11月29日



先週日曜日の選考会前にツグミ工芸舎さんの個展へお邪魔して来ました。
会場は秩父のおいしい処の「月のうさぎ」さん。

今回の個展は、月のうさぎ・2階ギャラリー「gallery ne」のこけら落としの展覧会であったようで、それにむけたツグミさんの展示に対する心意気のようなものがフライヤーとそのタイトルを通して伝わってくるものがあった。
ま、これは実際に足を踏み入れてみなければわからない事なのでこの辺で。

ツグミさんの展示を体験し、以前のアトリエ訪問インタビューの言葉を思い出した。
それは確か「ツグミ工芸舎は木工だけにかぎらず、様々な事にチャレンジしてゆく」といったようなこと。
基本は木工。でもそれだけに捉われない活動をしてゆく。
それを今回目の当たりにさせてもらった。


和紙を柿渋染めにして、切り絵のように文字を切り取り、ギャラリー内の照明の明かりと窓から入ってくる自然光によって文字が様々な角度から照らされ、壁の内側から浮かび上がる、という言葉が適しているような展示がされていた。
こうしたつかみとる事ができない要素は、見て面白い、楽しい。
と同時に、そこに浮かび上がる文字のレイヤーから、受け取る側の自由なイメージを喚起するような機能があるような気がした。
人、花器、暮、文具・・・ 文字が光によって重なり合う姿は、普段の暮らしの中でそれぞれの言葉の実態が単一的にある訳ではなく、繋がり合い、混じり合ってこそ成り立つのではないですか?という提言というか、イメージを私は勝手に受け取った。
作品は作家性の現れであるけれども、こうして見るものに委ねられ、思考の余白の遊びがあるものを見せられると来た甲斐があったと思えるし、どうしてもそうした所に作家の深いところを感じてしまい、引っかかってしまう。
作品のみに向き合う事でも十分であるけれど、ツグミさんの展示ではこうした遊びの部分がツグミ工芸舎としての言葉には表せないメッセージのような気がしてならない。
言葉でも、形でもないものによって自分の内側から笑顔が浮かびあがっていた。
いやはや、よいものを見せていただきました。
あの景色が今もなお脳内の片隅を占拠していると思うと少しだけ悔しい気もしています。
ありがとうございました。


ツグミ工芸舎
 
月のうさぎ



名倉




手創り市のルポ(11月20日)



「手創り市のルポ 2011年11月開催」


11月20日(日)の手創り市が行なわれる一週間前あたりから、僕の耳にどこからともなく「週末は雨らしいよ」という情報が入り始めた。それは、僕がこの手創り市でルポをやっていることが、周りの友人たちにも定着し始めた証なのだろうと嬉しくもなったが、反面、雨は困る。
毎日、数時間おきに、携帯で天気予報をチェックする。午前は雲りらしいが午後からの雨マークが消えない。
今回取材を予定していた作家さん三組とのメールのやり取りにも、やはり天気の話しが持ち上がる。
ブログでは名倉くんが、「こういう時こそ日頃の行ないに気をつける」と書き、僕も姿勢を正し生活に臨んだ。
そして日曜は晴天を迎えた。と書くと、若干、僕の行ないが良かったからのようにも読めるが、そんなことはないです。皆さんの日頃の行ないのおかげであります。はい。
そんな訳で、無事今回も「手創り市のルポ」を送らせて頂きたいと思います。


今回の手創り市、今月ならではの特徴は、まず酉の市の関係上、会場の一つである大鳥神社の開催が行なわれなかった事。そして、鬼子母神では、仁平古家具店さんよる「場づくり」が行なわれた事です。
「場づくり」とは、手づくりのものを出展する作家さんのスペースとは違い、普段ショップスペースを構え、つくられている方に、手創り市の会場にその個性を活かした場をつくって頂くという企画です。
まずは、その「場づくり」を開催して頂いた仁平古家具店さんに話を聞きました。

「そもそもの発端は、国際フォーラムでやっている大江戸骨董市で名倉さんと二、三年前に会ったのがきっかけ。何度か会う内にこんなことやっているという話を聞いて、それでこの市を知って興味を持ったんですよね。で、何年か経って「場づくり」という形で出てくれないか? と言われて出る様になりました」

栃木県の益子と真岡に二店舗を構える仁平さん。普段はお店には、殆ど顔を見せないと言う。
「いつもは店には出ていないですね。商品を洗ったり直したりつくったりみたいなのが重要なので。だいたい仕入れに行ってたりとか、お客さんが来たら相手したりするんですけど、それ以外時間が空いたら、ひたすら工房で作業してるんですよ。仕入れるもののポイント? 骨董というよりは「古家具」って名乗ってるので、家具とか家で実用的なものとか、今で言うならカフェなどの飲食店で使うための家具を主にしてますね。実用性のあるものってのが近いですよね。古くて十万円する壷とかはうち向きじゃないので、どちらかというと雑貨感覚で手に取りやすいものとか、そういう感覚で選んでますね。お客さんの好みを考えて仕入れることもあれば、こちらから、こういうものもいいでしょ?って提案していくものもあります。感覚ですよね」

仁平さんがこの手創り市で最初に「場づくり」をされたのが、今年の五月だ。
「五月の感触? まず最初にすごく楽しかったです。これだけ広いスペースも構えさせて頂いて。いつも出ている骨董市とはまた違った層のお客さんがいるので、新鮮な目で観てくれるというか、骨董市は眼の肥えた人が多いので、「俺だけの一品を!」って感覚で来る人が多いんですけど、もっと純粋な眼でものを選んでくれるというか、すごく楽しんでくれてる感じがあったので、こちらとしても楽しくやれたし、売り上げもそこそこあったし、いいことだらけでしたね。後はこの人の多さに圧倒されましたよね」

次に僕は今回の感触やポイントを聞いた。
「前回は初めてだったので、朝イチがすごい勢いでみなさん買いに来たんですよね。多分出展者の方だと思うんですけど。商品がきちんと並んでない状態から、会計会計で、時間もないくらいなんですけど。今回は二回目で慣れたせいなのか、朝イチの波が少なかったのでやりやすかったです。今回は天気のことを考えました。一昨日迄僕は中止だろうと思ってたんですね。天気予報がずっと雨マークで、それが昨日になって晴れになったんですね。で、晴れても昨日迄の雨じゃ相当ぬかるんでるんだろうなと思って、だいたい足が鉄のものをいっぱい持って来て、鉄だったら水をかければ泥も落ちるので。そういう目論見で、鉄足のものを多く持って来ました」

そして最後にこの手創り市の印象、思う所を聞いた。
「うちの方でも市をやってますので、その中でも勉強になりますし、都会というのもあり、出る人を選んでるっていうのもあって、クオリティも高いし、何よりも手創り市スタッフのこの市に対する熱意ですかね? それは本当にすごいなと思いますね。ブログ、ホームページを観てもここに賭ける熱意は半端ないですよね。その熱意があるからこれだけの人が集るんでしょうし。そこは見習うべき点だなとは思ってます。常に飽きさせない努力を考えてるじゃないですか?常に、更に更にを求めてるというか」
僕がルポを初めて三ヶ月。もしかしたら、この「変わり続けようとする姿勢」に対する言葉が、一番作家さんの声から届くこの市の印象かもしれない。


次にお話を聞いたアクセサリーや真鍮で雑貨などをつくる作家さんyutaさんの言葉にも、やはり同じ意味のことが語られていた。
「手創り市は流れが早い。結構新しいことどんどんやってくんで、その速度に僕がおっついてない感じですね。展示にしても新しいテーマを設けたりだとか、僕個人として新しいことをやっていかないといけないな、なかなかそれが追いついてない状態ですね。でもそれで触発されてます。手創り市こんなに頑張ってんのに俺頑張らんでどうすんねん、みたいな」

そんなyutaさんに手創り市に出始めた頃の話を聞いた。
「一年半位前に初めて出ました。ちらほらつくり手の友達から、東京でやっている手創り市の噂を聞いていた。それまでは地方のクラフトフェアに出ていた。最初見に来て、毎月やってると聞いていたから、そんなんでもないんかな?と思って来てみたら、密度が濃かった(笑)普通に地方で年一回やっているのとかと同じレベルの賑わい方をしていて、これを毎月やっているのか? と思った。で、最初の出展は大鳥神社で、ゆるい感じが良かった」

初めて出展、その時の話に花が咲く。
「一回目出た時から、真鍮の雑貨をつくり始めた。手創り市の前は主にアクセサリーがメインだったんですけど、手創り市で手に取りやすい価格のものはないかっなってのと、「つづる」の「健康より」に書いているみたいに、道具がもともと好きなんで、つくってみようと思って、いくつか雑貨をつくったんですけど、数が全然なくて。今売ってる三分の一位しか種類がなくて。マドラーとアイススプーンくらいしかなかったんですよ。で、大丈夫かなって、朝もうへこんで(笑)初回がこれじゃやばいと思って。それが、みんなすごい観てくださって、買って頂いて、ありがたや〜ありがたや〜ですよ。手を合わせたくなりますよ」

次に僕は、手創り市に一年半出てみて思う事を聞いた。
「常に動いているな、固まってないというか、流動的というか、新しい試みというか。だいたいクラフトフェアって年に一回なんで、あんまりフェア以外のことってやらないんですよね。ブログとかもその前後に更新があるとかで、あれだけサイトをがっちりつくってるのって、手創り市だけじゃないかなと思って。「つづる」であったり、ルポであったり、悪い血を貯めないように流れ続けてる」

そして最後に、手創り市のウェブマガジン「つづる」の「健康より」について話を聞いた。この「健康より」は、中学から一緒だった二人の男子が、高校で仲良くなり、果てには、つくり手として、片や陶芸の道を、片や金属の道を歩む事になる、そんな二人の語らいです。
「「つづる」についてですか? 書いてて面白いですね。近藤とのキャッチボールが面白い。近藤の文章を意識してますね。月曜の夜12時回った時点で、チェックしてます。観て、四日間くらいの間で考えて、最後の一日か二日くらい前に、一日かかって書く(笑)めちゃめちゃ大変です。こんな大変やったんやって思いました。必ず一日潰れる!」
一日潰れる!と言った割にはすごく楽しそうに笑ったyutaさんの笑顔が印象てきでした。


次に若い女性のお客さん、二人組に話を聞いた。
「会場に来るのは初めて。好きな雑貨屋さんのブログで観て、来てみた。ブログの雰囲気と市が、来てみて同じイメージだった。それぞれのお店で値段にばらつきがあると思った。すごく高い一点ものもあれば、高そうなのに安いもののある」

「つくってる人の雰囲気がみんな似てるなと思いました。年代も近そう。会場では、特に器がいいなと思いました。以前自分もものをつくっていました。金属でオブジェ、アクセリーとか。だから、つくれるかもと思いながら観てしまったりとか、どうやってつくってるんだろうというのはわかりつつ見てしまうかなぁ」


次に話を聞いたのは、GRさんという、陶器や羊毛などを扱う作家さんだ。
「出展して二年過ぎたところ。最初は、ネットで洋服の型紙を販売していて、その頃は子供が小さかったので、すべてネットで完結したかった。で、人と触れ合いたくなって、子供の幼稚園の陶芸サークルから始めて、そこは手びねりだったので、どうしても電動轆轤(ろくろ)がやりたくって、釜もないのに電動轆轤を買って、始めて、ちょっと教室に通って、釜も買った。でも陶芸にはこだわってなくって、陶芸家になりたいとはあんまり思ってないです。羊毛、お友達に教えて貰った紡ぎとかも、すぐに始めて、去年ワークショップもここでしたんですけど、なので素材を色々組み合わせたくって、だから陶にこだわってる訳ではないです。羊毛もはまって来たんで、フエルトとかも始めようかと思ってるんで。なので、申し込み用紙に記入する時、ジャンルの欄に何て書くか困ります。あれこれなので」

とにかく「つくることが好き」と語るGRさん。
「コラボしたい。羊毛と皮とか。樹脂と陶とか。一生一つのことやってるのはなんか勿体ない気がして。やりたいことは全部、子供に託すんじゃなく自分がやる。子供がギター始めたんですけど、私もやりたくなって、始めました。今はドラムも習ってます。この二年間で手創り市が変わった点? お店に出されているような方や、すごい方が増えて来た。自由が好きです。自由なこだわりっていうか。みんなそれぞれでいい。何がダメとか、あれはダメとかはない、感じがいいです。とにかく続けて欲しいですね」


次にご夫婦で会場に来られたお客さんに話を聞いた。
「この市のチラシを池袋の天然酵母のパン屋さんで見かけて、そのパン屋さん目当てで来ました。こんなに盛大にやってるとは思わなかった」

「作家さんとも話しました。ジャムを買い、どういう材料を使っているかとか。
普段、なかなか手作りのものは売ってないし、お店で手づくりのものが売っていても高い。それが手の届く価格で買えるのは嬉しい。欲しいなと思っても、お店では、買えないものがほとんど。京都の百万遍の手づくり市に良く行ってたので、近くにこんな市があったのは嬉しいです」


次に話を聞いたのは、廃材や端材で雑貨などをつくるnitocraftsさんだ。
「最初に出たのが、2009年9月。出る前の月に下見を来て、趣味的な方が趣味的に手創りしてる方が大半だった。で、ある出展者さんの作風がすごく好きになって、こういう作家さんが集る市だったら楽しいだろうな、というのがきっかけ。作家活動を始めたのは、手創り市に出展しようと思った半年前、主な仕事は店舗の内装をしてるんですね。その時に出た廃材や、端材を使ったものづくりをしはじめていて、タイミング的に作品を発表できる場所を探していて、手創り市に出掛けて出てみようと。古いものが単純に好きってことですね。深い思入れは僕はそんなになかったりするんですけど、これを観た人が懐かしいって言ってくれたりとか、共通の思い出がない人たちが、同じものを観て懐かしいと思う感覚とか、興味深いです」

そんなnitocraftsさんに、手創り市に思う事を聞いた。
「手創り市自体のシステムが変わった。選考だったり、出展して来る人たちの水準とか上がって来ている。僕が初め出ていた頃の、趣味的にやられていた方が減って来て、選考に通らないというのもあると思うんですけど、そういう変化があるのかなと思って。結構みんな同じような状況で、僕もメインの仕事がありつつ、こういう活動を楽しみでやってたりとか、仕事を持ちながらとか、こういう作品づくりを軸にして暮らして行きたいと思っていながらアルバイトしてる人とか、そういうまだこれからの人たちが多いので、そこを打開して行く、ステップアップして行くことが出来たらいいなぁって。作家自身も努力しないといけないですし、そういう機会を手創り市さんとかが持ってくれたりとか」

さらにnitocraftsさんの語りは続いた。
「機会があれば、名倉さんとかに話がしたかったのですけど、お互い一方通行な気がしてるんですよ。スタッフさんはあまり表立って出て来ない気がするのですけど、名倉さんがブログで書いてることとか、うえおかさんがルポで作家さんの声を上げても、名倉さんもその声を読んでるだろうし、うえおかさんの文章を読んでるだろうし、名倉さんの文章も作家さんたちも、わりと読んでらっしゃると思うんですよね。でも、受けただけで返事がない。そのやり取りがあってもいいようなことが、言ったら言いっ放しになっちゃってたりとか、それをやり取り出来る場だったり機会を一席設けるとかしてもいいのかなと?」

僕はそこで彼に、今年の六月に予定されていて、会場の確保や、節電などの制約でやむなく中止になった「手創り市の懇親会」の存在を伝えた。どうやらnitocraftsさんは、それを知らなかったらしい。彼が望んでいるのはまさにこの会のことだろう、と僕は思った。
「ルポとか、それを繋げる部分、投げっぱなしじゃなくて双方に返事があればと。あと、僕は比較的毎回、良い場所に出展させて頂いてるんですけど、その手創り市側の意図を、僕は読みとるしかない。一度、どうしてですか?と聞いてみたい。手創り市のスタッフさん、作家さんと距離を保とうとしている感じはあるんですけど、僕から観ると、一部すごく接している作家さんと、逆にそうでない作家さんとの違いが見える所がある。だから、全員の作家さんに接しられてもいいんじゃないかなって。みなさんに興味を持って。」

僕はルポを書いた後、積極的にその感想を名倉くんはじめ、スタッフや取材する際の作家さんに聞くようにしている。しかしその対話にも限度がある。懇親会のように、僕は一度に多くの作家さんとディスカッションできる訳ではない。そう言った意味も含め、今後懇親会が行なわれる運びになったら、是非、その場に参加し、色々な作家さんの今思うところを聞いてみたいと、強く思った。


次に話を聞いたのは、某大学の学生さんで、手創り市を卒論の対象にした用丸さんだ。彼女は語る。
「私の所属している研究室の先生が、もともと雑司ヶ谷について調べていて。その中でも私がお祭りってものに興味があって。普段は静かなお寺だったりするこ所が、催し物が行なわれることで、独特に現れる空間の使い方っていうのがすごい面白いなと思いまして。空間の利用の仕方から地域の人の交流であるとか、人と人が繋がるきっかけっていうのが、空間からどうやって生まれていくのかなってところを観ていて、そこを卒論のテーマにしました」

次に僕は用丸さんが手創り市という空間に何を見出したかを聞いた。
「岩の縁石が、小さいお子さんが座るのにちょうどいい高さなので、午前中は子連れの方がたくさん座ってらっしゃって。奥様が買い物に行かれている間に、旦那さまが待つスペースとして使われていて、そこで待っている旦那さま同士が、知らない仲だったのに、そこに新しく会話が生まれていたりして、そういうこの岩の縁石の高さだったりとかが、新しくコミュニケーションを生むきっかけとして使われいるのが面白かったですね」

僕は次に、作家さんにどんな話を聞いたのかを彼女に聞いた。
「作家さんには、お店を出されるにあたって、どんなことを意識しているかってことを聞いているんですけど、例えばテーブルとか作品を並べるものにしても、既存のものをそのまま使うのではなくて、それぞれが手づくりで組み立ててつくられていて、空間自体をコミュニケーションのきっかけとしてつくりあげているんだよ、ということは伺えました」

そして最後に僕は、彼女自身と卒論の関係を聞いた。
「私は東京の下町で育って、祖母と一緒に育ったこともあって、ご近所間での係わり合いや助け合いに支えられて生きているような存在だったので。そういう中で私は今、品川区に住んでるんですけど、隣の人の顔も知らなくて、挨拶しても知らないと無視されてしまうようなそんなことが切なくて、寂しくて。そういう中で、例えば、お土産を交換し合ったりとか、そういう所から人間関係を積み上げていったらもっと楽しい暮らしが出来るんじゃないかな? って考えるうちに、こういう手創り市のように人との交流が生まれる場に興味を持ちました」

これは、お客さんからも作家さんからもすごく良く上がった声ですが、この市の良い所は、「そこに対話があること」という一面だ。これには僕も同感だし、これこそがこの市の醍醐味だと僕も思っている。


次に話を聞いたのは、スタッフの加藤さん。彼女は去年の九月からスタッフとしてこの手創り市に加わっています。
「スタッフになったのは、引っ越したばっかりの時期で、全然違う土地に来たから、その地域でやってることに参加したら楽しいんじゃないかな? と思って。近かったし、もともと手づくりのものを観たりするのは好きだったので、それをスタッフとして参加するのも楽しいんじゃないなかと思って。ものづくりにも興味はあるし、役に立つんじゃないかなって。私が入ってから丁度その時期に静岡の手創り市が始まってるんですよ。丁度動いてる時だったんじゃないかな?と思います。手創り市のやっている内容が、すごく動いている一年に居たんだと思います。今月の「場づくり」だとか、静岡だとか、あとウェブでも色々立ち上げてるじゃないですか? だから最初の頃と比べたら変わって行っているとは思うんですけどね。私が個人的に変わったとかはあまりないと思うんですけど」

そんな加藤さんは「つづる」の「健康より」がお気に入りだと言う。
「「健康より」面白いと思います。自分のつくってるものだけに偏ってなくて。そこの話しだけじゃないじゃないですか? 背景とかも面白く書かれてるので、あれはすごく楽しいと思います。あと、イラストレータ―二人の手紙交換も好きですね」

最後に、この一年で印象に残ったことを聞かせて貰った。
「テレビで流れた後の反応とかすごくあったので、それで左右されるところもあると思うんですけど。でも人が増えればいいってもんでもないし、その反面反響はあるだろうし、ということはすごいわかった、直にわかった。だからどうだって言われてもいいとも悪いとも言えないし、どうにかしたいっていうのでもないのですけど。自然でありたいというか、発信するっていうのもあるだろうし、みんなでつくってるのを自然に楽しんでるのもいいのかなって」


次に赤ちゃんを抱えた若いママさんとその友達に話を聞いた。
「高校の友達が出展するって聞いてやって来ました。他のお店にも、思ったよりもかわいいのがいっぱいあった。お店で売っているようなレベルの高さを感じた」

「つくっている人が見える、話さなくてもその人の雰囲気と作品が、似てる気がする。これをきっかけに、やがてお店とかで見かけたりしたら楽しいだろうなぁ。はじめから眼につけてたんだよ、この作家さん、とか言って(笑)」


最後を締めくくるのは、天然酵母のパン屋さん、mignon(ミニョン)さん。
「最初は自分たちのお店を知って貰おうと言うのが目的だったんですけど、段々回を重ねるごとに見えて来る事があって、それが段々はっきりして行くのがすごく面白くって。お客様の感想がダイレクトに伝わってくるので、例えば、私たちがこの場でお店づくりをしているのは、実店舗とは違ったお店づくりをしているんですよね。その見せ方に対して誰かから感想が返って来たり、美味しそうねって場合もあったり、あら値段が高いわね!ってのもあったり、ネガティブな感想も聞ければ、ポジティブな感想も聞けるし、そこで自分たちが勉強になるし」

「それと、何で毎月この市に応募してしまうのかっていうのは、ここのスタッフの方の軸と軸がぶれてないっていうのが手に取る様にわかる。だから安心して出せるっていうのがあるんです。とにかくスタッフの方が黒子に徹していて、始終見周りしながらみんなを守ってる気がする。お客様も守っているし、出展者のことも守ってるし、それがすごく伝わるので。今年一年色々な市に出させて頂いたんですけど、その面はまずここが一番です。それほどしっかりしてます。静岡に参加させて頂いた時も、雑司ヶ谷の核と静岡の核が全くぶれがなかったので、場所が違っても、同じものなんだって思いましたね。スタッフの方たちの努力はすごいものだと思うんですよ。これを毎月やられているっていうのが。この市に出したいっていう魅力っていうのは、陰でみなさんを支えている努力だと思います」

最後に、手創り市の気になる点を聞いた。
「飲食のお店の方って、人気のお店はすぐに売れてしまって、その後帰られちゃうのは残念だなって思います。寂しいですよね。お客様としても、何でここぽっかり空いてるの? っていうのと、早くくれば良かったね、なんだもうないんだ、残念感を与えてしまうのが寂しいですね。商品はなくなちゃったんですけど、こういう活動していますよって、お客様とお話する時間はたくさんあると思いますのでそれをなさらないで帰られてしまうのは、御用のある方は仕方ないですけど、勿体ない気がします。鬼子母神の会場に出ると、毎回それを感じます。大鳥だと売り切れてしまうことはないので(笑)」


これにて第三回「手創り市のルポ」を終えさせて頂きます。個人的なことになりますが、今回から僕は、事前に質問を用意することを辞めにして、取材に臨む事にしました。というのは、取材は生もの、まさにライブであり、そこにリアルタイムの対話ならではの「ひらめき」や「きらめき」を捕まえたかったからです。その為に、今回取材を受けて頂いた方たちの言葉は、前回よりも幾分、カラフルに話題が飛んでいるかな、と感じております。

nitocraftsさんの言葉にありましたが、このルポが、一方通行で終わらぬ様、これからも作家さんとお客さん、お客さんとスタッフ、スタッフと作家さんを繋げられるよう精進したいと思います。
今回も手創り市に、そしてこのサイトに来て頂き本当にありがとうございました。ではまた12月に。晴れることを願って。


うえおかゆうじ

・・・・・

※ご意見ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ。

手創り市
info@tezukuriichi.com




11月26日のこと




脈絡もなく・・・

名倉




ツグミ工芸舎「あのね」




ツグミ工芸舎さんの個展が現在開催中です。
会場は秩父に立ち寄ったら必ず寄るべき所と勝手に思っている「たべものや 月のうさぎ」さん。
ツグミさんの個展は今週日曜・27日までの開催となっております。宜しければ是非!

ツグミ工芸舎 HP  http://tugumi-craft.jp/


日曜、ツグミワールドと食事を堪能しにお邪魔しようと思っている。楽しみです。

名倉





場づくり:仁平古家具店

【場づくり:仁平古家具店】





 ↑ ↑ ↑
 
11月手創り市開催時に行われた【場づくり:仁平古家具店】の様子。
前回とは違って小物が多め、というよりも大きめの家具(什器)がメイン。
来年も仁平さんに一歩進めた形でお願いしたいと考えつつも、
今後は仁平さんだけなく、色んなジャンルの【場づくり】を進めてゆけたらと思う。

ものづくりや暮らしにまつわる古本屋さん、
デットストックや様々な生地を扱う生地屋さん、
などなど「つくること」と「会場」に繋がるナニカ。

どんなものがありますかね?

それでは。






11月手創り市のこと


昨日手創り市は奇跡的?に天気に恵まれ開催のはこびとなりました。
10月2日の開催から1ヶ月半の久しぶりの開催だったからか、前日土曜日は雨だったからか、終日とても多くのご来場者で会場は賑わい、驚いた。
出展者の皆様、ご来場者の皆様、有り難う御座いました。

話は変わり開催終了後のこと。

4時にて手創り市も終了し、興奮冷めやらぬ会場も撤収がはじまる。
4時半頃、奇跡的に晴れた天気も頭上はあっという間に灰色の雲に覆われ、ついでにどうぞ!と言わんばかりにわか雨がやってきた。
前日友人の引っ越しを雨の中手伝い、自らの服の中で泳いでいた私は「今日もか・・・」とぐしょぐしょになって仁平さんの撤収や自分たちの撤収を急いでいると、素敵な光景を見かけた。

素敵な光景とは、とある男性出展者の方がにわか雨に巻き込まれている他の出展者の方の撤収をすごい勢いで手伝っていたこと。
にわか雨の勢いもすごかったが、手伝っていた方の勢いはそれ以上に凄かった。
と同時にかっこよかった。したたるいい男だった。
(追記:女性の出展者の方もお手伝いしてくれました。)

雨に濡れるより濡れない方がいいし、ほっとひと息の撤収時に降らない方がいいのは確か。
ついでに、にわか雨の中素敵な光景なんて言ってしまうのは不謹慎だろうが、あのにわか雨によって自分が何かいいものを貰ったのはもっと確かなもの。

続ける事で何を得ているか?続ける力とは?と問われれば、昨日の出来事はそれを象徴される事のひとつと私は思うし、そうした記憶はいつまでも失われる事はない。

もひとつついでに。
自分たちのやるべき業務に集中しながらも、自分と同じ光景を見ていたスタッフがいたことも少し嬉しかった。それは周囲に気を配っている証だし、手の届かぬ場合でも気がついている事は大切な事だから。

次回の開催は12月18日(日曜)。
寒さも厳しくなってきますがどうぞ宜しくお願い致します。







本日開催手創り市!!(11月20日)

11月20日手創り市は、
大鳥神社・酉の市のため鬼子母神のみの開催となります。

【11月20日手創り市出展者のお知らせ】 click!!

「出展者の方へ」
ご出展の際にはご自身の連絡先がわかる名刺やショップカードなどをご用意ください。

「ご来場者の方へお願い」
会場周辺は近隣住民の方の生活道路となっておりますので
会場内および周辺への駐輪はご遠慮ください。
自転車でお越しの際には、JRまたは地下鉄に隣接する駐輪場を
ご利用くださいますようお願い申し上げます。

そしてそして、
11月20日は手創り市と同日開催で「みちくさ市」さんも開催されます。
雑司ヶ谷が熱い日になること間違いなし。

皆さまのご来場をお待ちしております!


手創り市
info@tezukuriichi.com




11月17日

先日、事務局玄関外にあるテーブルにこんな実が置いてあった。たまにこういう事があったりする。近所の保育園の子らが公園に遊びに行った後に置いてくれていってる。そう思ってる。
なかなかいいセレクトなんです。

週末の天気はとても怪しい。
出展者の人の中には、毎日(毎時?)天気予報を見ているんだろうけれど、かくゆう私も出来るだけ見ないようにしつつも一日に一回は必ず見る。まあ準備もありますしね。
天気が怪しい時に心がけている事は、普段の行いに気をつける事。
ほんとちょっとした些細な事とか。
例えば車を運転していて出会い頭の場合、交差する場合、必ず譲るとか。
は〜?と思われるでしょう。でもこれ真面目にそう思っています。
理屈じゃなくお天道様は見てるぞ、と思うのです。
じゃあ、天気がいい時には普段の行いに気をつけていないのか?と思われるでしょうが、まあそれはそれとしてそっとしておいてください。
とにかくいつも以上に気をつける週というのが手創り市開催一週間前ってことです。以上。

来年度の雑司ヶ谷のフライヤーがぼちぼち出来上がってきました。
あとは年末にかけてスケジュールが決定して印刷所へ発注を出すのみ。
今年もあっという間に時が過ぎてゆきそうです。
お鍋の美味しい季節ですね。

名倉




少しだけ変化しよう(食品出展のこと)

昼過ぎ、夕方前のカーテンの様子が好きです。天候は関係なし。

来年にむけてぼちぼち動き始めている日々ですが、来年から少しだけ「食品出展」に幅をもたせようと思っています。

幅をもたせる・・・
現在の手創り市では、ご存知のように現場調理の類いの出展は原則不可。
簡単に言えば、野外でカレーを注いだり、珈琲をいれたりするのは特定の場合をのぞいて禁止。
手創り市のような場所もこれに当然該当します。
これは東京都の条例によって定められている事で、要するに決まり事。
衛生面でちゃんとやりますよ!って声を大にしてもどうにでもならない。一蹴されます。
ここに、グレーゾーンみたいなものはないし、そこで多様性云々みたいな都合の良い話もない。
とはいえ、目の前のどうにもならない決まり事(法律)に対してぼうっと眺めているのも情けない。かといって「法律が時代にあっていない!!」と声を大にすることもしない。
現状の決まり事を守った上で、工夫をしたい。

私の知り合いに、お魚中心の大変んまい料理屋さんをやりながら魚屋さんもやっている人がいる。その人とは道ばたで会う事も多く、とても楽しそうに仕事をしている。そしてたまに魚を貰う。その人の業務形態からヒントを得て教えられた。え、自分ら変化できるんじゃないの?って。

そして今日保健所に行ってきました。
かくかくしかじかああだこうだと、全ての駒は歩のみ!!という感じでひとつひとつ肯定否定肯定否定と頭もぐるぐるしながら繰り返し、確認。
結果、私の望む全てではありませんが、来年から少し変化出来る事を確認できた。
「やれること」が少しだけ増えた事を確認し、帰路につく。

事務局に帰って来て、アナウンスと規約化するだけ!と思ったものの、これから「やれること」は、「 はい、どうぞ!」と誰でもやってもらっていいものではないし、まずはお互いの信頼とか信用を基本にしないとならないかもしれない・・・と思った。
簡単に言えば「公募」でほいほい決める訳にはいかないこと。
これまで出展してくださった方と話をしながら、同時に自分たちで新たに声をかけつつ、両方の姿勢をもっていたいと。このあたりワークショップや場づくりと似たようなシステムを作ってゆくのがベターかもしれない。

ともあれ来年にむけて、少しでも楽しく面白くを忘れずに今はうんうん唸りつつ考え中。
20日開催時に少しでもアナウンスできたらいいなあ、とこれまた考え中。

どうせ誰かがやるんだし、それなら自分たちでまずやってみよう。
と、いつも変化する時にはそう考えている。
すこし前向きな「どうせ」のお知らせ(兆し)でした。


名倉





一日スタッフとして参加

今週日曜、11月20日に開催の手創り市。

なんだか久しぶりの開催だなあと感じております。


出展者の皆様へお知らせ。


以前にも某大学の卒業論文の制作の為に学生さんが来られましたが、今月の手創り市にも某大学の方が卒業論文制作の為に一日スタッフとしてやってきます。

居住環境デザインを勉強しているという用丸紗季(ようまるさき)さん。

ご紹介をかねて用丸さんからのご挨拶となります。ご覧下さい。


「私は4年間、雑司ヶ谷近辺の大学に通学する中で、どこか懐かしい雰囲気を持つ多くの路地、そして、街を愛して前向きな活動されているたくさんの方々いらっしゃる、この街の温かな雰囲気に魅了されてきました。中でもこの地域で、夏市や御会式など、催しものが行われる際にあらわれる特有の空間の使い方が、大学で居住環境デザインについて学ぶ私にとってとても面白く、興味を惹かれ、卒業論文のテーマとしました。

(普段はただの石のベンチが、催しもの開催中はテーブルクロスがかけられテーブルと変わり、近隣の方々の懇親の場として使われているなど。)

その上で、過去の『手創り市のルポ』について排見させて頂いたところ、「単に売り場ではなくお客さんにひとつの空間としても楽しんでもらいたい」といった、空間構成へのこだわりをお見受けしました。

そこで、手創り市における人の空間利用についてなど代表の名倉さんより、直接お話を伺わせて頂きたいと思いました。また手創り市当日は、どのような空間でどのような人がどのような行動をとるのか、そして空間利用を通した地域とのつながりについて観察と記録を撮らせて(録らせて)頂きたいと思っております。

どうぞ、よろしくお願いいたします。 用丸紗季 」


私への取材?もあるんですね。

人の空間利用・・・

言葉にすると堅くなってしまいそうですが、やわらかく答えたいと思います。

そして、開催中には出展者の皆様にもお話を聞かせていただいたり、用丸さんと同じ大学の方が会場内をカメラやビデオでの撮影もあるそうですが、あくまで卒業論文制作の為の撮影ですので予めご了承ください。


11月20日、お天気がよい事を願って。


名倉









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