分こうはなってなかったんです」
初めて手創り市に出た時の感触を僕は聞いた。「himaar」さん夫妻は、
「一番最初出た時に、たくさん買って頂いて、褒めてもらったりして。あそこで多分ダメだったら、こういう風にはなってなかったと思うんですよ」
と言って笑った。
「方向的には目指してはいたんですけど、背中を押して貰うというきっかけにはなった。考えていてもなかなか踏み出す場がなかった。いきなりお店をやるというのも自信がないですし、どうすればいいのかわからなかったんですけど、思い切って出してみたら、そこからどんどんどんどん進んで行って今に至る感じですかね」
そんな手創り市に「何か注文はありませんか?」と質問を投げた。
「お客さんの中にも、見ててわかるんですけど、ものつくる方も結構多いんですよ。出してみるきっかけになる場所があるってこと、その重要性は感じますね。最近逆に出展希望の方の敷居が高くなっているところもあると思うんですけど、そういうところもカバーできる、もうひとまわり小さい手創り市とかあったら、もっといろんな人が参加してきて、それをすることで市自体の質も上がるのかな? っていう。僕自身がそうだったので。できるかもしれないな、って思ってはじめたことなので。そういう場があると、出したいなと思ってる人が出せるからいいなとは思いますね」
ひとまわり小さい手創り市。「himaar」さんらしい発想だと思う。伊藤くんも言っていたことだが、最初のきっかけとしての市としてありたいという姿勢だ。

場所は変わって昼下がりの鬼子母神。お客さんの入りは前回よりはやや少なめと言ったところか。その理由は、今回の手創り市が、10月2日、つまり、前回から二週間と間を空けずの開催となっているからだと思われた。しかし境内には、やはり市を賑わす人々のざわめきが感じられたのだった。

次に僕はお客さんの話を聞いた。若い女性だ。
「ずばり工作レベルからちゃんとしたアートレベルまで、かなり幅広いなという第一印象です」
いきなりのシビアな台詞に驚きつつ、話をさらに聞くと、
「自分で糸から紡いでる作家さんとお話して。そういう話、プロセスは聞き入っちゃいますよね。どういう行程を経て、作品にまで仕上げるのか?」
という話も聞けた。聞く所によるとこの方は、ご自分でもアクセサリーを制作しているとのこと。
「手創り市には出たいと思いますか?」
と、とっさに僕が聞くと、
「いいえ。私のつくっているものとはカラーが少し違うので」
という答えが帰って来た。少し残念。

次にお話を聞いたのは、「IJIWARU」「moyo」さんの二人組。布ものの作家さんだ。
「手創り市に出るのは、一年目で三回目です。選考に何度も出していたんですけど、何度も通らなくて。自身で作品のクオリティを上げて、最近通る様になった。出てみての感触は、お客さんの目が肥えてる、厳しい面もありつつ、楽しくできる。今後の手創り市に期待するもの? かちっとした雰囲気は苦手なので、この雰囲気を保って欲しいです」
「シカの壁掛けを売っているんですけど、その小さいバージョンがないですか? って言われて。つくりました。普通のものは値段が高いので、小さいのなら買いますって言われて。私自身は、サイズはそのままいこうと思っていたので、言われなければ気付いていなかったですね。ネットでも売ってるんですけど、注文するだけなんで意見はなかなか聞けない。手創り市に注文があるとしたらですか?お客さん用の告知、チラシは一回ごとにつくってもいいんじゃないかな? 大変ですけど、ぺらぺらのやつでいいので。今のチラシは、地図も見難いし。最初見た時、どこが会場かわからなかったですね」
お客さん用のチラシをつくったらどうか? という声は、取材をはじめてまだ二ヶ月だが他数人の作家さんやお客さんからも聞く事が出来た。手創り市の主役は作家さんなのだろうが、それと同等に、お客さんを考えたチラシづくりをしてもいいのでは? と僕も同感なのです。

次にお話を聞いたのは、木でおもちゃのような小さな人形やバッジ、家など、さまざまにファンタジーを繰り広げる作家さん、「Pa.Co」さんだ。
「手創り市出展は二年目です。出展する前に見に来た時は、油絵を書いてた自分には関係ない世界だと思った。でもいつの間にか馴染んで来て。こういう作品をつくる様になったのは、庭付きのボロ屋に引っ越したのがきっかけ。そこでテーブルとか家具とかの大物をつくってたんですよ。で、余るじゃないですか? 木が。で、だんだん小さいものもつくり始めた。引っ越したのが大きいですよね。こういうのがつくれる環境になったのが」

環境が変わることでつくるものが自然と変わる。様々な作家さんからよく耳にする言葉だ。そして、そこに自然にある材料から自然に作品の形が生まれるということも。次に紹介する作家さん、嘉手納さんも「Pa.Co」さん同様、余った木で作品をつくることに最近はまりはじめた作家さんだ。

「この「塊」って作品はあんまりよくわかってなくてつくってるんで、棒があまってたからこの形がいいなって。最初に別のものつくって、このくらいの破材があるからやっちゃおうって。これもたまたまこの形の端材があったので、こうなった。丁度この形の端材がなかったらこの形にはならなかったと思います。偶然ですね」
手創り市に出始めて三年が経つという嘉手納さん。 
「何度も出てるとこの場にも慣れて、今日は手創り市だなっていう、ルーチン化しちゃってる感じが自分の中にあります。前の日迄頑張って作品はつくりますけど、最初出てた頃とは違って、生活のリズムの中に手創り市がある感じですね。一ヶ月に一回ある手創り市、それに向けて頑張る。三年見て来て、完全に市として根付いた感じはありますね。しっかり形となって。これからもこの市は続いていくんだなと思いますね」
嘉手納さんの作品はバリエーションに富んでいる。その中でも最近は、
「最初は花器とかスプーン、盆栽鉢でも、用途がはっきりわかってるもの、でも、誰かがつくってるような形は嫌だなっていうとことでひねり入れてつくってる感じがあるのですけど、最近の一部の作品の感じというのは、意味がわからない用途もなんだからよくわからないという風に変わって来てます。単純につくってて楽しいですね。花器をつくろうとかだとイメージも完全にできちゃうんですよね」
という変わり種も。更に手創り市の良さについて聞くと、 
「ジャンルが広いところがいいと思います。ナチュラル系の市になるとそういうものばっかりが集ってくる。どこの市でもナチュラルっぽいのはあるにはあると思うんですけど、そうじゃないものもあって、幅がやっぱり広いというのがありますね」
と答えたのだった。

次にお客さんにお話を聞いた。
「インターネットを見てここに来ました。意外とお店が少ないなって最初思って。普段、鬼子母神に屋台が出てる時はぎゅうぎゅうなので(笑)でもこれくらいが丁度いいですね」
手づくりのものには以前から関心があったというお客さん。
「最近、手づくりのものが手頃に手に入るようになった。ギャラリーにもよく足を運ぶのですけど、少し前までは、手の届く価格のものはなかったけれど、今は身につけたり、使ったりできるものが手頃な価格で手に入るようになった。この市も同様です」

場所を大鳥神社に移して早三時近く。
次にお話を聞いたのは秋乃紅葉さんという、こけしや人形の作家さんだ。
「今回初出展です。出てみての感触? お客様皆さん、反応してくださるので。私踊る人形ってつくってるんですけど、その動きを見てみんな笑ってくれるんですよね。それが嬉しいです。こけしもこつこつつくっているんですけど、日本の文化が好きで、民芸じゃないこけしみたいなものもつくってみたくて。鳥が好きでずっと鳥の絵を書いているんですけど、鳥のこけしって珍しいなかとか、とさかをつけてみたり。難しいのは木の地を何処まで活かすかとか、平面のイラストならなんとでも書けるんですけど、立体となるとなんとも不思議な感覚になっていくところですね」
手創り市に出てみて気付いたことや要望があれば、と質問すると、
「企画をされてる方のセレクトが安定している気がします。手づくりといいながらもプロフェッショナルなクオリティを持った方が多いなと思います。ただ出展する場所や什器によって、見栄えに差がつく。そこを企画者の方に相談乗って頂いてもっと助けて頂けたらなと思いました」

ワークショップ午後の部が終了。
今回のワークショップの講師、「elaavapaa」さんにお話を聞いた。
「青空が気持ちよかった。お天気は降ったりだったんですけど、開放的な感じがよかったです」
と開口一番言い放った「elaavapaa」さん。機織りを野外でやることは珍しいのでは? という僕の問いかけに、
「日本の風景だと室内でってイメージですけど、色んな国では外でわりとやってたりするんで、外で気楽に杭を打って、そこから糸を引いて織ってたりとか、そういうイメージもあるので、外でやるのは自然体。だけど日本ではちょっと珍しいですよね?」
と回答してくれた。
次にワークショップを進める上でのポイントを聞いた。
「頭の中でイメージしてる人って同じ色系統でいこうとか、わりと同じ糸をずっと使っちゃったりするんですよね。そういう所は意地悪気に寄っていって、いかがですか? って言って、羊毛ははさんでみたり、違う色を入れてみたりして、するとだいたいの人は、ああこんなに面白くなるんだって、気付いてくれるんですよね。ちょっと引っ張ります。色んな色を入れるように引っ張っていく感じで。教えることは織り方を教えてるだけで、色の配置を教えることは一切ないんですね。見て貰うとわかるように、みなさんその日着て来た服にすごくよく似合いものをつくるんですよね。その日の気分が出てると思うので、そういうのが意識してなくても出て来て形になったときって楽しいので、それを導くことはあるんですけど、次この色入れるといいですよということは一切教えないです」
そんな「elaavapaa」さんに手創り市についての思いを聞いた。
「ものをつくってるのって、そんなにストイックな方じゃないんですけど、やっぱりただつくってても続かないんですね。つくったものを褒めて貰ったりとかするから次があるし、どんどんつくれるので、コミュニケーションってだけじゃなくって、つくったものを見てくれる人がいて、買ってくれる人もいて、楽しみにしてくれている人もいるんで、ただ自分だけでつくってても続かないんですよね。地震の後、籠る時期があったんですけど、やっぱりそうするとどんどんつくれなくなっちゃって。久し振りに鬼子母神に来たら、ああこれじゃいけないって思って。手創り市は、つくる事が楽しいってことを教えてくれる場所です」

最後の一言、ぐっと来ますね。確かに自分を思い返してみると、つくること、書くことを一人でやっていた時期は結構辛く、なかなか継続的には書けなかった。しかし、そこから外に出ると言うか、友人なり、知人なりに感想や意見、つまり刺激を貰うことによって、創作が継続的に進むような感はあったように思います。
手創り市はそういった意味では、つくることの楽しさを教えてくれる対話ある場所なのでしょうね。
今回はワークショップがあったことで、ひと味違った風景を見せた手創り市。市自体に有機的な流動感がありました。
以上で二回目のルポを終わります。取材に協力してくださった作家さん、お客さん、スタッフさん、そして市に集ってくださった皆様に感謝します。

うえおかゆうじ

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ご覧いただき有難うございました。
次回の開催は11月20日。
皆様のご来場をお待ちしております。


手創り市
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ゆらぎ:インタビュー

静岡の開催を終え1週間がたとうとしております。次なるステージは静岡での二つの企画展。
そのうちひとつの企画展「ゆらぎ」が手創り市のライターうえおかさんによってインタビューが行われましたのでご紹介致します。読み返してみると我ながらふむふむと頷くばかり。良い機会を頂いた。
ご覧ください。


清水美紅・二会場巡回展「ゆらぎ」 
手創り市からとりこへ・人と場で繋ぐゆらぎ インタビュー


第三回・ARTS&CRAFT静岡手創り市が終わった。清水美紅・二会場巡回展「ゆらぎ」。その第一会場となる静岡県護国神社での展示が無事終了した。
晴天の中、会場内にある池を背景にゆれる8枚の布。長さは3メートルのものが6枚、2メートルのものが2枚。幅はすべて約105センチという、非常に大きなサイズの作品/インスタレーションだ。
横一列に並ぶ布たち一枚一枚には、連作ではない、個々の作品世界が描かれていた。

絵に見入る。心の中に言葉ではとうてい翻訳できない感情が生まれる。その感情に答えるかのように、穏やかな風が吹き、布をこちら側へとふんわりと持ち上げ、絵がゆっくりとズームアップしていく。
感情がさらに波立つ。
絵に映し出される陽の光、木々の影、布に凹凸を与える何本もの皺。
そして波が引くように、またその絵はゆっくりとズームアウトいく。
風は止み、また次の風が吹き布をゆらす。

人は二つの庭を持っている。心という庭。世界という庭。その境界に人は立ち、今を生きているのだと僕は思う。
境界は常にゆれている。打ち寄せる波を受ける波打ち際のように、常にゆれながら変化している。
清水さんの作品世界を浴びることによって、僕の心の庭は、今立っているその場所を、ここではない何処かに確実に変えていた。
そこに吹く風のライン、色のある光の球体、花や木々や魚、少女の輪郭。清水さんの描き出したゆらぎは、まるで今、生まれたばかりのように、常に新しく生まれ続け、ゆれ動いていた。
どれだけの時間見詰めていても、見飽きる事はないと思った。清水さんの世界と、僕の心とが接する境界の上で、ゆれ続けていたいと思った。




 
清水美紅・二会場巡回展「ゆらぎ」。
これから展開する三人のインタビューは、ARTS&CRAFT静岡手創り市が開催される前に行なったものだ。まずは「ゆらぎ」の企画を立ち上げた、ARTS&CRAFT静岡手創り市主催者の名倉くんのインタビューからこの記事を始めたい。
(名倉→名 ライター/植岡→植)


植:この企画を立ち上げたそもそものきっかけを教えてください。
名:「内輪の話しになってしまうけど、ARTS&CRAFT静岡内で、今回、スタッフが増えるって意外に具体的に伸びる要素がないなって思った。自分たちに対して、全員含めて。皆で無事にやれることで及第点だけれど、個人として及第点では我慢出来ない。かといって幅を広げるってことが、一人じゃ出来ない事が多い、僕らの場合は特に。でも何かをしないという選択肢は今はないと思って、何をしたらいいか? って考えた時に、会場の中に一般参加の方以外にも自分達で企画から立てて、場所をつくるということをしようという風にシフトチェンジした。僕は今迄平面の作家さんとやって来た事がずっと多かったから、比較的得意な分野で静岡って場所で、新しいことをやろうと思って。絵描きさんを誰を連れてくるかって考えて、清水さんにしようと思い付いて。静岡にいる時に、会場をどんな風にしたいというのと、会場の様子を映像で動画撮影して清水さんに送ったのが、この企画のきっかけと言えばきっかけかな」

植:今回のテーマ「ゆらぎ」は、企画を立ち上げる上で同時に出て来たコンセプトだったのでしょうか?
名:「清水さんと企画を考えるという事で、清水さん=「ゆらぎ」だなと思って。単純に「清水美紅展」でもいいんだけど、誰でも通じる言葉、耳に入ってぽっとイメージできるような言葉で、イメージも人それぞれ違うかもしれない、という言葉は「ゆらぎ」かなってことで。体裁を整えるじゃないけど。言葉としても悪くないなと思ったから。同時だね。」
植:「清水さん=ゆらぎ」をもう少し深く掘りさげて語るなら?
名:「清水さんは自分でも言っているけど、情緒が不安定というか、不安定というよりも、いろんなことに対して精神が反応する。良く言えば色んなことに気がつくし、それに対する反応がある。でもゆらぎって誰にでもあることだから、それをどう表現するかってことは別の話だし、放っておく人もいればそれに対して反応する人もいれば、バランスがいい人もいるだろうし、ゆらぎがない人はいないってことで。「鏡」かな? 言葉自体が」

植:今回布に絵を描くことを企画したのは名倉くんだった?
名:「一番最初に企画書出す時から布にしようと決めていたと思う。枚数や細かい点は、場所を決めてから、清水さんが考えた。布地って事に関しては最初から決まってたこと。布という媒体がキャンバスとしてはすごく不安定。安定させることも出来るけど、基本は何もしなければ不安定なもの。書く時にも不安定だし、飾った時にも不安定。「ゆらぎ」というテーマに対するそれも鏡かもしれないよね? ものが変わるだけで、状態が一緒というか。単純に布でやったら面白いんじゃないかなとも思ったし、もちろんそこには今言ったような意味もあるし。両方です」

植:ARTS&CRAFT静岡から、とりこの個展へ。その流れは、名倉くんの中で最初から決まっていたのでしょうか?
名:「場所迄は決まってなかったけど、流れは決めてあった。願望ね。今回、静岡の開催において、二日間清水さんが展示します。それが、二日間で終わってしまったら勿体ない。静岡で僕らが開催する以上は、静岡の街、人に繋げていきたい。そういうことやりたいなって。それが自分に対しての今回の課題。自分とこのスタッフに何かを求めるならば、まず自分自身に求めないとフェアじゃないでしょ。とまあ、二日で終わるんじゃなくて、それ以降にも繋がる事をやっていかないとダメだなって、それを人に任すことはできないし、やるなら自分だなって」

植:今回の巡回展の会場となる、とりこさんのことを聞かせてください。
名:「僕と清水さんの中で、巡回展をやらせてもらいたい会場がとりこさんに決まって、とりこさんにアポを取って、ポートレートと作品の途中の過程、本来作品の途中の過程を見せるってことはよくないことなんだけど、今回は、大野さんに写真を撮って貰いたいというのもあったので、その作品の過程にあるものも見て貰った方がいいかなって思って。それで、清水さんと一緒に企画書を持って行って、その時に、大野さんも奥さんもいて、話しをして、その場で決まったんだよね」
植:名倉くんはそれまでに大野さんの写真を観たことはあったのですか?
名:「たくさんではないけれど。大野さんはカメラマンで、自分でギャラリーも主宰している。場所も作品もつくる人。とりこさんの企画展の時に、自分がいいなと思う写真が大野さんだった。大野さんの写真のピントを合わせてる対象、周りにある空気、光の具合がいいなと思って。撮っている対象をよりも周りの空気感がいいなと思って、大野さんに是非撮って貰いたいと思った」

植:名倉くんたちが立ち会った作品の撮影は、静岡手創り市のシュミレーションの日と、廃校・CCCだよね? 撮影に立ち会った感触は?
名:「撮影してみての感触は、自分たちが立ち会って一緒にやらないとダメ。これは心の底から思う事で、写真がいけないとか、そういうことじゃなくて、一緒につくってくってことは、こう撮って欲しいとか、こうはして欲しくないとか、というのをお互いはっきり言った方がいいと思う。それを言えるかどうかっていうのは、性格の問題もあるけど、性格のせいにするならやんなきゃいい。あとは立場の問題。清水さんは絵描きだし、つくってる人間、大野さんもカメラマンだし、つくってる人間。それに対してああだこうだ言いたくはないというのはあったけれど、それじゃあ一緒にいいものはつくれない。だったら清水さんの作品を好きなようにすればいいだけだから。それを清水さんにまかせるつもりはないけど、誰が言うかっていったら、僕が言うのが務め。お互い会話をしながら、やっていると自然と気分が上がって来る。そこで初めて成功するきっかけが生まれる」

植:二つの場所で撮ったものが冊子になると思うのですが、それを見てどうですか?
名:「CCC・廃校で撮った写真はやっぱり一番いいかな? なんでかって言うと、清水さんもいて、大野さんもいて、僕もいて三者がやりとりをしながら撮ったものだから。ビジョンがはっきりしている。写真のピントを合わせる様に3人でピントを合わせて、3人で実際にシャッターを押す感じだから」

植:今回清水さんと共に企画をやって来て、清水さんに感じた事、気付いたことがあれば?
名:「ひとつ気付いたのは、清水さんが作品を布地でやってみて、一個一個の作品が、縦3メートルのものと、2メートルのもの、横が約105センチ。単純に大きい。それで初めて清水さんが、設計図、下絵があった上で本番を書いたというものがあったから。設計図のことはずっと今迄思って来たことだけど、やっぱり何事もアドバイスだったり、物ごとを言うってことはタイミングがあると思うから、思った事をすぐ言えば良いとは違うと思うんだよね。今回のタイミングで思ってた事を言えたっていうのは大きい。下絵をつくって本番にいった作品は、女の子たちが何人か出て来て、すごく強い絵、ぱっと見、印象に残る絵。ゆらぎとどう関係するのか、又別の話かもしれないけど、そういう絵を一つ清水さんが書けたと言うのは大きいと思う。それを本人がどの程度考えてるのかわからないけど、清水さんが絵で食べていこうってことは、絵で稼ぐってこと。稼ぐってことは買ってくれる人、なんらかのオファーをする人がいる訳だから、そこまでやらないと絵ってものは売れないと思う。特に清水さんの絵にはそういう性質があるから。本人がそこまで気付いているかどうかはわからないけど、それを清水さんがやって、自分で感じて、僕にちゃんと言ってくれたってことは、それはすごく大きな進歩じゃないかなって。それは単純に、僕と清水さんの関係でいえば、成功しているかなって思う」





次のインタビューは絵描きの清水美紅さん。
「なんだか、すごく強そうだね……」
以前、ラフな原稿に起こされた自分のインタビュー記事を見た清水さんは、自分の身の丈に合わない居心地の悪さのような、訝し気な表情を示した。
「絵を描いているとき、私は自分が強いと思える。だけど、電車に乗っている時の私は、すごく弱いと思う」
そう打ち明けてくれたことのある清水さん。その言葉には清水さんの等身大のリアルがある気がしたし、その時それを僕に伝えたかったのだということも良く理解できた。そしてそれもまた清水さんのゆらぎなのだと思う。
そんなリアルを抱えた一人の絵描き、清水さんの今を語る言葉たち。
(絵描き/清水→清)

植:今回の巡回展のコンセプト「ゆらぎ」について聞かせてください。
清:「「ゆらぎ」。その言葉を考えたのは名倉さんで、私の内面のゆらぎってことなんだけど。名倉さんは私のことを知っているからね」
植:それは清水さんの魅力でもあり、芸術性に繋がる部分でもあるゆらぎ?
清「もしかしたら、展示の仕方含めてゆらぎなのかもしれない。名倉さんは、この企画で私が与えられたものを見て、色々考えたりとかそういうプロセスを含めゆらぎと思ってるのかもしれない。あと、手創り市の展示は外のゆらぎ。風が吹くこととか。ギャラリーのゆらぎは人が絵の近くを通ったり、ドアの開け閉めすることで人工的な風が起こる、人の内側のゆらぎ」

植:何故この巡回展を静岡の二会場でやるのか? その理由を教えてください。
清:「自分がなんでかって思った時に、他の所だったら、自分に対して答えが出せない。今回のARTS&CRAFT静岡は私だけのものではないと思っていて、私だけの仕事ではない。そこには色んな人の仕事がある。だから、ARTS&CRAFT静岡で出した絵を、次に、東京のここのギャラリーが好きだからやるとか、自分だけの感情では動きたくない。人とやるってことを考えた。難しいところでもあるけど。自分の意見を言う所ではいわなきゃいけないし。わざわざ絵を描いて、わざわざ静岡に来て、休みの日を潰して、お金も使ってってなって、それで絵を展示して、絶対に売れる訳じゃない、お客さん全員が素敵って思うようなものではないかもしれないけれど。絵をわざわざやるってのがあって、でもわざわざやるだけでもいいじゃないって自分で思ってる。自分がやりたいことをやる。貫きたい気持ちです」
植:清水さんは以前、「絵を描いている時私は強い。だけど電車の中で私は弱い」という事を言っていたけど、その強さ、絵に対する真摯な姿勢が今の台詞からも伺えましたが。
清「開き直る所が、もうちょっとあったらいいんだろうなって思う。自分ではこうやってるって言うんだけど、それは他の人にとって大事なものな訳がないって思う所がちょっとあるんだよね。全部自分に対しての強気な部分は、それによって自分を救ってるっていうか。それを他の人と関わるところで活かしたいです」

植:今回清水さんの作品を撮影してくれた大野さんの、撮影の様子をみて感じた事は?
清「まず率直に、暑い中嬉しかったですね。すごく暑くて、休憩入れたりしなくて、写真撮って、確認してって、一時から三時の二時間ずっと続けてくれて。CCCの教室の中はエアコンは効いてたんだけど、光を見た時に廊下の方がいいかなって、エアコンが効いてない廊下で撮影したの。暑い中嬉しかった。それが、いくらお互いに言葉で良いものにしましょうねって言っていても、お互いに目で見たもので気持ちが盛り上がるのが一番だって思うのね。撮らされてるとかじゃなくって。自分で自ら撮ってる、こっちを理解しようとしてくれている感じがしましたね」
植:三人で意見を出し合いながら、ビジョンを決めていった感じ?
清「(ARTS&CRAFT静岡の)靖健くんが絵を持ってくれて、名倉さんが具体的に、ここはこうの方がいいですよね? とか、この人物のここからここまでは入る様にとか、具体的に言って。大野さんがわかりましたって言って撮って、大野さんの感覚で撮ってくれる瞬間もあって」

植:作品を撮影して貰って今思う事は?
清:「綺麗だなと思うのと、写真になって自分の絵が切り取られてて、その中で、お話が出来てる、ストーリーとかがその中で完結しているというか。ムードが完結しているって思って。それは自分がしないこと、だから新しい」
植:写真になったことによってそれが加味されたってことだよね?
清「例えば私は絵を描いて、基本的に絵が大きいのですけど、B3サイズ位からそれ以上。その一部を切り取ってポストカードにするとか、そういう事はしない。特にこうだからしないっていう理由もないんだけど、写真って切り取られる訳だからそれは面白かった。単純に自分がしないこと。写真って景色を切り取るってことでしょう? 」
植:切り取ることによって物語やムードが完結したってことですよね?
清:「ちょっと自分の手から、作品が離れた感じがする。不思議ななんとも言えない感じ」

植:作品を描いていた期間は?
清:「護国神社に展示する絵に関しては二ヶ月位。平日は描かない日もあるけど、土日は基本的に描く。一枚をだいたい18時間位かけて仕上げる感じ、何日かにかけて。で、全部書き終わらないうちにやめて、次の絵にかかったの。8割から9割くらい書いたら次の絵にいくってしてて。何故なら、最後横に並べて展示するってわかってたから、そのバランスを見たくて。でも、一枚一枚が続いてる訳ではないんだけど。どうしても見る側は、黄色がどうとか青がどうとか、色だとわかりやすいんだけど、そういうことを視覚的に拾うと思うから、バランスを見て、ここいらないかなとか、上から違う色塗ったりとかして」
植:そういう描き方したのは?
清:「初めて。それをしていない方が面白いと思うの。野生味っていうか。結構冷静な話だと思うのね、最終的にバランスを取るのって。そういうのをやってないほうが野性味を感じるんじゃないかなと思うんだけど、今回はそれをやって良かったと思う。今出来る事はしたかなって。最後にバランスを整えてみて」

植:名倉くんの話では、今回、初めて下絵/設計図を描いた絵があったとか?
清:「あの中の一枚だけやってみた。気軽に。絵を布に書く前に、クロッキー帳にちっちゃいバージョンで。こういう感じかなあって、頭の中で色も決めて、ということをやってみた。単純に描いてて楽だった。すごく楽。楽っていうのがいいのかどうかって言うのはまだ判断がつかないんだけど、紙にあるものを写す、大きさ、縮尺を変えて、拡大させて写す。まず描いてて楽だなっていうのと、書き終わってその作品はすごい強いなって思った。家で見てるときは気付かなったんだけど……。シュミレーションした時に、ああいう広い場で実際の形でやると、一枚一枚見た時に、その絵はすごいバランスがいいなって、安定してる感じがして。家の中で見てるときは、そんなに気に入ってなかったんだけど」
植:それは、今迄の書き方と違ってたからというのもあった?
清「ある。そんなことしたら簡単じゃん、って気持ちがあるんだと思う。それをしてないのが自分のスタイル? っていうのは何か嫌だけど、スタイルだと思い込んでたのかもしれないし。設計図を描かないでぶっつけ本番で描く事って、すごいしんどいのね。楽か辛いかといったら設計図を書く方が楽。描かないのは辛い、しんどい。でも絵ってそういうもんだと思ってるから。だからその辛さに疑問を持たなかった。でもやって楽だったなって気持ちがあったからか、その絵に対してそこまで気に入ってはいなかったのかも」
植:でも出来上がってみて、強い作品ができたっていうのは面白いですよね?
清「面白い。だから、多分それはそれでやってみたらいいってだけの話で、辛いとか辛くないとかこだわるのはどうでもいい。だからやってみたらいいんだろうなって思った」

植:最後に今後の目標を聞かせてください。
清:「遠い、遠いって思っちゃってるけど、目標は独立です。独立は、いきなりは無理だけど、自分から向かって行きたいです」
植:ありがとうございました。





最後に登場するのは、今回、清水さんの作品を撮影し、巡回展の第二会場でもあるギャラリー「とりこ」を主宰するカメラマンの大野仁志さん。
 大野さんの言葉からは、何故、今回清水さんの巡回展を静岡にある「とりこ」で開催しようと決意したのか? その背景も伺えます。そしてその背景には、これからの静岡を変えていこうとする強い意志もまた明確に見えるのです。
(カメラマン/大野→大)

植:ARTS&CRAFT静岡手創り市の名倉くんの方から今回の企画の方が持ち込まれて、そこから今迄の流れを、順を辿って聞いていきたいと思います。まず、名倉くんたちが企画書を持って来た時に、どういった印象をお持ちになりましたか?
大:「うちのギャラリーとしては、そういった若い方の作品を展示させて頂くことは是非やりたいと思っていた事なので、非常にありがたいお話だと思いました。護国神社のイベントも素晴らしいイベントなので、その名倉さんがこの方って、一緒にこられ方でしたので、信頼してお受けしました。」 
植:ARTS&CRAFT静岡にも撮影会で?
大:「撮影会でお邪魔して。護国神社を選ぶ辺りがすごくセンスがいいというか」
植:その辺りで文句なしというか? スムーズに気持ちは決まっていった?
大:「そうですね。気持ち的にはお話を頂いてありがたい、やらせて頂きたいと思いました」

植:今回の企画は清水さんの布の作品を、ARTS&CRAFT静岡ととりこさん、静岡の土地で繋ぐというものなのですけど、そこでまず、ARTS&CRAFT静岡の印象を聞かせて頂きたいのですが?
大:「みなさん作品自体素晴らしいし、みなさん本当に楽しそうやっていたので、静岡でこういうことをやって頂けるのはいいなと思いました。東京、大阪の大都市に挟まれて、文化や人が大都市に流れてしまう中で、静岡に文化と人を集めてくれる、静岡にとってとても意味のあるイベントだと思います。静岡でも、どんどんそういうことをやっていかなくちゃいけないなとは思っています」

植:清水さんの人と作品に出会われて、その第一印象を聞かせて頂きたいのですが?
大:「清水さんは線も細くて、ちょっと小さい。華奢な感じなのですが、パワフルに描かれるんで、すごいなって印象は受けましたね。」
植:その第一印象を経て、今の清水さんの人や作品の印象を聞かせてください。
大:「力があって、宇宙みたいな感じを受けたりとか。どこまでも広がっていくようなイメージがすごくあって。この前も護国神社で撮影したんですけど、その奥にもっと世界が広がっていくような感じを受けて。平面なんですけど、風でゆらぐ。もちろんイメージされていると思うんでけど、ゆらぐことで、奥行き感が出て、もっともっとスペースが広がっていくような、そんな広がりを強く感じましたね」
植:絵の切り取られたフレームだけで終わっていない?
大:「そうですね。終わっていない。広がりを感じました」

植:名倉くん、清水さんとこの間、CCCで撮影をされた時に、三人で意見を述べ合って、ひとつのビジョンが合致するようないい撮影が出来たと聞いているのですけど、その時の印象などをお聞かせください。
大:「名倉さんも一生懸命、本当にいい角度を探したりとか。僕も僕の持ってるものを押しつけではなくて、僕の仕事っていうのは、清水さんと見に来てくれるお客さんを繋ぐパイプ役なので、名倉さんもそういう感覚だったと思うんですけど、そのために自分の出来ることをお互いが出し合って、ひとつもものをつくっていくという感じだったので、僕自身もすごく楽しかったし、非常良いお仕事をさせて頂いたと思っています」

植:最後に巡回展「ゆらぎ」を、このとりこさんで開催される意義をお聞かせください。
大:「護国神社の後を繋いでいく。もともとここをつくったのも、ギャラリーというふうにうたっているんですけど、人が集るコミュニティーであって欲しいなというのが、ここをつくった第一の理由なんです。清水さんの作品がここで映えることで、いろんな人が来てくれて、いろんな形で繋がってくれたらいいなと思っています。それこそ僕がここを始めた根本の部分とそこは合致するので、ありがたいお話だとは思っています。清水さんの作品ってやっぱり広がりがあるので、ここからどんどん広がっていってくれれば嬉しいなと思っています」


「三人のピントを合わせるようにシャッターを押す」とあった、名倉くんの台詞のように、今回三人が中心になって動いたこの企画は、まさに巡回展「ゆらぎ」と言う名の未来を鮮明に描くために充分だったと、このインタビューを終え、感触を得た。

名倉くんの下絵の提案が、清水さんの作品の可能性を広げる。
清水さんの絵に広大な広がりを見出した大野さんが、それを写真に切り取ることによって、そこに新しい物語やムードが誕生する。
そういった取り組み合いならではの相乗効果が、今回の巡回展にも、また様々な形で反影されるはずだと、僕は心から思っているのです。
そして大野さんの主宰する「とりこ」が、静岡の文化や人との繋がりをより豊かにすることを目的としてつくられていること。ここ静岡からどんどん文化を発信していこうという開かれた意志。
大野さんの想いが、今回、名倉くんや清水さんの想いと合致し、そして静岡の二つの場所で繋ぐ巡回展開催の運びとなったこと。その背景を、三人のインタビューを経て知った時、この企画に関わる人々の全体像的な気持ちが浮き上がり、そこにこの三人を繋ぐインタビューを行えたことへの、確かな意義を僕は覚えたのです。
外のゆらぎ、「ARTS&CRAFT静岡手創り市」が終わり、次は内なるゆらぎ「とりこ」へと場が繋がれる。そこで次に僕らはどんなゆらぎの中に身を置く事ができるのか? 一鑑賞者としても実に楽しみです。
 
うえおかゆうじ
・・・・・

ゆらぎの開催会場は静岡県静岡市のギャラリー「とりこ」。
静岡へお越しの際には是非ともご来場ください。

清水美紅【ゆらぎ】展
会期:2011年10月21日〜26日
会場:とりこ
詳しくは「こちら」 をご覧ください。


名倉
info@tezukuriichi.com 
https://twitter.com/#!/kishimojinotori




10月12日


これは毛豆。でも大抵は茶豆という。けまめ、だとなんとなく恥ずかしいのだろうか?
産地は忘れてしまったけれども、これだけふっくらした豆は今の季節になるとなかなかない。
味よし、器量よし、そして毛深い。それもまたよし。

静岡より戻ってきてようやく落ち着きました。
といっても腰を落ち着かせる訳ではなく、つぎへ移行できるという意味で、おちつく。
今回東京スタッフの手を借りずに最後までやりきるというのが自分テーマだったと思う。
準備段階では手を借りたが、当日は静岡スタッフのみでやりきれた。
むしろ静岡スタッフのやんなきゃならないという意識が開催時の自然と体が動く事につながったと思うとこちらもうかうかしていられない。
そして、今まで絶対にお断りだったスタッフ個人へのテレビの取材も受けて、放送されたし、個人的に残念な部分もあったが、全体として内容はとても良かったですよ、と静岡のスタッフより聞いている。
テレビの取材は今回で確認できたので、もういいだろうと今は思っている。
次につながる経験とは言わないが、良い体験であったと思う。

とにもかくにもこれからの静岡のスタッフとの仕事は楽しみであるし、そこで得た糧を東京でも生かしたい。

静岡のスタッフありがとう。
そして出展して下さった方、ご来場の皆さま、これからも静岡・東京ともに宜しくお願いします。




静岡のスタッフたちと地元の方のラジオ体操でコラボの図。


名倉
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https://twitter.com/#!/kishimojinotori




10月7日〜10日は・・・


このぶどうは甲斐路。大きな房で大粒で皮ごとたべるのに適した品種。口にほうばると皮がパリッとはじける。好きです、甲斐路。

明日7日より10日いっぱいは事務局不在。
秋季ARTS&CRAFT静岡が開催。明日は早朝より静岡へ前日準備。

この連休、よろしければARTS&CRAFT静岡へ是非ともお越しください。
静岡は山・川・海となんでもありますよ〜


2011年秋季ARTS&CRAFT静岡手創り市
10月8日9日と2日間の開催となっております。
http://www.shizuoka-tezukuriichi.com

※会場にお客様専用駐車場は御座いません。公共交通機関をご利用ください。

・・・・・

※10月7日〜10日まで事務局不在となります

名倉
info@tezukuriichi.com 
https://twitter.com/#!/kishimojinotori





11月出展申込の会場について

11月20日は、大鳥神社会場は「酉の市」の為お休みとなりますので
鬼子母神会場のみの開催となります。

11月の出展申し込みで、希望会場を「大鳥神社」でご提出していただ方は
すべて「鬼子母神」に振り替えて、受け付けさせていただきますので、
会場変更のご連絡いただかなくて大丈夫です。

キャンセルされたい方は、お手数ですがメールにてご連絡ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

手創り市
info@tezukuriichi.com




ワークショップを終えて(10月)

10月2日、大鳥神社では久しぶりのワークショップ開催となりました。
(※大鳥神社は今年1月から6月まで境内の工事をしていました。
殺風景だったフェンスが撤去され、新たに大きな鳥居と石壁が建った事で
落ち着いた雰囲気へと変わりました。)

それに伴い、ブースの形状を変更
ワークショップのスペースは「奥の都電荒川線側」へと移動しました。
ブースサイズも「たぶん10m×4m相当」(←測っておりません。。。)という
広々と展開出来る体制へと変更。

この場所はワークショップ以外にも多目的な空間の使い方が出来そうです。

ではでは、今回のワークショップ『織りひろば』のおはなしを。
まずは写真をご覧ください。









早朝、elaavapaaさんが5台の織り機と大量の糸達を
車にパンパンに積んでやって来ました。

織り機はelaavapaaさんの天才的なスタッキング(笑)により、
驚きのコンパクトさで車の中に収まっていました。
この車中の写真を撮り忘れた事、実はものすごく悔やんでます。。。

今回の作業ですが、
30cm幅(縦糸が150本通してあります!)に
色とりどり+手触りさまざまの糸をひたすら織り続けるという、
ある意味「タイムアタック的要素」のある作業でした。

というのも、
2時間でマフラー級の長さを織る事はなかなか大変なのです。
なんせ糸選びに迷うと命取りですので、
参加者さん、みなさん必死でばたんっばたんっっと織っておりました。

ただ、完成作品が短くても全く問題はありません。
短く出来てしまった参加者さんのためにと、
「ぽんぽんフェルトのついた可愛いピン」も用意されていました。

10名参加中、2名だけ「150cm超えかも?」と思うほど
かなり長い作品が出来た猛者もいました。
(うち1名は中学生の参加者さんです!)

参加者さんのみなさん、本当にお疲れさまでした。
充実していたのが完成後の表情からむんむんと伝わりましたので、
自分も裏方としてとても満足のワークショップでした。

あとelaavapaaさん、野外での制作にも関わらず
作業性を考慮し、あえて土足で織り機を使わせて下さった事。
細かな所までご配慮いただき、本当にありがとうございました。

ここで、当ブログの読者さんにお知らせを。
elaavapaaさんは守谷にアトリエがあり、体験教室もやっております。
今回は2時間という設定でしたが、もっと長い時間の制作も可能との事です。
さらに、糸の種類もより豊富で、縦糸も黒・白から選べるとの事です(今回は黒でした)。
ご興味のある方、elaavapaaさんのサイトに詳細がありますのでご確認ください。

そしてさらに、elaavapaaさんの展示のお知らせをします。
まずはこちらの動画をご覧ください!



11月11〜13日の期間、
「まいにちの色 vol.2」をhako(代々木上原)にて
『elaavapaaさん(織物)』『TURNさん(木工)』『Zoozさん(フェルト)』
メンバーで展示されるとのことです。

Zoozさんは以前手創り市でワークショップを開催されたフェルトの作家さんで、
今は福岡で暮らしています。

ご興味のある方、
ぜひ「まいにちの色 vol.2」に行ってみてはいかがでしょうか?

伊藤康祐
info@tezukuriichi.com 
https://twitter.com/#!/kishimojinotori








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